2014年2月28日金曜日

小声で報告…人( ̄ω ̄;) スマヌ_幕見で歌舞伎座2月公演昼の部

某虫六子のつきあいで関東周辺に潜伏しつつ、娘を合戦場行きのバスに乗せて送り出した後、することがなかった某日。知らず知らず足が銀座方向に向いてまして、チケットもなにもないまま、そこに立っておりました。


木挽町の小屋は、本日2月公演千穐楽でございました。
いや、ほんと予定外ですよ。何をやっているかもノーチェックだったげな。


昼の部は、「心謎解色糸(こころのなぞとけたいろいと)」という南北もの。歌舞伎座初上演だそうです。
まだ開幕前で、幕見の人たちがぞろぞろ入場していたので、「うおっ、千穐楽だけど潜り込めるかな?」と最後尾に並んだら、劇場の人が「何幕からみますか?」って注文を取りにやってきた。通し狂言か…と、とっさの判断で「通しで」と答えると、「序幕は立ち見になるけどいいですか?」と聞かれて、了解したら入れてくれました。そうか、東京に住まう人たちはこんな技を使っておるのねー。
新しい歌舞伎座は幕見までエレベーターで上がるのです。
あの狭い螺旋階段が懐かしいけど、このほうがお年寄りには優しいですね。

これ幕見の立ち見席からみた舞台と劇場全景。
けっこうちゃんと見えます。花道も七三が見えてます!小屋全体の雰囲気も味わえて悪くないですね。

歌舞伎茶屋には入って行けませんが、したがって生写真もかえませんが、筋書きは買えます。

○歌舞伎座新開場柿葺落二月花形歌舞伎
平成26年2月1日(土)~25日(火)
【昼の部】
「通し狂言 心謎解色糸(こころのなぞとけたいろいと)
 
   序 幕  深川八幡の場
        二軒茶屋松本の場
        雪の笹藪の場
   二幕目  本町糸屋横手の場
        同   奥座敷の場
        元の糸屋横手の場
   三幕目  大通寺墓所の場
   四幕目  深川相川町安野屋の場
        同 洲崎弁天橋袂の場
   大 詰  小石川本庄綱五郎浪宅の場
        同  伝通院門前の場
   
お祭左七/半時九郎兵衛 染五郎
本庄綱五郎      松 緑
芸者小糸       菊之助
糸屋の娘お房/九郎兵衛女房お時 七之助
神原屋左五郎     松 江
山住五平太      松 也
赤城左京之助     歌 昇
廻し男儀助      萬太郎
芸者小せん      米 吉
芸者お琴       廣 松
丁稚與茂吉      玉太郎
番頭佐五兵衛     松之助
中老竹浦       宗之助
石塚彌三兵衛     錦 吾
鳶頭風神喜左衛門   女蔵
松本女房お蔦     高麗蔵
安野屋十兵衛     歌 六
女房おらい      秀太郎

ちょっと登場人物が多くて、煩雑な印象の狂言でしたけど、若手のみなさん頑張っていました。特に、染五郎のリーダーシップはなかなか心強いものがありますね。
基本的に応援モードっす。染五郎は江戸っ子の色気があってよろし。
なんとなく役の美味しいところは松禄君に持って行かれた感があったりしますが。
そして、今回もやぱりオーラがあるのは七之助なり。花道の見えないところから気配がわかりました。そして、セリフに張りがあって聞きやすいのだ。女形は立ち居振る舞いは美しいけど、全般にセリフは声が細くて聞きにくいってことがあるのですが、七之助は口跡が良いのですね。悪婆お時と糸や娘のお房の演じ分がスッキリしていて好感です。
なんですかね、こうなるとやっぱり、染五郎・七之助の「桜姫東文章」が観たいという気になりますね(←しつこい)

まえの歌舞伎座と違和感のない音響を実現したという仕掛けは、この天井の形状にあるらしい。間近です。でも、ババンバンバンというツケの音はほんのり反響していて迫力がありました。1階で観ていた時には感じない音響でした。

幕見席は、三階席のその上に2列分ありました。
序幕が終わったら帰った人がいたので、ソッコーで席ゲット。

手すり壁を隔てて、三階席。そちら側にはいけません。
さすがに最後部なので、見下ろすような傾斜角。
今日ばかりは大向こうさんの掛け声が下から聞こえます。千穐楽だったので、派手に掛かっていたかな。

