2018年11月7日水曜日

10月に読んだ本

10月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:919
ナイス数:35

きのう何食べた?(14) (モーニング KC)きのう何食べた?(14) (モーニング KC)感想
途中3巻ほど抜けてしまったのですが、違和感なく1話完結でも読めるところは秀逸。とりあえず、明日は久しぶりで角煮にしようと思って、今晩のうちにバラ肉下ゆでしました。(笑)←影響されやすいので。
読了日:10月29日 著者:よしなが ふみ

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 (幻冬舎文庫)貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 (幻冬舎文庫)感想
Kindle版。先だって読んだお父さんのことを書いたエッセイやラジオの人生相談の切れ味の良さで、ジェーン・スーさんは最近とても気になる人物です。女子目線ではあるけど、ちょっと立ち位置がずれている。めんどくさいこともあえて丁寧に考えてみる…でも難しい言い方をする分けじゃない…は好ましい。ただ10年くらい若い方なのと、東京生まれ東京育ちの方のなので、いろいろと感性的な齟齬はありました。てなわけで、とりあえず娘にお薦めしておいたがどうだろう。
読了日:10月22日 著者:ジェーン・スー

この芸人に会いたい: 観て、撮って、書いた。旬の芸人・落語家たちこの芸人に会いたい: 観て、撮って、書いた。旬の芸人・落語家たち感想
これも本屋で手にしてつい買ってしまった1冊。「スペシャリスト」に恩田えりさん、太田そのさん、稲葉千秋さんの三人のお囃子さんが載っていたから。これは買わずにおけないでしょ。それにしても写真の力はすごいなぁ…といっちゃいけないね…ファインダーを覗く蓮二さんの目が深いってことなんだもん。写真集かと思ったら、それぞれにエッセイがついていた。これも愛情があっていい。寄席のすみずみまで空気を感じさせる。落語さんはもとより、ダメジャン小出さんとか、ぺぺ桜井さんとか、ロケット団とか…いいですよ。保存版ですよ。
読了日:10月21日 著者:橘 蓮二

神田松之丞 講談入門神田松之丞 講談入門感想
ネットではピンとこなかったけど本屋で見たら思わずレジに並んでました。レイアウトが見やすい。確かに松之丞さんのいうとおり講談初心者の「この話なんての?」に答えてくれる引ける本ってみたこと無かった。歌舞伎や落語はあるのにネ。そういう意味で扉を開けてもらった感じ。そしてその扉の向こうには随分深く面白い世界が広がっている気配。講談ってなんでこんなに長いの?1寄席では1話ずつだけど連続読みで聞きたくなってしまうよ。独演会行きたくなるわけが分かった。「畔倉重四郎」はぜひ機会を捕まえたいな。故陽司先生の名前も(;ω;)
読了日:10月12日 著者:神田松之丞

読書メーター

2018年11月3日土曜日

一世一代?仁左衛門の『助六』_歌舞伎座十月大歌舞伎・夜の部

歌舞伎座百三十年「芸術祭十月大歌舞伎」は、十八世中村勘三郎七回忌追善でした。
夜の部に仁左衛門さんが『助六』を掛けるというので、虫六も黒い羽に磨きをかけて、花道脇の良席をゲット!久しぶりの贅沢芝居見物となりました。
(すみません、ブログをサボっているだけで、そこそこの席で春場も夏場も芝居は見てました…と白状だけしておきます。)

本当は、昼の部も幕見で観ようかと目論んではいたのですが、今月は幕見もヒートアップしているご様子で、さらに日曜日だったので一番列車(もちろん新幹線です)に乗る体力はないなーという自覚があったのと、そこで無理をして夜の部に居眠りしてはいかん!とさまざま考えて、昼過ぎに木挽町に到着。古本屋さんで油を売って、N姐さんと待ち合わせ時間に合流。

