11月30日から公開になっていてずっと気になりつつも行けなかったシネマ歌舞伎『春興鏡獅子』。もちろん十八代目中村勘三郎丈が踊った映像であります。
ずいぶん久しぶりで休みがもらえて、満を持して映画館にいきました。
1週目は朝夕の2回上映だったのですが、今週は昼に1回にかわってしまい、何を勘違いしてたのか、11時10分開始を11時30分と間違えていて、朝十分に時間があったにも関わらず、着いたら始まっていることが分かり、が======ん。il||li _| ̄|○ il||li
…やっちまいました。
前半20分は、勘三郎のドキュメンタリー映像がついているらしいのですが、虫六が恐る恐る真っ暗な劇場に入ると、まさに今、『春興鏡獅子』の本編が始まったところでした!
映像は、平成21年1月の歌舞伎座閉場さよなら公演の第1弾として夜の部で上演された演目です。(この公演、虫六は虫六子にも見せようと2人で最前列で見ていたのだった…遠い目)
小姓弥生 後に 獅子の精 中村 勘三郎
胡蝶の精 片岡 千之助
胡蝶の精 中村 玉太郎
局 吉野 中村 歌 江
老女飛鳥井 中村 吉之丞
用人 関口十太夫 市川 高麗蔵
家老 渋井五左衛門 大谷 友右衛門
大好きだった勘三郎の鏡獅子。一期一会の劇場でしか味わえないあの空気感は、もう勘三郎なき今となっては望めないものとなってしまったのですが、シネマ歌舞伎の鮮明な映像で見ると、自分の中に埋もれていた記憶もどこからか引き出されて、あのときと同じドーパミンが溢れ出てきます。紛れもなく私がこの演目に夢中になったのは勘三郎の踊りを見たからに間違いなく、彼によってその魅力を教えていただいたのです。
改めて思うけれど、凄まじくすばらしかったのですよ、彼の鏡獅子は!
あー、もう2回、本当に見たかったよ。なんでもう見れないんだ〜!!
この時の胡蝶は、千之助(松嶋屋/仁左衛門の孫)と玉太郎(加賀屋/東蔵の孫)で、小さい御曹司がかわいかった。特に千之助の天才ぶりに驚嘆したのでしたが、今見てもすばらしい。この後、仁左衛門との『連獅子』につながっていく貴重な経験をこの舞台でしたんじゃないかな。
生の舞台ですと、もう踊り手に目が奪われて見落としがちな地方の構成も、映画で見たら意外な発見がありました。
この時の地方は、尚之・勝国の七枚七挺に、田中田左衛門社中のお囃子だったのですが、弥生が踊る場面と、獅子の場面で地方の構成が変わっていました。前半出ていた勝十朗さんが後半は清治郎さん(現・勝三郎)になってました。こういうこともあるんだね。
しかも、胡蝶が引っ込んだあとの聞かせどころで、勝国さんがドアップになり、三味線の指使いが克明に映って、個人的にはあわわってくらい感動しました。(あそこまで指を曲げるのか…オペラグラスでもなかなかあそこまでは見えません)
お囃子の乱序の緊張の場面で、ギリギリと鼓の紐を引き締める音がマイクに入っていたのも発見でした。
現場ではイメージや空気感で感じとるものを、顕微鏡で見るような、全覚醒的な見え方が経験できて、シネマ歌舞伎は面白いのだ。
それにしても、最初の20分が見れなかったのはドジりましたが、このところの1周忌にあわせてたくさんの勘三郎の番組が放送されているのを見たりもするのですが…、あまりにもジャストなタイミングで本編が始まった今日の偶然が、芝居の神様はこの踊りこそ脳に(というか胸に)焼き付けておけと、私におっしゃっているのかな…と思えたのです。
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