虫六が座った東よりの席から、東の2階3階桟敷をみます。

はい、こちらは西方です。
昼の部終了。帰りは階段を使ってみました。
なんつか、幕見席を味シメジ。この、ぷらっと行って空いてたら観るか〜的な気楽さが良い感じですね。
なかなか、S市から出かけるとそういう構えになりませんが…。

2014年2月21日金曜日

あう、気がつけばもう文楽が終わろうとしている…

雪に埋もれて冬眠…もとい、気をゆるして、オリンピックなど尻目に日々を過ごしている間に時日はすぎて、「文楽みました」の報告もしないでいたら、もう公演期間が終わろうとしてました。

あー、それにしても、あのSPで大失敗してしまっての、メダルが見えなくなってしまったからこその、無心になっての、フリー会心の演技…への変身がドラマチックで心が惹きつけられましたね、浅田真央さん。順当にメダル(金でも銅でも)を取っていたら、マスコミの馬鹿騒ぎだけでうんざり(すでにその予定枠で取材テープためていた感じがありあり…)して虫六家的には感慨もなくお終いパターンですが。この結果は、記録に残らずとも記憶に残るものとなりました。
孵化した蝶々みたいだったよ。

それはそれとし、女子シングルフリーの番組やってる最中に、4年前のバンクーバーオリンピックのキム・ヨナのフリー演技をyoutubeで見ながら盛り上がっている、ノー天気な父娘。
娘「キム・ヨナって007が好きなのかな〜」
父「そんなこともないんでない?」
娘「おおー、スピンかっけー」
虫(それ、今か?今見なきゃいけないものか?)

…とはいえ、我が家は全員キム・ヨナ好き。スポーツは全然明るくありませんが、サイボーグみたいなキム・ヨナのクールな存在感が好きですねん。へへへ。


というわけで…脱線、脱線、文楽でした。
どんどん新鮮味がない感想になってしまい、我ながら情けないというか、反省ですが…。
ほんの囓りのご紹介を。



国立劇場 文楽公演
【第一部】
 七福神宝の入舩(しちふくじんたからのいりふね)

 近頃河原の達引(ちかごろかわらのたてひき)
    四条河原の段
    堀川猿廻しの段   

【第二部】
 染模様妹背門松(そめもよういもせのかどまつ)
    油店の段
    生玉の段   
    質店の段
    蔵前の段   

【第三部】
 御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち)
    弁慶上使の段

 本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
    十種香の段
    奥庭狐火の段

配役はこちらです。

「堀川猿廻しの段」は切が住大夫さんで、地方公演ではしばらくお見かけしませんでしたが、お元気そうで何よりでした。耳さわりのよい人間国宝の語りを聞きながら、ついうとうとという、罰当たりな至福の数分間を過ごしてしまいました(爆)
人形つかいの猿まわし、芸が細かくて可愛い。

「染模様妹背門松」(お染久松です)は「油店の段」、切が咲大夫さん・燕三さん。咲太夫さんのちゃり場がサービス精神旺盛で笑いました。ちょうど9日は東京都の知事選(…だいぶ過去形)だったのですが、定家の色紙が入っているはずの箱を空ける場面で、「大江戸知事選」という書き付けが出て来て、会場笑い…「これは上方は関係おまへんのや…ブツブツ」というアドリブが受けてました。
千歳大夫・清介さんの「質店の段」も聞き応えあり。清介さんのお三味線をたっぷり堪能できて満足じゃ。

そして、何と云っても今回の目的の演目は、夜の部の「本朝廿四孝」でありまして、「十種香の段」は嶋大夫・富助さんの義太夫。
で、八重垣姫は蓑助さん。これが(!)絶品でした。これまで歌舞伎(記録映像含む)や文楽で「本朝廿四孝」というのはけっこう見る機会が多かったとおもいますが、八重垣姫って可愛いんだ、赤姫ってこういう存在感なのだ!ということを実感したのははじめてでした。正直、「八重垣姫は天然お色気・不思議ちゃん系」というイメージだったので。
蓑助さんの八重垣姫をみれたという幸運に感謝。蓑作(実は勝頼)は玉女さんで、濡衣は文雀さんでした。

そして、待ちに待った呂勢大夫・清治さんの「奥庭狐火の段」。これを聞きたいがために来たのよ、私は。しかし、雪で交通事情が不透明のため今晩帰れるかどうかを掛けて、最後まで観ることをきめて、この段がはじまるタイミングで席を離れて会場の出口近くへ移動。一番後ろで立ってじっくり聞きました。圧巻でした。…はぁ。(ため息)
やはりこの名刀での真剣勝負をみるような清治さんのお三味線の緊張感、すごいのです。なんだかんだ言って、やっぱりこの三味線が虫六は好きです。1回でも多く聞いておきたい。来てよかった。