勘三郎さんが亡くなって丸6年…もう7回忌なんだって。なんだか信じられないなぁ。
遺影の前に人だかりがあり、正面から上手く撮れませなんだが、…合掌。

 で、どおして中村屋の追善に『助六』なのか?なんですが、これは仁左衛門さんが重ねてインタビューに答えていらっしゃいますが、十五代目仁左衛門の襲名披露狂言として『助六曲輪初花桜』をお掛けになったときに、その役を教えてくれたのが十七世の勘三郎さんで、それをいずれ十八代目に教える約束をしていたけど、それを果たす前に十八代目が亡くなってしまったのですね。その果たせなかった思いをつないでいくため、今回の追善で勘九郎さん、七之助さんと同じ舞台に立って助六を演じることにしたそうです。
白酒売りで勘九郎さんはこの舞台を身体にいれて、いずれ助六を演じる日がくるのでしょうし、「七之助くんを揚巻役者にしなければならない」という仁左衛門さんの言葉にはしびれます。歌舞伎の将来を見通しての今回の舞台。仁左衛門さん、やる前から「一世一代の助六」とささやかれていました。そして、当代随一の揚巻役者である玉三郎さんが、曽我十郎(白酒売新兵衛)・五郎(花川戸助六)兄弟の母・満江の役でご出演…という。

勘三郎さん、貴方のお子様たちはこれほどに支えられておりますよ…。

そして、福山かつぎには仁左衛門さんの孫の千之助くん!!歌舞伎ファンとしてはその先の舞台にまで夢を馳せるよねー。

ちょっと話題はそれますが、
通称『助六』は、成田屋さんの専売特許みたいな演目ですが、成田屋さんがやるときは花道から登場する時の「出端の唄」を河東節が演奏し、この曲名が「所縁江戸櫻」というので、外題を『助六所縁江戸櫻』というらしいです。しかし、成田屋さん以外でも『助六』は演じられており、高麗屋なら『助六曲輪江戸櫻』、音羽屋なら『助六曲輪菊』、松嶋屋なら『助六曲輪初花櫻』などと外題を変えて、成田屋が河東節を用いる「出端の唄」を長唄や清元、常磐津などに書き替えて上演しているそうです。(Wikipedia『助六』より)

つまり外題は、「出端の唄」の曲名から来ているのですね。
ちなみに、松島屋さんは長唄なんですが、長唄の『助六』ってカッコいいんですよね、曲だけ聞いても。虫六は大好きな曲です。

今回、虫六は 、出端の助六さんが傘を閉じてしゃっと水を切った雨の雫が飛んでくる至近距離にて観劇させていただきました。(今年の運はここに使い切ったかなー)
『助六』にご出演の役者さん達は基本的にみんな花道から登場するので、この席は満足度高いですよね。ふふふ。

七之助の揚巻は華があっていいですね。口跡が良いのでセリフも聞きやすい、ときどき張りすぎて地声になって夜長姫を思い出しちゃったけど、舞台オーラは若手の女形では群を抜いていると感じました。まだ初演なので、これからもっと艶を磨いていって欲しいです。
意休さんに悪態をつく伝法(?)なところもはまっていましたが、母・満江と奥から出てくる様子は一変して恋人を思う乙女でしおらしい。…っていうか、玉様の存在感が半端ないんですよ。顔を隠していらっしゃるのに…。

歌舞伎座閉場の頃、跡継ぎがいない玉三郎さんが仕事量を減らしていることに鑑み、芝居好きの仲間と今後の真女形の後継者問題はどうなるの?真女形がいなくなったら、歌舞伎じゃなくなるんじゃないの?と心配していたけれども、いやはや七之助の成長は頼もしい。そして、それをもうそこまで追ってくる形で、児太郎さん(白玉をしてました)や梅枝さん、壱太郎さんが成長しているのも好ましいです。これも玉さまの教育のおかげなのかも知れないですが…。

成長と言えば、巳之助さんが大きく見えました。朝顔仙平も存在感ありましたけど、前演目の『吉野山』の早見藤太がご馳走感。第三の主人公でした。『NARUTO』も主演でがんばっていたけれど、もっと大きな役いただいてほしいです。

