正直にいいましょう。
先日までの深海魚生活のさなか、虫六1日ばかり黒ずんだ日がございました。
それは3月28日S市会場で行われた市川海老蔵特別公演「源氏物語」。
なにしろ大変でした、このチケットとれなくて。ネット系プレイガイドの各種先行予約、地元デパート会員限定前売り、全て撃沈!…結局、ご一緒したシャーママさんの粘りに粘った一般発売日の電話予約(それもぎりぎりで応援部隊のシャーパパさんの方の電話)が繋がった…という、劇的なチケット争奪戦の末に手に入れたチケットでした。地方公演なのに、なんなんだろう…このヒートぶりは。いつも観劇話をする職場のおばちゃんもあきらめたと言ってました。いったい、この会場にいるみなさん、どうやってチケット手に入れたんですかー?!S市在住の方、何割くらいですかー?
市川海老蔵特別公演「源氏物語」
第一幕 冬の巻 雪の石山寺
春の巻 宮中桜の宴
第2幕 夏の巻 夕顔の咲く頃
秋の巻 光と影の間
光源氏 海老蔵
兵部卿宮 市蔵
春 宮 九團次
王命夫 廣松
夕顔の君 ぼたん
藤壷の女御 吉弥
紫式部 京蔵
桐壷帝 能楽師
六条御息所 能楽師
頭中将 能楽師
能楽師というところは日替わりで、虫六が観た公演では
シテ 観世喜正・林宗一郎
地謡 梅若紀彰・角当直隆・川口晃平/後見 坂口信男
小鼓 吉阪一郎/大鼓 亀井忠雄
海老蔵丈の、光源氏を地でいくようなナル度も含めた匂い立つ舞台役者ぶりについては、いまさらなので省略するわけでありますが、今回の発見は能楽部分の面白さでした。
ぼたんさん演じる夕顔の君に取り憑く、六条御息所の生き霊を能楽師のお二人が面を付け分けて分身となって、光の君と夕顔をそれぞれ呪い憑くのですが、これが歌舞伎とも違う、能とも違うものになっていて面白かった。贅沢なキャストでもある亀井忠雄さんの大鼓が迫力ありました。
ぼたんさんも見せ場たっぷりの踊りで熱演でしたが、演技の方は慣れてないのか初々しさがありました。そういえば、春宮役の(解説もしてた)九團次さんって、こないだまで竹三郎さんのお弟子さんしていた薪車さんではあーりませんか?
役者さん達も頑張っていましたが、印象に残ったのは、音楽の方々。
能楽の囃子方も凄かったのですが、長唄は小間蔵・勝松、箏曲に露秋さんがいらしてました。これだけでも十分に嬉しいけれど、邦楽に加えて、オペラ音楽が入るという…。個人的には西洋音楽と合わせてどおよ?とあまり期待していなかったのですが、これが予想外にとても良かったの。なにしろ楽器がリュートやビオラ・ダ・ガンバなどの古楽器で、この渋い音色が幻想的な舞台にとても合う(!)上に、カウンターテナーの超高音域ボーカルが光源氏の心の闇を照らし出して心に溜まりました。
いろいろな意味で挑戦や冒険を感じる舞台でした。
(もっと記憶が新鮮なうちにレポートしたかったのですが…遠い目)