呂勢大夫さん、ちょっと割腹がよくなったみたいでした(笑)。千穐楽まで、頑張ってください。(っていうかもう千穐楽ですから)

この段の八重垣姫の人形遣いは勘十郎さん。同じ役なの?っていうくらい人格が変わってました。人形ってすごいですー、こういうところが。お得意のアクロバチックな演技で、…何しろ狐だからね。でも、それも含めて面白かったです。

私が拝見した頃は公演が始まって日がたっていなかったので、後重鎮のみなさんもお元気で総出演。東京まで来て見た甲斐がありました。

【おまけ】

門前仲町の升本で買ったお弁当。門仲はホテルも良かったし、晩ごはんも美味しかったし、観劇弁当も買えるしで、ナイスな町でした。



2014年2月15日土曜日

雪、加算

いきなりですが、今日の一句。
  「黄に染めて 犬散歩する 雪の道」

忙しくてなかなか文楽レポート書けずにいましたら、なんとこの週末も大雪が降ってしまいました。自動車はアウト!って感じの振りっぷりでありましたので、今日は職場まで歩いていきました。雪だるまになりながら…。
先週の雪が根雪となって山と残っておりますので、さらにうずたかく積もってしまいました。雪かきしてよける場所なし。

こんなに日にお客さん来るわけないと思いきや、それでもゼロではありませんので締めるわけにもいかず、窓の外にしんしんと降り積もる雪を尻目になんだかまったりやってました。午後になったら交通遮断してきたので、早仕舞いとなり、虫六も少し早めに歩いて帰宅しました…。


そんなわけで、見つけてしまったのよ、可視化された犬地図を…。とくに大木の根元はすごかったな…。レモンシロップがけかき氷状態。

それはそれとし、土曜日は休みの家人Tが珍しく職場で会議があるといって朝の8時前に出ていったのですが…。夕方「電車もバスも止まっているようですが帰って来れるの?」と何げにメールしたら、
 …「笹谷トンネルの出口でバスが止まってまだ山形についてません」
と返事が返ってきたよ。(…はい?)

えっ?またも都市伝説ですか?

いえ、笑いごっちゃなく、全然動かなくなっちゃったらしいのです。
で、高速を脱したのが午後7時ごろ…。「やれやれ。とにかく今日は帰れないから」というメールが入るも、そのあと唖然とする事態に展開。なんと、研究室の鍵を(つまり家の鍵ごと)忘れてきて部屋に入れないので、今晩泊まることができないから、市内で空いているホテルを探して予約入れてくれと!
 (…はい?)
ところが、5件くらい適当なホテルを探して電話するも、今日はどこも満室で空きがなく…。
(しえ〜、この雪のなか寝るところもなくどうするの?)感がどんどろ〜と漂ってきたのですが、投げ出すわけにもいかずしつこく電話していたら、「さっきキャンセルが出たので1室ご用意できます」というホテルがあり、なんとか予約がとれまして、家人Tこの極寒の夜空の下で難民にならずにすみました。
いやはや。


やっとホテルに到着した家人Tより写メが届きました。キャンセルでゲットできた部屋、立派なツインの部屋だったらしい。

なんだか無駄に満ちた1日のようですね…。


2014年2月11日火曜日

yukigeshiki、もしくは、珍しい経験

8日から9日にかけて、用事が中止になった夜はホテルでニュースを見て過ごしました。


テレビではつぎつぎに鉄道の不通情報が加わっていき、駅や空港で行き場の無くなった人がインタビューを受け、「無理な外出を避けてください」を連呼してました。地下鉄の入り口付近の階段は凍結しているので注意しろとか、けが人が何人でたとか…。こうなると、東京ではうっかり出かけられないみたいです。
なんちゅうか、大雪で狼狽する東京に直面したぞな。今回の旅ではスケジュールがタイトだったので荷物を小さくするためにパジャマを省略したのですが、ホテルあたっかくて良かった。