歌六さんの髭の意休はダンディで、仁左衛門助六にがっちり対峙していました。そして、基本的に、歌六さんのやる役は全部好きな事に気がつきました。
取り巻きの若い衆の浴衣が、松嶋屋の銀杏柄で可愛かったな。松嶋屋さんのグッズが少ないので、あの柄で手ぬぐいでも作って欲しいものです。

で、いよいよ助六さんの出ですが、花道間近で拝見していましたら、足の運びがとても慎重なので、高い下駄をはいているし、きめのポーズもいくつもあるしでこんな感じなのかな…とか、それよりも「美しすぎる74才」に驚愕しつつ、思っていたのですが、ふと目の端に下手の花道の付け根で後見の松之助さんがすんごく心配そうに緊張の面持ちで控えていらっしゃるのが目に入り…(えっ?旦那、もしかして調子がよろしくない???)と不安になりました。もう心がざわざわ。
…ところが!一旦、セリフが入ってきたら、もう仁左衛門さんの呼吸に飲まれてしまうのだね。陰影のある美男子が、生意気なモテ男になり、やんちゃな弟になり、母親に頭のあがらないガキになる…いやはやこの方いったいおいくつなんだ。
いつもそうなんですが、仁左衛門さんのお芝居は、息をすることを忘れてしまうのよね。

フォロワーさんが、「仁左衛門さんの意休も見てみたい」と鋭いことをおっしゃっていましたが、そうなんだ!と納得。お父様の十三代目は意休がはまり役だったのですね。ちょうど十三代目の写真集『風姿』を予習がてら見ていて、六代目歌右衛門の揚巻に意休役で出演されている写真を拝見していたのでピピンと来てしまいました。
勘九郎さんが助六で掛ける時には、ぜひ、意休役で付き合っていただきたいです。これは見応えある勝負になるよう。勘九郎さんも助六役が似合いそうですし。

ところで、今年の文化功労賞に仁左衛門さんが選出されました。ヽ(´▽`)/ おめでとうございます!

で、それを伝えるニュースを見て驚いたよ。「いつものように先輩や自分のビデオを見直している最中、十一世團十郎の助六を見ているところで今回の一報を受け」たって。
( ̄◆ ̄;)
えっ、研究していたの?もしかしてまだまだ「攻め」の姿勢じゃないですか?誰ですか「一世一代」なんてデマをとばしてんのは。私は、仁左衛門さんの意休も見たいけど、進化した助六も見てみたいよ。そして、文化勲章もらっちゃってください。

勘九郎さんも奮闘なさっていました。大河ドラマ出演のために身体を絞って小さくなっていましたが、相変わらずの切れの良い踊りは気持ちが良かった。『吉野山』は眼福でした。人でないものの妖気を纏った獣的な動き方が上手いですよね、勘九郎さんは。狐大好き。
こちらでは、玉様は可憐な静御前なのですよ。一部の中で、お姫様役から老け女形まで、この振り幅が凄い。そして、それを楽しんでいるという感じ。なんだかんだで一番余裕があったのは玉三郎さんでした。

もう遺児というのも憚られるほど立派になった中村屋の兄弟。新作に挑戦していくのも良いのですが、今月の芝居のように、古典をしっかりやって引き出しを増やしていって欲しいです。古典の魅力をしっかり今の観客に伝えられるようになってこその、歌舞伎の将来でもあると思いました。

追記。「宮島のだんまり」は、役者をカタログのように見せるという趣向が、歌舞伎臭くてとても面白いと思いました。花魁の六方って初めてみた!


