2018年3月8日木曜日

2月に読んだ本

2月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1477
ナイス数:20

兄弟 (文春文庫)兄弟 (文春文庫)感想
「石狩挽歌」の歌の背景は凄まじい世界だった。まともに仕事をしたことはないのだけれど、うまくいかないと分かれば徹底的に負けないとおさまらず、億単位の借金を弟に肩代わりさせて、当たり前と悪びれもせず虚勢を張る、特攻の生き残りの兄。他人からみたら、こんな無茶苦茶な怖い人世の中にいるの?!なんだけど。それを受け入れて借金を完済しつづけ(!)なお鎖を断てない、才能ある弟も凄い。なかにし礼の作詞家としての成功の裏に、こんなブラックホールみたいな兄の存在があり、それがある意味、創作のエネルギーだった、というのも。
読了日:02月24日 著者:なかにし 礼

羊の木(5) (イブニングKC)羊の木(5) (イブニングKC)感想
kindle版、最終巻。 教育長・白尾政光、大型ダンプカーで大暴れ。重機の凶暴さが犯罪を通り越していてアクションものの迫力。 善行が巡り巡って誰かを不幸にしてしまったり、生まれも育ちも関係なく、罪は性根に宿るものって訳じゃないと。不幸にも歯車が狂い罪を犯した人が再び生きていくためには「居場所」が必要で、それを本人も社会も大切にできるかどうかなのだと、たぶん映画のテーマにも通底してたかも。 イジメられてた中学生が炎上するダンプが海に落ちるのをみて「生きていればこんなこともあるんだな」って表情が良かった。
読了日:02月12日 著者:いがらし みきお

羊の木(4) (イブニングKC)羊の木(4) (イブニングKC)感想
kindle版で一気読み、つづき。 罪を精算して人生をやり直すはずの町で、元犯罪者の皆さんとはカンケー無く、フツーの市民の中にも不倫やそれにまつわるもめ事はあり、社会的には立派そうな人たちの日常も狂っているよ。 そんな中、月末さんちの理奈ちゃんは爽快。健全だわー。 書き下ろし小説は「キヨミ」。スピンオフで、漫画にしてください、いがらし先生!
読了日:02月12日 著者:いがらし みきお

羊の木(3) (イブニングKC)羊の木(3) (イブニングKC)感想
kindle版で一気読み、つづき。 馬に蹴られるチキン対決は何をしたかったのか分からないけど、こういうナンセンスなエピソードを挿入してくるところは好きです。三田村、怪しい…?国家プロジェクトから離脱して魚深市の状況がツイン・ピークス化してきた? 山上先生の書き下ろし小説は「模型」。
読了日:02月12日 著者:いがらし みきお

羊の木(2) (イブニングKC)羊の木(2) (イブニングKC)感想
kindle版で一気読み、つづき。 奇祭「のろろ祭り」が、祭りを通りこして猟奇。いがらし先生の庚申様思い出しました。宮越は気持ち悪いやつだなー。それから大野さんのニワトリ…。じわじわ来てます。 巻末の山上先生の書き下ろし短編小説「浜辺」も読み応えありです。
読了日:02月12日 著者:いがらし みきお

羊の木(1) (イブニングKC)羊の木(1) (イブニングKC)感想
kindle版で一気読み。 先に映画を観てしまったので、こんなに設定が違っていたのかとちょっと驚き。国家プロジェクトといいつつ、おっさん三人組がお世話役…?公務員の錦戸君らしき爽やか青年は出て来ませんですが、月末一さんは仏壇やの親父さんです(笑)。元受刑者もいろいろあってもっと複雑。こんな話だったのかー?! びびり気性の月末さんが頼まれるまま移住者を迎えにいって初対面で接する時の、妄想する恐怖心が地震のように微動から大きな揺れに変わっていく脇汗な感じが、映画には無かった。達観した大塚さんと対照的。
読了日:02月12日 著者:いがらし みきお

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