せっかく連休でもあるし、映画でも見に行くか!と、自転車に乗って映画館に行きました。近所のフォーラムで、レオス・カラックス監督の13年ぶりの新作『ホーリー・モーターズ』が掛かっているのです。
『ホーリー・モーターズ』
ひとつの人生からもうひとつの人生へ、旅を続けるオスカーの1日。
ある時は富豪の銀行家、またある時は殺人者、物乞いの女、怪物、そして父親へと、次々に姿を変えてゆく。
オスカーはそれぞれの役になりきり、演じることを楽しんでいるように見えるが…、どこかにカメラはあるのだろうか?
ブロンドの運転手セリーヌを唯一の供に、オスカーはメイク道具を満載した舞台裏のような白いリムジンで、パリの街中を移動する。
行為の美しさを求めて。アクションの原動力を求めて。そして彼の人生に登場した女たちや亡霊たちを追い求めて。
だが彼の家、家族、そして休息の場所はいったいどこにあるのだろうか?
(『ホーリー・モーターズ』公式HP・イントロダクションより)
主演は、監督の分身と言われたドニ・ラヴァン、かつてのアレックス三部作のヒリヒリしていたあの痩せた青年も、な、な、なんと50才を越えましたですか?でも、驚異的な身体能力は健在な感じでした。
(*ここからちょっとネタばれあり。これから見る人は読まない方がいいかも)
それにしても、奇妙な不思議な映画でした。
虫六は上記のイントロも知らず予備知識ゼロで見にいったので、はじめこの世界感に混乱しそうになりましたが、「森の仕事は入って無いの?森の仕事が懐かしい」で映画のテーマがストンと胸に落ちてそれからは楽しめました。
様々な映画へのオマージュに溢れていて(ゴジラとか大島渚とか、カラックスって日本映画好きなんですね)、映画表現への危機感も感じさせ、そして「演じること」って何?と本質を突いてくるテーマでもあります。
しかし、悲観的な映画かというとそうでもなくて、映像としてはそうとう楽しめます。
大きなリムジンを楽屋にして、その日与えられたミッションに従って役作りし、現実の社会に出て行き、そこでその人物になりきって演じるのが主人公の仕事なのです。ドライバーがマネージャーで1日にいくつもの現場に連れて行き、到着するとそこでドアをあけて役者を放つ。
それが撮影中なのかどこまで現実なのか、見ている方はなんだか分からなくなってくるのですが、それを映画的なつなぎでさらに複雑にされてしまう場面もあります。例えば、かつての恋人(カイリー・ミノーグ)に偶然出会い、30分の時間の隙間に、廃屋になったデパートで話をする場面。現実のシーンだと思って見ていると、ここがミュージカルみたいな仕立てになっていたり…。また、モーション・キャプチャの現場はSF映画みたいでもあり、サーカスのようでもありましたが、さらに3Dアニメに。
幾層にも映画的な仕掛けが重なっていて、「映画のマトリョーシュカ」であります。
あー、やっぱり変な映画だ。夢にでそう。
それから音楽も面白かった!!
スパークスあり、伊福部昭あり、ショスタコーヴィチあり、アコーディオンで行進したのは「Let My Baby Ride」(作曲 R.L.バーンサイド、トム・ロスロック)かな?カイリー・ミノーグが歌っていたのは「Who Were We?」ってオリジナルですね。
上映終了後、虫六子の反応をうかがったら、「面白かった!」とパンフレットをねだられたので、そうかこの映画の面白さが分かるのか!と、ちょっと嬉しくなり、TUTAYAでおもわずレオス・カラックス監督の3部作DVDを借りてきちゃった親馬鹿の虫六でした。
*それでまずは『汚れた血』を見たのですが、…うへえ、みんな若い…と思わず月日を感じてしまいました(爆)
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