チケットは自制して2部と3部しか入手してなかったので(だってお高いんだもん)、1部を幕見に並ぼうか迷って、結局、午前中は銀子さんと築地で遊んで美味しいもの食べたりしてのんびり過ごしました。
築地本願寺に立ち寄ったら、ポケモンGOに打ち興じる若者たち。
いるのか?いるんだなー、そこに!…おいらのスマホには映りませんが…。
考えたら、虫六…6月の出張帰りに歌舞伎座で染・猿の「義経千本桜」を見て(←すいやせん、忙しくてブログ書けませんでした)、7月は染五郎の地方巡業を地元で見て、シネマ歌舞伎で「今月はまた歌舞伎座で染・猿の「東海道中膝栗毛」…まるで高麗屋の追っかけですね。へへへ。
八月納涼歌舞伎
平成28年8月9日(火)~28日(日)
【第一部】
一、嫗山姥(こもちやまんば)岩倉大納言兼冬公館の場
二、権三と助十(ごんざとすけじゅう)
(↑残念ながら見られなかったので、とりあえず省略)
【第二部】
一、奇想天外!お伊勢参りなのにラスベガス?!東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)
弥次郎兵衛・喜多八 宙乗り相勤め申し候
弥次郎兵衛 染五郎
劇場支配人出飛人/奉行大岡伊勢守忠相 獅童
盗賊白井髭左衛門 市川右近
天照大神 笑也
十六夜 壱太郎
茶屋女お稲実は三ツ大お新 新悟
五日月屋番頭藤六 廣太郎
梵太郎 金太郎
政之助 團子
読売屋文春 弘太郎
老船頭寿吉 寿猿
家主七郎兵衛 錦吾
役者/女札親師毬夜 春猿
石油王夫人麗紅花 笑三郎
役者/用人山田重右衛門 猿弥
闇金利太郎 亀蔵
アラブの石油王亜剌比亜太 門之助
五日月屋女房お綺羅 高麗蔵
女房お米 竹三郎
喜多八 猿之助
二、艶紅曙接拙(いろもみじつぎきのふつつか) 紅翫
紅翫 橋之助
朝顔売阿曽吉 勘九郎
団扇売お静 七之助
蝶々売留吉 巳之助
町娘お梅 児太郎
大工駒三 国生
角兵衛神吉 宗生
角兵衛清吉 宜生
庄屋銀兵衛 彌十郎
虫売りおすず 扇雀
『東海道中膝栗毛』は、染五郎丈(弥次さん)と猿之助丈(喜多さん)の“夏休みドリフ祭り”って感じのナンセンスな笑いに満ちた、頭スッカラカンで楽しめる舞台。随所に二人の小ネタ(阿弖流為とかワンピースとか)が満載で、ファンの人ほど笑いのツボが豊富に用意されてます。
劇中劇で猿弥丈と春猿丈のくさーい「義経千本桜」にドジな黒衣後見で弥次さん喜多さんが現れて、どたばた。ブロードウェイみたいな電飾キラキラの、回り舞台を使った、ど派手なキャスト紹介。…まず導入部で螺旋が切れて頭がカラカラになりました。
人生に煮詰まったコンビが、棚ぼたで手に入れた金でお伊勢参りを思いつき、泊まった宿場で調子にのって女芝居小屋の売れっ子役者(壱太郎丈)に夜這いを仕掛けるけれど、これがお化け屋敷。ドリフだね。公費出張とか自治ネタも少し。
右近丈の盗賊白髭(ワンピースのまんま!)一味や借金取りや大家さんなんかに追いかけられて例の富士川渡りをしていたらなぜか鯨(川に鯨だよ!)が現れて、そのままラスベガスに行っちゃうって、すっ飛んでますな。劇場支配人の獅童丈がいちばんイキイキ楽しそうにやっていました。
ラスベガスで披露する染・猿の連獅子の毛振り(←「獅子王」ネタ)、本水(←「鯉つかみ」ネタ?)、締めは猿之助丈の「三ヶ月の跳び納め!」の号令で二人の宙乗りと、見せ場はたっぷり。
こんなはっちゃけた舞台を大人顔負けの演技で引き締めたのは、金太郞くんと團子くんの子役二人。脱帽するほど達者なお芝居。特に團子くんの安定感、凄し。時々大人の(父とかおじさんとかですが)いじりに「ぷっ!」と吹き出してしまう子供っぽさもかわゆいのでありました。
*
『紅翫』は成駒屋の家の芸だそうです。橋之助丈、襲名前最後の舞台だそうなので、こだわりの演目ですね。橋之助さんて痩身の二枚目ってイメージでしたが、いつのまにか…恰幅よくなられて…。
「紅翫」というのは、浅草に実在した紅屋勘兵衛という人物がモデルで、本来は小間物屋さんらしいですが、奇人っていうんでしょうか、ユニークな楽器を持って三曲の芸を見せてまわったらしい。
そんな奇天烈な役どころのようなんですが、成駒屋さんの踊りの方はちょっと微妙でした。生真面目なお武家さんの色気みたいになっていて、芸人ぽい壊れた感じがなかったのね。そういう余韻を出せるってそうとう難しいのだろうな。で、こういうの、三津五郎さんが踊ったらきっと面白いんだろうなぁと思いながら見ていましたら、幕がしまったときに、後席の女性が三津五郎さんの思い出話を始めたので、(あぁ同じようなことを感じた人がいるんだな)と思った次第。
江戸のもの売りに扮した様々な役者さんの踊り比べみたいな趣向もあり楽しめますが、蝶々売りの巳之助丈は良かった。成長著しい巳之助丈の踊りをもっと見たいぞ(!)と思いました。それから勘九郎丈の動きも面白いので、そっちを目で追ってしまいました。
ちょっと横道にそれますが、紅翫さんの楽器が面白くて、「青竹の棹に味噌漉し(または一升枡)の胴、…転手をしゃもじで作った三味線」と筋書きにはありましたが、実際にみた転手は、しゃもじというより丸い木皿みたいなのに桜かなにかの枝を糸巻きにして刺さっていました。太鼓と鉦を帯につけているってことでしたが、三味線と合体しているように見えて、まるでチンドンの三味線版って感じで面白かった。三味線の撥こそがしゃもじを削ったみたいなもので玉付きの細い太鼓撥が合体していました。いったいどんな音がするんだろう…と期待してしまいましたが、これは弾かれることなく後見さんに手渡されました。
小道具だったのね…(´・ω・`)残念。
全体に面白さが希釈されてしまったようなもったいなさがありました。
俄の半面を変えながら踊る場面もあって、このときに最初のお面が勘三郎の目元だったように見えました。納涼歌舞伎なので中村座チームの追悼の気持ちを添えたのでしょうね。
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