2018年10月17日水曜日

2度目の「梅の栄」_第5回忠美恵会

13日は、我が松永忠美恵一門のお浚い会でした。

予告のとおり、会場は宮城県知事公館。明治時代の建物です。
もう、お座敷文化が壊滅している仙台あたりでは、長唄の演奏会などさせてくれる会場はなかなか無いのです。いつもお借りしている広瀬川沿いの市民センターはこの日、自前館のお祭りイベントで貸し出ししないと言われ、途方にくれた先生を尻目にこの会場を探しだしたのは、へへへ、虫六の手柄です(←つまり自分で自分を褒めている( ̄ー+ ̄))

お天気も良くて良かった。

ただ場所を貸していただくだけなので、会場作りも限られた時間内に自分たちでいたします。といっても、今年は忠美恵会の参加メンバーは3名。家の事情や健康問題などでお休み中の方々もいて寂しい限りです。そんなわけで若手(といっても50代)が中心になって家族・親族を動員してバタバタと。
「何人来るかなー、足りないんじゃないかな…」
「座布団、もっと前に出したら…」
「だめだめ! 」(←なるべく客席と距離をとりたい人の声)

本日の番組と曲解説。

東京から松の会の皆さまがご到着。貴賓室を控え室に使っていただきました。
「へー、知事さん使ってないの?」
「良い建物ですよね。庭もきれいねー」

貴賓室にセットアップされたお三味線。

そのころ、我が一門の控え室では…。
(いや、もう緊張するからこの部屋にいたくないのであった…)

本番前に、忠三郎先生に調弦していただいて準備完了!

あとはやるだけー。
虫六は番組最初の方で「梅の栄」を演奏しました。
実は、この曲は3年前の仙台でさせていただいた曲。覚えておられる方も少ないと思いますが、成長できているかどうかを、自分にも課せられておりました(;´▽`A``
でも、実家往復のため夏にお稽古できなかったので、自分の中にはやる前から敗北感があったのですが、なんとか挽回して仕上がったので、自分を追いつめるつもりでお友だちにお知らせしたら、たくさん聞きに来てくれて、嬉しいやら緊張するやら…。
足を運んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。

辞めるのは簡単だけど、細く長く続けていれば、苦しいときもこの楽器が心の支えになってくることもあるのかな。小さなお婆ちゃんになったときに、膝に三味線が乗っている人生はなかなか捨てたもんじゃないな、と思います。
いまが、いちばん細い時期なのかもしれないな…とも。

録音係を頼んだ家人Tに「ねー、私の写真撮っておいてくれました?」と尋ねたら、
「あー、忘れてました」と… ○|_| ̄ =3
(「ボーっと生きてんじゃねーよー」と5才児になりかけましたが、お休み返上で手伝いに来てくれたことを思い出し、ま、これも良しとするかと。)

松の会の皆さまの応援で、番組を立派にしていただき、姉弟子Nさんの「都風流」も良い出来で(舞台裏で聞きました)、殿をつとめた兄弟子Kさんの「二人椀久」(後見しながら聞きました)も見事に決まって、達成感のある会でした。
「二人椀久」…超難曲なんですけど、自分が弾くことあるんだろうか(遠い目)
忠三郎先生の『邦楽ばなし』やそのあとの『鏡獅子』の曲弾きもご馳走でした。

はあー、おわったー!
開放されて楽しげな表情の皆さまと、知事公館をあとにして、

卵酒が美味しい河原町の「築館や」さんで、るんるんのお食事会。

で、このあと、少人数で、断酒していた兄弟子Kさん行きつけのカラオケスナックにて、「昭和歌謡を後世に残す文化活動」に参加したんだけど、いやー、芸達者な方々の余興ほど面白いものはありませんですね。チャーミングすぎるこの人たち。
K江先生の『ひばりの佐渡情話』、…あまりにも絶品で耳福だった話は、もったいないので教えてあげない (/ー\*) 

2018年9月26日水曜日

球根の正体

さて、後日談。
大方の予想を裏切ることなく、伸びてきた球根の芽は、この花でありました。
お彼岸に咲く花ね。
茎が短いやつもありました。

「彼岸花」とも「曼珠沙華」とも呼ばれるこの花は、
国立公文書館さんの春分の日(9/23)のツイートによると、「石蒜(せきさん)」とも言うそうで、鱗茎は毒性がとても強いので、くれぐれも口にしないように…とのことですが漢方の外用薬として用いられることがあるんだとか。

