2016年4月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:631ページ
ナイス数:12ナイス
芸者論―花柳界の記憶 (文春文庫)の感想
適当な表現ではないかもしれませんが、読めば読むほど「素敵」な本だった。とても興味はあるけれど、ケチな田舎もんには垣間見ることもできない世界の一つに花柳界があります。芸者という職業やそれを生業として生きる女性たちへ向けられたまなざしが彼女たちと同じ場所にあり、優しくて偏見もなくて素晴らしい。吉原芸者カッコいい!垢抜けた歯切れの良い文体もそうとう好みです。芸者さん、生き残ってほしいです。
読了日:4月30日 著者:岩下尚史
箏を友として──評伝 宮城道雄〈人・音楽・時代〉の感想
箏は江戸時代に大成され、江戸幕府に保護された「当道」という組織に属する盲人男性音楽家たちによって伝承されてきた音楽だという。明治27年生の宮城道雄は8才の時に失明を宣告され箏曲地唄の道に入るが、ご一新以後「当道」を保護する政策はすでになく、道雄はプロの演奏家・マルチな作曲家として新しい時代を拓きながら生き抜いていった。西洋音楽が輸入され、邦楽は時代遅れで低俗なものと大衆の感性が変っていく状況の中で、西洋音楽を学び邦楽に取り込み、批判をはね返し、大衆を味方につけて結果として古典と邦楽を守った音楽家だった。
読了日:4月17日 著者:千葉優子
読書メーター
(3月分おまけ)
わたしの渡世日記〈下〉 (新潮文庫)の感想
後編は戦後から松山善三との結婚に至るまで。…赤裸々なというより自分を飾ろうという気が一切感じられない潔い文章。何より、映画の黄金時代に女優として、才能溢れる監督や俳優たちに囲まれながら、その中心に存在していた人の鋭い観察眼は映画史としても面白い。「しょせん人間は、1枚の皮をかぶった『骨』である」と高峰さんは言うけれど、「女優・高峰秀子」という人物を纏って生きてきた人の達観した人生観なんだなと思う。
読了日:2月26日 著者:高峰秀子
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