2017年5月31日水曜日

三世今藤長十郎三十三回忌追善 今藤会

5月28日は今藤会の三世今藤長十郎の三十三回忌追善演奏会でした。

こんな時でもないと着ないなーと思い、早起きして着物を着付けて、7時45分にS駅で姉弟子Nさんと待ち合わせ、新幹線に乗ったのでした。かなり暑い日で少々心配。
今日のご馳走は、染五郎のお囃子、仁左衛門の三味線「勧進帳」、幸四郎の立方という番組がご用意されているそうなのです。

歌舞伎座での大規模なお浚い会。午前中から夜10時近くまでぶっ通しで47番組(虫六はけっきょく最後まで拝見できませんでした。日帰り計画だったので)。うち41番に出演した当代家元がなにしろ凄い!出番のお弟子さんの脇に付いて、伴奏し、演奏が終わると“くるり”と背中を見せて雛壇を下り、盆が回る間に背景(今藤の紋がついた襖…なのに引き戸じゃない!)を抜けて、半回転するとすでに壇に乗っていて、演奏がはじまる。まさに超人的な集中力とスタミナ!仰天しました!因みに家元は女性です。

この舞台でのお姿にも圧倒されますが、この日まで弟子が舞台に上がれるようにお稽古つけて仕上げているのであり、また、この会をプロデュースもしているのだなと思うと、このパワー、虫六の想像力の器からはみ出ます。さまざまなお弟子さんたちの協力あればこそでしょうが、あの背中の帯を見せながら襖の向こうに抜けていく姿…目に焼き付いてしまいました。
今藤の方々、誰もあの方には頭が上がらないだろうなぁ。パワフルだわー、なんだか凄く魅力的な方だと思いました。

今回の演奏会のお目当ては豪華な賛助出演の方々。今藤からは尚之さん…は当然として、(杵屋)東成、直吉、勝四郎、巳津也の唄方を並べて唄わせ、稀音家祐介に上調子を弾かせ、呂船が鼓を打てば、名生が笛を吹く。…そんな舞台の真ん中で、立三味線を弾く…。なーんて贅沢は畏れ多くて夢にも出ませんが、そんな夢の舞台がありました。しかも次から次から。流派をこえたオールスターな檜舞台。歌舞伎舞台ではお目にかかれない組み合わせに感謝。

ところで、家元が一息ついて任せた舞台に印象的な番組がありました。
京都宮川町の美佐藤さんと美佐緒さんが掛けた「楠公」。上手かったー、聞き惚れました。京の芸妓さんの実力たるや凄い。この時ばかりは(?)脇についた黒紋付の師匠たちも本気モードで迫力の演奏。名生さんの笛に身慄いしました。

今藤会は祇園・宮川町の芸妓さんの長唄にお稽古つけているようで、きれいどころが沢山舞台に上がっていました。おばちゃんながら虫六も鼻の下が伸びちゃうよ。

天王寺屋の鷹之資は、三味線を今藤について勉強中なんですね。昨日は「供奴」で一番出てました。たまに手元を見るのはドンマイながら丁寧な良い演奏で好感。オーラを感じる佇まいはさすがは役者!7年前に見た松永家元会での壱太郎の一番*を思い出しました。仕込みの差は、いづれ実力の差に。

*その時の壱太郎さんはまだ大学生だったと思うけれど、「鏡獅子」を演奏している途中で三味線の糸が切れたのですが、顔色一つ変えず、後見に代えの三味線をもらって何事もなかったように弾いていたのでした。その舞台度胸に舌を巻きました。その時の後見は今は亡き和寿三郎師匠で、この方の糸を張り替える早業にも唖然としたものでした。…和寿三郎さんのお三味線素晴らしかったのになぁ。

…若者と言えばイガグリ頭(野球部か?)の中島悠暉君の「五條橋」が上手かった。嬉しそうに弾いてた。聞けば長龍郎師匠のご子息とか。成長が楽しみですねー!注目です。それにしても、今藤会は若いお弟子さんが多いと感じました。これも現家元の吸引力でしょうか。好い追善の会でした。

さて、ご馳走タイムがやってきまして、染五郎「藤船頌」。銀屏風紺毛氈に模様替え、染高麗は立たせた体勢ですんごくオーラありました。舞台の空気が一変。鼓、さざ波が迫って来るような神妙な演奏。
で、次は仁左衛門の勧進帳…だったけど、ここで時間切れ( ´罒` )終電間に合わず、幕が上がる前に会場をあとに。無念じゃー。


2 件のコメント:

  1. 楽しんでますな!
    着物姿も拝見したかったです。

    ワシも夏になったら浴衣でも着てみっかな。

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  2. 銀子さん

    浴衣いいね。着物は極めれば紗とか絽とか言いますが、正直、夏は着る気がしませんです。

    落ち着いたら、銀子さんもお茶再開したら?
    浴衣着て遊びに行こう!

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