国立公文書館 (@JPNatArchives)
今日(9/23)は秋分の日。『庶物類纂図翼(しょぶつるいさんずよく)』より石蒜(せきさん)です。同書は幕臣の戸田祐之による薬草類の写生図画集で石蒜は彼岸花の生薬名。猛毒の鱗茎は服用厳禁ですが、漢方の外用薬として用いられることがあります。
buff.ly/2Nw2Qye pic.twitter.com/reUm9oI49T

2018年9月18日火曜日

松と球根

2年ほど前でしょうか、我が家のベランダのプランターに、どこからか松ぼっくりのタネが飛んできたらしく、それが芽を出したのです。

なんじゃこりゃ?松だぁー!と、なんだかありがたい気分で、そのまま放って置いたら、

松ってけっこう丈夫なものらしく、特に世話もしないのにニョキニョキ伸び出してきたのです。

夏ともなれば、1年ポッキリで伸びて枯れてしまったり、地を這うように枝や根を伸ばすハーブたちに混じって、慎ましく枝をまっすぐに伸ばしている姿をみて、「なんだか小学校の教室みたいだなー、個性色々で…」などと面白がっていたのでしたが…

今年の夏、急に父が逝ってしまい、自分が建てたお墓に隠れてしまったので、また、(神道なもんで)お墓には榊だけでいいというのが父の信条でお花も上げられないので、思い立って、寂しくないようにと我が家の松の木を50日祭の日にお墓の脇に移植してきました。
そのとき、植えようと土を掘ったら、よく分からない球根がぽろぽろとたくさん出て来まして、「なんだ、なんだ、物々交換か?」と、これも父がくれたのかな?とか、いささかセンチメンタルな気分にもなり、家に持ち帰って、松を引っこ抜いた穴に植えておいたのですが…。

なんと!昨日水やりにベランダにでたら、急にこんな芽というか枝がにょっきり生えているではありませんか!!
3日くらい前は気がつきませんでしたぞ…(このところ雨模様だったので水やりを控えていたのです)。

びっくりした…。

たぶんあの花ではないか…と思っているのですが、答えは2、3日後に。

それにしても、あの松は元気で大きくなっているかな?誰かに引っこ抜かれてないといいなぁ。
ヾ(;´Д`A 


2018年9月5日水曜日

このところ読んでいた本

歌謡曲から「昭和」を読む (NHK出版新書)感想
歌謡曲を通してみる文化論。「昭和」の時代に最前線でヒット曲を飛ばしてきたなかにし礼さん。その見識の深さは、自らが闘って来た相手を分析する目なのかもしれない。軍歌と流行歌のことを説得力をもって語れる数少ない書き手だと思う。今のヒット曲の作家達が時流にながされてマインドコントロールの先鋒を担ぐことがありませんように。
読了日:08月30日 著者:なかにし 礼



愛されすぎたぬいぐるみたち感想
愛されすぎて「ライナスの毛布」みたいにボロっちくなっても、まだ大切にされているぬいぐるみの写真集。それぞれのエピソードもいろいろ。持ち主が変わったりして100歳を越えるぬいぐるみもある。「キリンのゲリー」君にいたっては、どこかのお堂の秘仏みたいだった。愛くるしさやふわふわを通りこして、ぬいぐるみの中に魂を育てていくんでしょうね。
読了日:08月25日 著者:マーク・ニクソン



人形有情―吉田玉男文楽芸談聞き書き感想
何かの事情でガチの取材が出来なかったのかもしれないけれど、玉男さんの言葉を拾い集めてでも残したいという宮辻さんの執念が伝わってくる。そして、玉男さんの芸を映像でしか拝見できない後発のファンとしては有り難い。「ぼくは半兵衛(人形の役)の気持ちにはなってませんなあ。半兵衛の気持ちを表そうとしていますけど。」という珠玉の言葉を引きだした時「えー、ふふふ(と恥ずかしそうに笑い)」と入るのは、お二人の距離感が感じられてなんだかいい。イケイケの取材でもなく、俺の話を聞けでも無く、逆に玉男さんの人となりが伝わって来る。
読了日:08月30日 著者:吉田 玉男,宮辻 政夫


