さくらホール。
今日は「松竹大歌舞伎 近松座公演」がここにやってきます。
虫六も定休日だったのでちょっと遠征。
○平成24年度(社)全国公立文化施設協会主催中央コース
松竹大歌舞伎 近松座公演
近松座三十周年記念
一、お目見得 御挨拶(ごあいさつ)
坂田 藤十郎
二、夕霧名残の正月(ゆうぎりなごりのしょうがつ)
藤屋伊左衛門 坂田 藤十郎
太鼓持亀吉 中村 亀 鶴
禿かなめ 中村 虎之介
扇屋夕霧 中村 扇 雀
三、曽根崎心中(そねざきしんじゅう)
平野屋徳兵衛 中村 翫 雀
天満屋お初 中村 壱太郎
天満屋惣兵衛 中村 寿治郎
平野屋久右衛門 嵐 橘三郎
油屋九平次 中村 亀 鶴
北上のみなさん楽しみにしていたようで、大盛況でした。S市にも来てくれればこんな遠征をしないですむんですが、なにか受け入れのよくない事情があるのかな…。
藤十郎丈の口上は、最近、猿之助の襲名興行でもきかせていただきましたが、なんだかいいですね。折り目正しい感じとほっこり感が。御歳80歳…曾根ヶ崎心中のお初役のお話にふれ、「わたくし、このお役をひゃくさんじゅう…う、失礼、せんさんびゃくさんじゅうん回もさせていただいているそうです…」って、わざと1ケタ間違ってみせるところ、まいりました…ははぁ〜 m(_ _)m 口上もしっかりしておりますが、「夕霧名残の正月」の伊左衛門も妖艶でしなやかで、およそ人間の身体能力を超越していますね。
さて、今回の眼目は壱太郎君です!
ラジオの邦楽ジョッキーでもお馴染みですが、注目の若手でありますね。
藤十郎丈の孫にして、翫雀丈の長男…!というバリバリの御曹司。その、祖父の当たり役である「曾根ヶ崎心中」のお初役。一子相伝での大抜擢とか。
この作品は長く上演が途絶えていたのを昭和28年に近松誕生300周年記念で2世中村鴈治郎の徳兵衛と藤十郎(当時扇雀)のお初で復活上演し、大当たりを取り、以来1300回(…だから)以上の再演を重ねてきた作品で、上方成駒屋の家の芸。
心中を決めたお初が徳兵衛の手を取って先に花道に駆け込む演出が当時センセーションを巻き起こしたそうです。
つことはなんですか、つまり今我々が「曾根ヶ崎心中」と思う話のイメージは鴈治郎・扇雀が創り出したものと考えていいのかな?
お正月に読んだ角田光代の小説版もぎょっとする解釈でしたが、少なからず、この歌舞伎の解釈が影響しているんだろうと思いました。
で、壱太郎のお初ですが、虫六は好きだね、可憐で贅肉がのってない感じが。
原作のお初は19歳で、大学生の壱太郎君は実年齢。昔の19歳はもっと大人だったのかもしれませんが…、遊女の色香とか悲哀とか、そういうものはまだ壱太郎お初には希薄な気がしますが、でも、それがむしろ本当はまだ世間もよく知らないまま恋に恋するくらいの少女が追いつめられて心中に及んだのかというリアリティに感じられました。
しかしなんと言っても綺麗なのはいいですよね。パパの翫雀徳兵衛さんは、背がお初より低いのは目をつぶるにしてもあと20キロくらい痩せて欲しいな…と言ってしまうのは禁句でしょうか(爆)
だって、お人よしでやわやわな二枚目なんだからせめてイケメンであってほしい。
愛之助丈あたりでやったら大当たりだろうと思うのですが、成駒屋一子相伝なので、松嶋屋にさせる事ってのはナッシングなんでしょうかね。
松嶋屋の「女殺油地獄」も染五郎丈が挑戦しているし、澤瀉屋の「伊達の十役」を宗家の成田屋がやったりする時代なので、それも有りかと…、外野は勝手に思うのでした。
壱太郎丈は見目麗しく声の通りもよいのですが、発声が鼻づまりぽくて、おじいちゃんそっくり。まだ花粉症がよくないのかな?それともこの発声も一子相伝なんでしょうか?
でも、今後とも応援しますよ。
同じ松永社中としても!(壱太郎君は、お三味線・松永流の忠五郎家元のお弟子でもあるのでした〜)
それにしても、今日北上で昼夜やって、明日は山形市…凄いスケジュールです。そうして役者も鍛えられていくんでしょうね。
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