お、やってるねぃ。歌舞伎座。
今月は、初世松本白鸚三十三回忌追善公演の吉例顔見世大歌舞伎であります。
なにしろ話題は、市川染五郎丈が「勧進帳」の弁慶を初役!
これは、見届けなければなるまい…つわけで、幕見に並ぶことにしました。平日なので、狙い目と読んできたのよね。ふふふ。
幕見席。すでにチケット売れていて、2列目になっちゃいましたが。真ん中寄りゲット。
が!うぬぬ、幕見だと花道七三しか見えんかー( ̄◆ ̄;) 六方が…。誤算だったか。
(あ、幕見のチケットの売り方変わったのでしょうか?夜の部の「鈴ヶ森」の売り出し開始後だったせいか、4階で買ってくれと。4時までに集まってくださいと解き放たれ、時間になって4階に戻ると、そこで順番に整列させられ入場…と。ずっと並んでいるより時間が有効に使えて良いですけどね)。
とりあえず夜の部は三本ですが、本日は日帰り出張なので幕見で前半の二本を拝見。
平成26年度(第69回)文化庁芸術祭参加公演
初世松本白鸚三十三回忌追善公演
吉例顔見世大歌舞伎
初世松本白鸚三十三回忌追善公演
吉例顔見世大歌舞伎
一、御存鈴ヶ森(ごぞんじすずがもり)
幡随院長兵衛 松 緑
東海の勘蔵 彦三郎
飛脚早助 権十郎
北海の熊六 團 蔵
白井権八 菊之助
二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
武蔵坊弁慶 染五郎
源義経 吉右衛門
亀井六郎 友右衛門
片岡八郎 高麗蔵
駿河次郎 宗之助
常陸坊海尊 錦 吾
太刀持音若 金太郎
富樫左衛門 幸四郎
(三本目は、「義経千本桜」の「すしや」でしたが、涙を飲んであきらめました。)
高麗屋にとってはお家芸の弁慶役。染五郎丈には、長年の憧れの役であり、出来て当たり前の必修科目らしいのですが、なんと41才にして初役とな。若い時に1回くらいやってみたりしなかったというのが、この役に対しての染五郎の思いの強さが伝わってきます。満を持しての初役なんですね。
なにしろ、太文字の立役というよりも、スッキリした二枚目って言う方がイメージにあう染高麗ですから、粋な感じの役柄とか、色悪なんかにニンを認めてしまいますが、こういう役しなければいけないのですね、高麗屋ですから。
これまで、がんばってんなーって感じるくらいの立ち役への挑戦もこの日のためだったのですね。
それで舞台はどうだったかというと、期待以上の上出来だったと思います!(私が言うのも僭越ですが)。
最初の登場は花道で、義経一行の殿で出てきますが、虫六幕見でしたので花道の奥の方の様子が分かりません。その前に舞台には幸四郎の富樫がいて、ただならぬ存在感だったので、なんだか口跡のよい太い声が聞こえてきたので、幸四郎がセリフを言っているのか?と思ってしまったのです。ところが、はっと気がつくと花道のかろうじて見える端っこに、染高麗の弁慶の頭が見えて、セリフを言っていたのです。姿でなく、口跡が心を捉えました。(全く個人的な感慨ですが、この現れ方は一生の記憶に残る!)
父の幸四郎を富樫、伯父の吉右衛門を義経に配した、重厚な舞台ではありましたが、しかし、染五郎の弁慶は押しつけがましさない、とてもスッキリしているけど華奢ではない存在感で好感が持てました。富樫との問答も緊張感ありましたし、なにより幸四郎の富樫が慈愛というか深みがあって良かったな。また、普段は絶対に見れないというご馳走感たっぷりの吉右衛門義経も気品があって、弁慶はあくまで家来という主従関係が無理なく伝わってきて、芝居が分かり易かったです。
延年の舞もキレの方が目立って踊りのうまさがありましたが、楷書の芸っていうのかな。これから何回も回を重ねて円熟味をつけていくんでしょうね。虫六は、たっぷりお酒を吞む場面で、酒の匂いを感じさせるようにふぅ〜っとやるところが好きなんだけど、そういうのは型どおりでしたね。
引っ込みの六方は、七三で見栄を切るところしか見えなかった(カッコ良かった!)のですが、てんてんてんという六方を踏む音も耳だけで味わい、心の目で拝見しました。きっと立派な引っ込みだったことでしょう。花道の生写真が欲しかったのですが、これも幕見なので断念 (ノд・。)
幕見席からは、新しい歌舞伎座の舞台が一望出来るのですが、染高麗の弁慶はその焦点にいて、確実な存在感を持っていました。歌舞伎の新しい時代の始まりに立ち会ったと言う感慨がありました。
怪我をしたときは本当に胆が冷えた染五郎丈。でも、しっかり復帰して、こんな弁慶をみせてもらって嬉しい限り。これからの歌舞伎界をリードして行って欲しいと思います。
「勧進帳」が終わって7時、地下の木挽町広場に行ったらすでに片付け終了。
ここは毎日すっからかんになるんですね。不思議ー!
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