頭巾かぶって五十年―文楽に生きて感想
蓑助さんの27年前の芸談。桐竹紋十郎の芸談(安鶴さん著)の続きの勢いで読了。昭和8年人形遣いの家に生まれ、物心つく頃から楽屋に出入りして足遣いに。昭和文楽界の様相や人情が伝わってきて舞台からは見えない部分の描写に引き込まれた。文楽が2つに分断されたのは労働運動だったというのも改めて認識。その時代に組合側だった三和会が上演場所を求め、地方の学校などを会場に旅興行を続けたのが昭和38年まで15年にも及んだそうだが、今の地方公演や学校公演の基盤になったのかな。息子を残して父が組合を抜けるくだりはやるせなかった。
読了日:06月09日 著者:吉田 蓑助


生きるとか死ぬとか父親とかの感想
 ホントは読み途中の本があったのだけど、新刊が届いたので週末の上京の道連れに。往復の新幹線で読んじゃった。魅力的なお父さんと読めるのはスーさんの大人度がなせる技もありなんでしょうね。親の老い、生と死…避けがたく、互いに剥き出しになる現実。他人事じゃないのよ。…それと、スーさんの活躍(稼ぐという意味で)の原動力がお父さんというところは、なかにし礼さんを思い出した、なぜか。
読了日:05月22日 著者:ジェーン・スー



フクシマ・抵抗者たちの近現代史: 平田良衛・岩本忠夫・半谷清寿・鈴木安蔵の感想
 ある日、南相馬市に住む高校時代の恩師(84才)から突然手紙が届いた。偶然図書館でこの本を読んだと、心に思うことが吐露されていた。貧しい土地の歴史、貧しい社会を変えるために人生をかけた先達のこと、そして原発のゆくえについて。すぐに買って読んでみた。自分の故郷にこんな偉人たちがいたなんて知らないことばかりだった。何を教育されてきたのだろう。日本国憲法の実質的な起草者として知られる鈴木安藏の生家は南相馬市小高区で、いまは居住制限の区域内にある。基本的人権が、戦争放棄が、蹂躙されている現状を象徴する出来事だ。
読了日:05月7日 著者:柴田 哲雄


文楽 芸と人の感想
批評というより文楽への愛情がほとばしる著書。古靭太夫(山城少掾)の芸談も、二世桐竹紋十郎の芸談も、間の良い魅力的な文体で快読させていただいた。悔しいのは、名人たちの生の舞台がみられなかったこと。人気絶頂の紋十郎の華やかな芸が、以前、安鶴さんは鳥肌が立つほど嫌いで酷評を書きつづけていたそうだが、ある時から、一転して大好きになったという話が心に残った。文楽が二つに分断された時代の苦しさ、それを乗り越えて紋十郎が掴んだ芸の真髄、さらに苦楽を団結して成長したその弟子たちを見つめる批評家の眼が厳しく、また優しい。
読了日:04月22日 著者:安藤鶴夫

読書メーターより

2018年8月28日火曜日

お稽古再開

はぁ、5月の、慙愧丸P観桜会のあとから、「いろいろ」と一口では括れない出来事が動かしがたくあり、結局6月〜8月とほとんどお三味線どころでない状況になってしまいまして、お稽古をお休みにしていただいておりましたが、本日よりお稽古を再開いたしました。


もう、手もぼろぼろかなと思って、恐る恐る師匠の前に座りましたが、けっこう身体が覚えていてとりあえず最後まで弾けまして、師匠も意外そうにしてました(苦笑)
譜はみたけれども(;゚∇゚)

しかし、本番は10月13日(土)。あっという間だね。
大丈夫なんだろうか…。すでに身心くたくたなんですが。

ところで、今年の忠美恵会の会場は、なんと、宮城県知事公館であります!


長唄にはそれほど興味ないという方でも、この建物にはいちど入ってみたかった…という方いませんか。ご用とお急ぎでない方はぜひ演奏会を聞きにきてくださいませ。
虫六までご一報いただければご案内差し上げます!