9日は文楽を見る予定にしていたので、用心のため朝早く出かけて、国立劇場へ。

宿の近くに美味しそうなお弁当屋さん(亀戸升本のすずしろ庵門前仲町店でした)があったので、お昼用に幕の内を1つゲット。

用心しすぎて1時間も早くついてしまいました。
国立劇場スタッフのみなさん総出で雪かきしてました。ご苦労様です。

とりあえず、文楽の感想は明日にまとめますが…。

この日は1日通しだったので、11時から夜の9時まで劇場に缶詰めの予定…。

しかし、この間、例の大雪は東北地方に移動中。…自分は今日帰れるんだろうかと、不安はよぎります。78年ぶりの積雪っていうし。ちゃんと新幹線でるのかなーと、休憩のたびにネットで不通情報をチェック(なにしろ昨日のパニックを目の当たりにしましたのでね)。S市の雪は午前中で落ち着いた感じなので、たぶん席をとっていた最終の新幹線は出るでしょう。こいつが出ないと駅のホームで1夜を明かすことになる。勘弁してけろー。
そして、問題は都内の交通事情が読めないことです。
終演は夜の9時、新幹線の出発時間は9時44分。
普通の状況なら終演後に出る東京駅行きの直通バスに乗れば間に合いそうですが、なにしろ昨日の今日ですから…劇場の人に聞いても保証できないと。タクシーの予約はできますか?と聞いたら、自分で呼べと。しかも、時間ちょうどに来るかどうかも保証の限りにあらず…と。終演にあわせて、何台かタクシーさんも来るんですが、今日はそれも保証できないと、不確定な情報しかなく…。

うへぇ、舞台に集中できないよ…。

それで、最後の段(←これが見たくてやってきたのよ)の時に席を立って出口の近くへ移動して最後までみて、一番に会場を出てタクシーを拾う、もし、タクシーがいなかったら国会議事堂前まで走って地下鉄丸ノ内線にのって東京駅まで行こう!と決断。肚を決めました。

そして、終演!ダッシュで会場を出ると、いた〜!タクシー!
思わず飛び乗りまして、東京駅八重洲口まで運んでもらいました。
そのタクシーの中で聞いた耳を疑うようなお話。その運転手さんは今朝9時頃都内でお客さんを拾って成田までと注文を受けたそうなんだけど、無線で確認したら、首都高速が何だかってインターまでは通れるよといわれたのでそこまで高速で行ってその先は下道でいいですかと高速に乗ってしまったが最後、300メートル進むのに1時間もかかる大渋滞にはまって、結局、成田までいくことができず、お客さんに「東京駅に引き返してくれ」と言われて戻って降ろしたら午後5時だった…と。

…それ、都市伝説かなにかですか?

私の方は余裕で東京駅につきまして、一安心。

余裕ついでに、最近は東北新幹線では姿が見えなくなったE4系の連結など撮ったりして…。(意味なし)

5分遅れで最終新幹線はS市に向け出発したのでした。たとえ遅れてもトラブっても乗ったからにはとりあえず帰れるだろ〜よ。

そして、日が変わる頃到着したS市。
ほんとだ。こりゃ深いわい。

秋田山形の雪に比べたらなんてことないんだろうけど、S市ではこんな雪は最近みたことないね。昼過ぎにおさまったのに道路の路面が出てこないのは珍しいと運転手さんが言ってました。

しかし、自宅についたらしっかり雪かきしてあって、人も車も通れる状態になっていました。

休日だったこともあるでしょうが、なんと素晴らしい我がマンション住民の自治性。
震災の時の粛々と協力しあった日々が思い出されました。

ま、私は文楽見て遊んで帰って、恩恵に与るだけで最低なやつなんですが…。
申し訳ないのう。

2014年2月9日日曜日

大雪の大当たりってやつですか

一昨日まで相模原周辺に潜伏していた虫六ですが、いったんS市に戻ったものの、今日は某研究会に参加するためふたたび上京…でありましたが


なんつうか、大雪で、肝心の研究会が延期になってしまいました(; ̄ェ ̄)
よりによって、なんでこんな日に?!
自然に文句言ってもしょうがありませんが、言わせていただきましょう。

おいらの交通費を返せ!

