2010年11月3日水曜日

10月に読んだ本

10月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1836ページ

阪急電車 (幻冬舎文庫)阪急電車 (幻冬舎文庫)
ひと駅毎に登場人物が入れ替わるオムニバス形式の群像劇みたいで、そのまま映画になりそうだと思ったら、やっぱり映画化でしたか。偶然乗り合わせた電車で人のやりとりを目の端にとらえたり、聞き入っちゃったりすることってよくありますね。で、いろいろと想像を膨らませたり。アトランダムに人生が交差する不思議な箱なんだな電車って。それにしても、鉄ヲタの男性作家なのだと思って読み始め、この繊細な心理描写に「よくぞ〜」と感嘆しておりましたら、読後、実は恋愛小説の筋では有名な女性作家だと分かって、大納得(自爆)。不勉強を反省。
読了日:10月31日 著者:有川 浩

きのう何食べた?(4) (モーニングKC)きのう何食べた?(4) (モーニングKC)
ケンジの手際の悪さと献立の不器用さが自分に被って胸がシクシクしました(爆)。シロさん熱に浮かされながら「ああ…、ケンジ水 水だしすぎ…」と突っ込むところ、イテテ〜。でも、卵焼きでほっこり気持ちも伝わって良かったね。より波風のないドラマ展開になっていますね。
読了日:10月27日 著者:よしなが ふみ

双調平家物語9 - 平治の巻I(承前) (中公文庫)双調平家物語9 - 平治の巻I(承前) (中公文庫)
巻頭の系図のところには栞をしたまま読んでいますが、系図って立体的に見るものなんですね。系図小説ですね、ある意味。それから、この物語が中国の古史から始まった訳にやっと合点がいきました。インテリで成り上がりの信西の極刑政治で、むごい最後を遂げる為義の一族、憐れ。落とし穴に落ちるように力を致命的にそぎ取られる摂関家。でも、そのすき間に増長するのは男寵の信頼。それにしても親兄弟皆殺しにされて平気な義朝どおよ??平安から中世へ人々の感性も変化しているのでしょうか。どちらも分からないところはあるんですが…。
読了日:10月26日 著者:橋本 治

結婚しなくていいですか。―すーちゃんの明日結婚しなくていいですか。―すーちゃんの明日
キャリア・バリバリってわけじゃなく、気がつけば婚期が過ぎていたなぁという感じはよくありますよね。漠然と横たわる、この先自分はどう生きていくのかなぁ?的不安や、花の20代.30代をどう過ごしてしまったんだっけという喪失感。自分はたまたま結婚と出産・育児と宙ぶらりんな仕事で30代があっという間だったので「ゆるやかな自由」はなかったわけですが。シングル人生もありだったと思ってます。独身でがんばっている友達にお勧めしたい気もするけど、微妙に痛すぎるかな?既婚者に勧められるのは嫌なものかな?読んで見る?
読了日:10月16日 著者:益田 ミリ

つらつらわらじ(1) (モーニングKC)つらつらわらじ(1) (モーニングKC)
参勤交代ものってあんまり聞いたことないですが、確かに面白い筋書が期待できます。オノ先生のデフォルメ系作品はこれまではあまりピンと来ていませんでしたが、この作品はいい感じ。キャラひとりひとりに魅力を感じますし、描き分けが絶妙。目が凄い!御武家同士の駆け引きもいろいろありそうだし、ナンといっても大阪商人の鵬池の旦那がステキ!五葉が終わって楽しみが無くなったけど、これは待ち遠しい連載になりそう。
読了日:10月14日 著者:オノ・ナツメ

物語とはなにか―鶴屋南北と藤沢周平の主題によるカプリッチオ物語とはなにか―鶴屋南北と藤沢周平の主題によるカプリッチオ
鶴屋南北のお芝居も藤沢周平作品も日頃から関心を寄せている分野なので思わずポチリ(自爆)。第一部の南北の「盟三五大切」についての論は、フランス哲学特有の迂遠な論法と自分の読解力のつたなさを棚に上げてもあまり成功しているようには感じませんでした。歌舞伎独自の世界観や約束事を一般化するための断り書きが問題の本質をどんどん遠ざけているような…。僭越ながら苦戦の程が偲ばれました。比べると第2部の「蝉しぐれ」の方は分かりやすくて共感もでき、再読したくなりました。蛇足_2作品に共通の人物は最近では市川染五郎丈ですね。笑
読了日:10月11日 著者:淺沼 圭司

さらい屋五葉 8 (IKKI COMIX)さらい屋五葉 8 (IKKI COMIX)
仲間を守りたい気持ちもナミナミあって、信じて欲しいのに真に心を開いてもらえないもどかしさ、心から信じてやれない不甲斐なさ。心情だけではいかんともし難いのが世の中だろうけれど、ガラスのような弥一の、帰る場所(家族)と成りきれた政の計り知れない懐の深さよ。そして五葉の仲間も…。粋ですねぇ。しかし、この巻、いちばん心が震えたのは弟・文之助の信頼を失う原因となった幼い日の出来事に触れて「あの時私は不機嫌だったのだ」と自分の未熟さを詫びる下りです。こういう柔らかなところが政の魅力ですね。
読了日:10月06日 著者:オノ・ナツメ

近代歌謡の軌跡 (日本史リブレット)近代歌謡の軌跡 (日本史リブレット)
「歌えない日本人」が三味線の歌舞音曲を放棄して、五線譜音楽を近代国家の政策として移植し、時に軍歌として、時に大正モダニズムの流行として、また録音技術の輸入で放送や映画として浸透したりという近代歌謡の通史をわかりやすく紹介してました。文明開花のまっただ中のご時世にスカラ座で活躍したソプラノ歌手がやってきて迎賓館のような会館で政府高官に歌を聞かせたのに、居眠りして興味を示さなかったというエピソードは、世界の音楽を無条件に受け入れ楽しんでいる現代の日本の状況からすると新鮮ですらありますね。
読了日:10月05日 著者:倉田 喜弘

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