こんなステキな会場で恥ずかしい演奏をして、悲しい思いをしたくないので、
これから猛練習ってことで。


冒頭に申し上げました私事に関わる「いろいろ」につきましては、心の整理がついた順にぼちぼち書くかもしれませんが、書かずに終わるかもしれません。

2018年5月3日木曜日

慙愧丸プロジェクト観桜(葉)会2018

ご無沙汰しております。虫六でございます。
「ブログは筋トレだ!」とかエラそうなことを抜かしていたにも関わらず、もう“ことば筋肉”もショボショボの体たらく…情けない今日この頃…。3ヶ月ごとにやってくる激務マンスリー(休日なし&深夜残業)が尾を引いて、免疫力激落ちの昨今でございます(ああ、去年の今頃は帯状疱疹だったわい)…が、元気の出るイベントがありました!

それは!毎年恒例の、『慙愧丸プロジェクト観桜会2018』でございます。

まあね、今年は桜も花は期待してなかったわけですが、それでもいつもよりお早めの4月30日だったのに、…葉桜どころかまったく咲いてませんでしたな。
でも、暖かくて風もない、心地好いピクニック日和でした。

さっそくお弁当を拡げたその真ん中に…。

監督が持ち込んだ、謎の装置…。なにこれ?

なんと子どもたちが小さい時に遊んでいたという「回転寿司ごっこ」のおもちゃでした。
こんな風に使用。ただずっと回っているだけ、ボタンを押すと粋な掛け声「へいっ、らっしゃい!」「ハマチ一丁!」とか言ってんの。笑。
ナンセンスで面白いっす。
小さい装置なのに、けっこう自分の手前に来るまで、取るタイミングを待たされてしまうんだな、これが。

虫六持参の代わり映えせぬ「ハム巻」も、カップインでくるくる回ってきた。
やーん、なんだか可愛くなっちゃった。

監督、これ面白いわ。来年も持って来てね。

幹事長N純は、これまでのアウトドア用炭火コンロを脱却して、新兵器を投入。ブルーシート場外料理担当から、プレゼン型料理人と化していました。

さっそく、W君が作ってきたトマトソースパスタを目の前調理。おー、旨そー!
あ、ちなみにこの手はゴジラではありません。
 
いつものように、食べたいもの持ち込み方式、ダラダラのみ。
とりとめのない話で過ごす1日。
ときどき横になる、有り。

今年は決め打ちで日程設定をしてしまったので、プロジェクトメンバー面々の半分は、お仕事等で参加出来なかったのですが、K監督家、幹事長兼板長のN純、S家(虫六子は帰省出来ず欠席)、と、去年あたりから参加の、Mちゃん、W夫妻とそのお友だちでニックネーム「師匠」さん(←昨日命名)、遅れて今年春から仙台住民に戻って来たKりんも加わって、けっこう賑やかに。

酔っ払って、どんな話をしたか、ろくすぽ覚えていませんが、覚書。(順不同)

・「羊の木」の映画と漫画の件。(裏話あり)

・「チコちゃんに叱られる!」が面白い件

・「鳴子温泉郷物語」再演するらしいの件

・人間はどうして2足歩行の進化を選んじゃったかな?からの、ナックルウォークの件からの、人間は宇宙の中でちょうどうまく進化に適応した生き物だったという説があるらしい件。

・広島の脱獄囚が、どうやって脱獄したのか?の件。味噌汁で鉄格子を腐食させた or スプーンでトンネル掘った…。

・いま数学に惹きつけられる件(監督)。数学の理論は分からないが、数学者の人生や歴史からしかなぞれないけれど、とにかく面白いんだ…。アレフゼロとか、カントールとか、ガロアとか。

・KAちゃんが葬儀社に就職してエンバーマー(遺体修復師)の資格取得のために勉強中で、KOちゃんが今年はニューヨークに短期留学して超有名人の家にホームステイした…という話で、K家の子どもたちが「生きる力」半端ない件。

・虫六が高校の恩師から手紙をもらった件(←後日書きます)