それにしても、東京中の交通が麻痺しているようで、大変な騒ぎです。
帰宅難民がたくさんいそうです。

虫六も用事がなくなったので、早めにホテルにチェックインして、パニクる都市の状況をニュースで眺めておりました。
先日滞在していた橋本があるJR横浜線もストップしてますね。
沿線住民の皆さんには申し訳ないのですが、虫六子の受験日に被ってなくて良かったと胸をなで下ろしました。でも、今日あたり受験日の学科もあったナー。大変ですよね、現場は。


とにかく雪です。豪雪です。東京の雪、初めて経験しました。細かい氷みたいなやつで、暴風いっしょに襲ってきてきつかった。最近ではS市でもあんまり雪は降りませんが、降ってしまったときの対策というか覚悟はあるね。


で、今回はメンバーのみなさんといつもお世話になっているKさんに、虫六超オススメのニコルの牡蠣のオイル漬けを3瓶お土産に持参していたのですが、渡せなくなりどうしましょだったのです。これは、本気でもったいない。
しかし、今日、お昼にお会いしたFさん、電話をくれて上野での受け渡しに応じてくれたKさん、晩ごはんをつき合ってくれたNさんに、それぞれ喜んで貰っていただくことができて、ニコルの牡蠣大使としての役目は果たせたのでした。良かった。
いちおう、東京まできた甲斐があったということで。

【追伸】
一夜明けて、東京の方は雪は落ち着きそうな気配ですが、今晩帰宅する予定のS市の方は、78年ぶりの積雪っていうんですけど、帰れるのか虫六!?


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2014年2月5日水曜日

なぜか橋本で映画『小さいおうち』を観る

なぜか上京して相模原市付近に潜伏中の虫六です。
虫六子の付き合いで3日ばかりホテル住まいとあいなってしまったのですが、悲しいことに何もできない。
銀座方面にも出かけられず…せつないのう。

ふと、ホテルから出てみたら、なんと隣のビルが映画館でした。
(やたー、シネマ歌舞伎か(^◇^;)?などと都合のいいことを考えたけど、なかなか面白そうなのがなくて、唯一食指が動きましたのが山田洋次監督の『小さいおうち』。松たか子と黒木華の共演なのだ。賠償智恵子さんのおばあちゃん演技がリアリティあって凄い。女中のタキさんの生き様は、当時東北に生まれた娘たちにとっては、珍しいものではなかったものだと思います。
亡くなった実家のおばあちゃんを思い出しました。



はじめて入る見知らぬ土地の映画館。
でも、心配ごとがあると、なかなかすんなり映画にも入り込めないものですね。


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2014年2月1日土曜日

1月に読んだ本

2014年1月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1165ページ
ナイス数:41ナイス

政と源政と源感想
腐れ縁の幼なじみのシニアコンビにつまみ簪職人の師匠と弟子。あいかわらず面白い設定をもってくるなーと即買いしたのですが、期待したほど面白くなかったかな。人物造形と組み合わせが基本的にマンネリっぽく感じられ、ステージを変えただけ?っていう印象が残りました。お話とはいえ70数年生きた老人のものの考え方や行動パターンってこんなものかなぁ?現実離れしたあの挿絵のせいかもしれませんが…。唯一好感を持った(質量を感じた)のは国政の奥さんの清子さん。ハガキのエピソードはさすが!と巧さを感じました。
読了日:1月29日 著者:三浦しをん

勘三郎伝説勘三郎伝説感想
客席と楽屋を自由に往来できる著者ならではの立場から十八代勘三郎の思い出を綴った1冊。小さい時から見続け応援してきた著者の喪失感は、若殿を失った乳母のような感じなのかな…。太地喜和子さんとのエピソード以外はプライバシーというより中村屋が芸の肥やしにした交友関係を紹介した内容。家族や大竹さんや野田さん、釣瓶さんというよく知られた友人とのことにはあまり触れられていない。記憶に残る何気ない会話にも中村屋の死に至る予感めいたものを見いだして筆が止まっている様子も伝わってくる。1年過ぎても埋められない喪失感は同じだ。
読了日:1月13日 著者:関容子

虹の娘 (Feelコミックス)虹の娘 (Feelコミックス)感想
「あれがいいこれがいい」と一緒に大人買いで一気読み。こちらは初期の短編集。とりあえず、この方の描き出すものは見てみたいと思わせます。『愛され洋輔』は名作ですね。全体的に、携帯のモニターに出る文字が手書き文字というアナログ感が可笑しい。
読了日:1月13日 著者:いがわうみこ




あれがいいこれがいい (Feelコミックス)あれがいいこれがいい (Feelコミックス)感想
書店でお薦めしていて衝動買いしてしまいました。赤裸々でテンポのいい筋立ては明らかに娘世代が読むラブコメですが、かつ、この絵も巧いのかどうか微妙ですが(しっかり女子の描き方が女装男子と区別つかない)、面白く読んでしまいました。誰かに感情移入させるわけでもなく、「頑張れ」とか「かわいそう」とかいう感想を強要してこない、温度の低いところが惹きつけます。年頭から注目作家に出会った感じです。
読了日:1月13日 著者:いがわうみこ

