2013年11月2日土曜日

これはもはや国宝?_原鉄道模型博物館

ここだけの話、虫六のまわりには鉄道を愛することをライフワークにしている人がゴマンといる(…五万は言い過ぎだが百人はいるね)。その中でも、この人を知らない人はテツ業界ではモグリでしょ!?と言われるKさんという御大が、「この方の家を訪ねて模型を見たら、自分はもう模型はやらなくて良いと思ってそれ以来やめた」と言わしめた(つまり筆を折らせた)人物が、神戸の原信太郎という人物なのです。

横浜にある「原鉄道模型博物館」は、その原氏が製作・所蔵している世界一ともいわれる膨大な質の高い鉄道模型と関係資料コレクションを一般に公開する、昨年7月に開館した私立ミュージアムです。
開館の前から話題にもなり、オープンしても大人気で入場制限があってなかなかゆっくり見られないとの噂だったので、まだまだお呼びでないなーと思っていましたが、最近は落ち着いてきたと聞いて、ちょっと足を伸ばしてみました。

横浜…、久しぶりでいったらこんな風景になっていましたよ。みなとみらい周辺は月曜日なので、なんとなくビジネスモードです。もちろん、横浜といえば日本で最初に鉄道が開通した町なので、鉄道ゆかりの土地ってわけですね。

横浜駅から、はまみらいウォークと呼ばれている遊歩道を渡っていくと、横浜三井ビルディングという高層ビジネスビルの2階に原鉄道模型博物館はあります。

館内は、大きく2つのゾーンがメインで、原氏の自作模型などのコレクションの展示室と一番ゲージの蒸気・電気・トロリーの軌道が走る巨大なレイアウトです。
写真撮影が禁止でしたので、詳しくは館のホームページ参照で、ヨロシクです。

あの、ホームページの方をちらっと見ていただけば、原氏の小学校時からはじまる誰も追随できない破天荒な鉄道人生を垣間見ることができると思いますが、とにかくね、クレイジーですよ、この爺さん!
しかし、玉石混交の文化財から確かな目で本当に価値あるものを選び抜き守るのも、自らの財貨を惜しみなく費やすことができるごくわずかな好事家であり、原氏がその一人であることも確かです。
そういう意味で、このミュージアムに残された鉄道模型の逸品の数々は、世界の鉄道史を伝える上で、とても貴重な宝物だと思います。私がその立場だったら国宝に指定するね。

原氏の凄いところはお仕事(コクヨ株式会社で開発・技術分野で数多くの自動化機械を開発、専務取締役、生産関連会社社長を経て相談役で退職)の上でもとても成功を収めていて、そういう意味での破綻もなく、鉄道趣味をとことん追求できているところ。そして、ご自身のコレクションの価値を一番ご存じで、それをきっちり守り公開していくために、公立の博物館などに寄贈したり任せたりせず、自らスポンサーをみつけ理想的なミュージアムを自分の監修のもとに作ってしまったこと。きっとしっかりした基金がこの資料を保護していくんじゃないかと想像できます。

人生に始末をつけるってこういうことだな…真似できないけど。

この自作鉄道模型は、ディティールにいたるまで実物通りであることにこだわり抜いた逸品で、美術品としても垂涎の品です。そして、すべて動くのです。しえ〜。

(詳しくありませんが)鉄道史的にも、重要な車両が揃っているので、みただけで鉄道の歴史をたどれるラインナップとなっていると思われます。例えば、ドイツの豪華客車「ラインゴルト」はドイツ国鉄110系の機関車が牽引しているし、フランス国鉄が1955年3月29日に当時の電気機関車として世界最速記録となる331km/hを樹立した(そして、走り去ったとの架線がどろどろに焼け溶けたという)BB9000形電気機関車BB9004号機や、鉄道ファンに大人気のアルプス越えの機関車で「クロコダイル」の愛称で有名なスイス国鉄Ceb/811形などなど国内外の鉄道模型がこれまたこだわりの展示ケースにきれいにずらっと並んでいました。

また、小学校時代から並んでゲットしていたという「1番切符」のコレクション。丹那トンネル開通記念1番切符、北陸トンネル開通1番切符、東海道新幹線開通1番切符…とか、…生きる鉄道史ですか…。しかも家族まで巻き込んでの切符収集…。ハンパなし。

そして、半日いても飽きないヴィンテージな「いちばんテツモパーク」。こだわりの車両が走っております。
傍らには、原氏の1畳ほどの「男の部屋」こと自宅の模型工房の再現コーナーや、「原鉄道模型の秘密」と題された、レールと車輪、惰力走行、架線集電、急カーブ対策、ブッフリ式動力伝達機構、こだわりのディテールの再現と、分かりやすい技術解説の掲示コーナー。

まだ存命なのに、すでに歴史上の人物であるかのような、展示文脈…。でも本当に凄し。

こちらは、唯一写真撮影OKという、特集展示「原信太郎と箱根登山鉄道」のコーナー。

特集の中身はどうでも、他の全ての展示空間が格別な展示プランによってそうとう予算もかけて作り込まれているだけに、このどこぞの貸し会議室風スペースに展示されたこれは違和感…と感じてしまうのは私だけ?これは、本人監修してないでしょ、ぜったい。
で、このスペースだけ写真OKにして、頒布されるのはどうですか?と思っていたら、なんと!!!!!

原鉄道模型博物館は、11月から撮影解禁になるらしいです。

やっぱりね。これからはそうだよね。
あ〜、早まっちゃったな、オレ。
そんなわけで今度はばっちり撮影するために、もう一回行かなくちゃと思う虫六でした。

それにしても、いろいろ勉強させていただきました。
鉄道ファンでなくても、「良いものが観たい」と思う人にはこれは必見かと思います。

あ、このビルです。1階には模型店の老舗・天賞堂さんのショップもありました。
お子ちゃまが模型の箱を抱いて泣いていたよ…。あーあ。

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