とかとか。話題は尽きず…。
なんだかストレスフリーで、いい1日でした。

今年は秋もやるかー、芋煮会!って感じで終わったのでした。



2018年3月8日木曜日

2月に読んだ本

2月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1477
ナイス数:20

兄弟 (文春文庫)兄弟 (文春文庫)感想
「石狩挽歌」の歌の背景は凄まじい世界だった。まともに仕事をしたことはないのだけれど、うまくいかないと分かれば徹底的に負けないとおさまらず、億単位の借金を弟に肩代わりさせて、当たり前と悪びれもせず虚勢を張る、特攻の生き残りの兄。他人からみたら、こんな無茶苦茶な怖い人世の中にいるの?!なんだけど。それを受け入れて借金を完済しつづけ(!)なお鎖を断てない、才能ある弟も凄い。なかにし礼の作詞家としての成功の裏に、こんなブラックホールみたいな兄の存在があり、それがある意味、創作のエネルギーだった、というのも。
読了日:02月24日 著者:なかにし 礼

羊の木(5) (イブニングKC)羊の木(5) (イブニングKC)感想
kindle版、最終巻。 教育長・白尾政光、大型ダンプカーで大暴れ。重機の凶暴さが犯罪を通り越していてアクションものの迫力。 善行が巡り巡って誰かを不幸にしてしまったり、生まれも育ちも関係なく、罪は性根に宿るものって訳じゃないと。不幸にも歯車が狂い罪を犯した人が再び生きていくためには「居場所」が必要で、それを本人も社会も大切にできるかどうかなのだと、たぶん映画のテーマにも通底してたかも。 イジメられてた中学生が炎上するダンプが海に落ちるのをみて「生きていればこんなこともあるんだな」って表情が良かった。
読了日:02月12日 著者:いがらし みきお

羊の木(4) (イブニングKC)羊の木(4) (イブニングKC)感想
kindle版で一気読み、つづき。 罪を精算して人生をやり直すはずの町で、元犯罪者の皆さんとはカンケー無く、フツーの市民の中にも不倫やそれにまつわるもめ事はあり、社会的には立派そうな人たちの日常も狂っているよ。 そんな中、月末さんちの理奈ちゃんは爽快。健全だわー。 書き下ろし小説は「キヨミ」。スピンオフで、漫画にしてください、いがらし先生!
読了日:02月12日 著者:いがらし みきお

羊の木(3) (イブニングKC)羊の木(3) (イブニングKC)感想
kindle版で一気読み、つづき。 馬に蹴られるチキン対決は何をしたかったのか分からないけど、こういうナンセンスなエピソードを挿入してくるところは好きです。三田村、怪しい…?国家プロジェクトから離脱して魚深市の状況がツイン・ピークス化してきた? 山上先生の書き下ろし小説は「模型」。
読了日:02月12日 著者:いがらし みきお

羊の木(2) (イブニングKC)羊の木(2) (イブニングKC)感想
kindle版で一気読み、つづき。 奇祭「のろろ祭り」が、祭りを通りこして猟奇。いがらし先生の庚申様思い出しました。宮越は気持ち悪いやつだなー。それから大野さんのニワトリ…。じわじわ来てます。 巻末の山上先生の書き下ろし短編小説「浜辺」も読み応えありです。
読了日:02月12日 著者:いがらし みきお

羊の木(1) (イブニングKC)羊の木(1) (イブニングKC)感想
kindle版で一気読み。 先に映画を観てしまったので、こんなに設定が違っていたのかとちょっと驚き。国家プロジェクトといいつつ、おっさん三人組がお世話役…?公務員の錦戸君らしき爽やか青年は出て来ませんですが、月末一さんは仏壇やの親父さんです(笑)。元受刑者もいろいろあってもっと複雑。こんな話だったのかー?! びびり気性の月末さんが頼まれるまま移住者を迎えにいって初対面で接する時の、妄想する恐怖心が地震のように微動から大きな揺れに変わっていく脇汗な感じが、映画には無かった。達観した大塚さんと対照的。
読了日:02月12日 著者:いがらし みきお

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