今日の「あまちゃん」から今日の「あまちゃん」から感想
つくづく「あまちゃん」は奇跡のようなドラマだったと思う。著者の鋭い観察眼は深読みに次ぐ深読みで、琥珀を磨くどころか隧道をさらに掘り進み思わぬ鉱石や光穴まで探しあててしまう。それは脚本や演出や音楽など作り手の意図したものも、役者の演技の中に生まれたものも、ただの偶然だったものもある。ブログで少し知っていたので自分には手に負えないかと覚悟して脚本を脇にして読み始めたが結果はそれを開くことはなかった。取り上げられた場面はほぼ記憶のどこかに引っかかっていたものだった。6月20日「椅子からの視線」は二度泣きした。
読了日:1月5日 著者:細馬宏通

読書メーター

笑いの芸術「野村万作・萬斎 狂言公演」in Sendai 2014

今年も野村万作・萬斎さんの狂言地方公演がやってきました。


○笑いの芸術「野村万作・萬斎 狂言公演」
 日時:1月30日(木) 午後7時開演
 会場:東京エレクトロンホール宮城

【番組】
解説: 野村 萬斎

小舞「八島 後」 中村修一  地唄 内藤連・深田博治・飯田豪

狂言「墨塗」 大名:石田幸夫
       太郎冠者:月崎晴夫
       女:高野和憲 
       後見:内藤連

狂言「止動方角」 太郎冠者:野村萬斎
         主:深田博治
         伯父:野村万作
         馬:飯田豪
         後見:中村修一

いつも感心するのですが、萬斎さんは解説がうまい!たっぷり30分。これから見せていただく演目を動作を交え、見どころを踏まえて分かりやすく、面白く、淀みなく教えてくれます。これがひとつの演目のようにさえ思える。1時間でも聞いていたいほどなのでした。

今回は若手による小舞「八島 後」がはじめにあり、狂言師のトレーニングの一端を垣間見ました。きびきび揃っていて迫力がありました。

「墨塗」は、「平中物語」などに見える古来の説話を素材にした狂言だそうで、訴訟のために遠国から都入りしていた大名が、コトが解決したので帰郷することになり、在京の間に馴染みになった女性に別れ話を切り出しにいく話。
自分から言いだしにくくて、同伴させた太郎冠者に「お前から言え」とむちゃぶりするご主人様がお茶目で可愛かった。で、女は女でしたたかでありまして、鬢水入れの水で目をひたひたさせて泣いたふり…。それを見つけた太郎冠者が主人に耳うちするんだけど、「バーロー、あいつは俺に惚れてるんだぞ、そんなわけあるかー」と信じてくれない。そこで機転を利かせて…。
萬斎さんが解説で「狂言の女形はがっかりすると思います」と言って会場を沸かしていましたが、たしかに“記号・女”って感じなのに、なんだか愛嬌が感じられ、親近感が湧きました。逞しや、中世の女。

狂言って紙芝居のポンチ漫画みたいだな。

つづく「止動方角」は干支にちなんで馬が出てくるお話。見栄っ張りな主人に命じられて、おじさんのところにお茶くらべに使うお茶を借りにやらされることになるのですが、主人は「お茶は極上のやつ、ついでに太刀と馬も借りてこい」と、これまたむちゃぶり。
言いにくい交渉ごとを何とか上々に済ませて、注文の品を借りることができたものの、この馬にクセがあり、後ろで咳をすると暴れだすという。馬を鎮めるためには呪文があって、それが「止動方角」。

モノを与え呪文を教える万作さん演じる伯父さんは、まるで魔法使いのようです。去年は風邪で休演されたのですごく心配しましたが、今年はお元気な姿が拝見できて眼福でした。

せっかく言いつけを果たしてきたのに、わがまま主人は太郎冠者の労をねぎらうどころか「遅い!」と叱りつけ、なんだかんだと文句たらたら。堪忍袋の緒を切らした太郎冠者は馬に乗った主人の後ろで咳払い…。

この“記号・馬”がヘン!なんとも言葉では表現できませんが…。しかし、たしかに正面からみると馬に乗ってる人に見えました。

このユルさ、大らかさはクセになりますね。来年も楽しみです。

それにしても万作さんのシテの演目をたっぷりみたいなー。