あう、ここんとこ無駄遣いしないように大人しく過ごしていたんですけど、黒い心がざわついちゃいましてね(*≧m≦*) 買っちゃいました、歌舞伎座一等席。
チケットあるとなると、急に余裕だね。木挽町界隈を朝から散歩。
(実は、宿にしていた虫六子の部屋を「1コマ目あるから」と早くに追い出された)
あのビルの、裏路地。
はい、表につきました。
あのファサードだけをファインダーに収めれば違和感ないように撮れますが、実際はこんなです。オリンピックのやり直しコンペで聖火台のない国立競技場を設計した高名な建築家の作品です。
世間の桜は終わり加減ですが、筋書きの藤の花房もみごと、緞帳の桜は満開です。
○歌舞伎座 四月大歌舞伎
【昼の部】
【昼の部】
『松寿操り三番叟』
三番叟 染五郎
後見 松也
『沖津浪闇不知火 不知火検校』 浜町河原より横山町の往来まで
富の市 幸四郎
生首の二郎 染五郎
鳥羽屋丹治 彌十郎
同 弟玉太郎 松也
岩瀬藤十郎 友右衛門
岩瀬奥方浪江 魁春
湯島おはん 孝太郎
母親おもと 秀太郎
新古演劇十種の内 『身替座禅』
山陰右京 仁左衛門
太郎冠者 又五郎
侍女千枝 米吉
侍女小枝 児太郎
奥方玉の井 左團次
『松寿操り三番叟』は、マリオネットのような人形振りでみせる三番叟。途中で糸が切れて制御不能になる踊りが面白い、三番叟の化粧(かお)も面白い。
『不知火検校』はちょっと毛色の違う歌舞伎でした。歌舞伎と言われればそうですが、様式美というよりも心理劇のような現代性があり、こういう芝居はとても幸四郎には似合っているように感じました。主人公・富の市は、親の因果で生まれながらに目が不自由で、横山町の検校の元に修行に預けられられたものの手癖が悪く破門となります。ところが、この富の市は、冷酷・無慈悲・良心のかけらもない人格の持ち主で、いわゆるサイコパス。悪い仲間を巻き込んで、平気の平左で悪事を重ね、ついには師匠検校を殺めて貯めこんだ金も盗み、まんまと検校の座も奪ってしまいます。その身分をうまく使ってさらに仕事は大胆に…。悪事の末にお縄にかかるけれど、最後に放つ悪態が痛快。
(うわー、つまんない人生の末に汚ねえババアになって終わるのか、私も…!?)と、そのセリフに自答しつつ、一瞬ひるみました。
(いえ、足ることを知ったライフスタイルが虫六の生活信条です、はい。苦笑)
余談ですが…
江戸時代、盲人は「当道座」という自治組織に属することが奨励されて、主に平曲・地歌三弦・箏曲等の演奏、作曲、あるいは鍼灸・按摩の技を身につけて職業とし、その業績が認められれば一定の期間をおいて「検校」まで73段に及ぶ盲官位が順次与えられたそうです。「検校」は平安時代を起源とする盲人に与えられた役職で、そのような盲官中の最高位であり、当時は非常に大きな権力をもっていたらしい。しかし官位を得るためには非常に長い年月がかかるので、早期に取得するため金銀による盲官位の売買も公認され、お金を積めば認定されるようになったそうです。検校になるまでには総じて719両が必要であったと言われていたとか。また、そのような官位の売買に絡んで高利に金貸しをすることも認められていたので、それで爆利を得る検校などもいたそうです。(wikipedia参照)
もちろんお役柄、幸四郎の生歌やお三味線の生演奏も聴けました。声の良い役者さんですし、ミュージカルスターでもあることはよく知られたことですが、地唄も堂々としたもの。芸達者だなー。得した気分でありました。
で、待ってました!の『身替座禅』。
おっかない奥様と浮気性の旦那様の爆笑・松羽目コメディ?人気演目であります。
仁左衛門の山陰右京さまははじめて拝見です。これまで、十八代目勘三郎や團十郎の名演も拝見していますが、どれとも違う右京でありました。
憎らしいくらい色っぽくて桃色のオーラが匂い立ってましたよう…(*´ェ`*)…。ゲラゲラの喜劇に落ち込まずに、品の良さが漂うところがやっぱり松羽目ものって感じで、とても後味が良いです。げっぷが麗しい芸になるって、歌舞伎くらいですよね。
左團次の玉の井は、醜女なれどモテる旦那を持ってしまった執着をあまりエグくなく演じていて、返って心は乙女ということが伝わってきて面哀しい。それは心配でありましょう、これだけダンナが色っぽければ。
又五郎の太郎冠者はいい味!絶妙でした。千枝(米吉)・小枝(児太郎)は存在感はかわいいのに、しっかりものの腰元が「仕事できる」感じで、頼りない太郎冠者とのコントラストがまた可笑しい。無駄のないキャスティングでした。あんまりかわいいので、最後に売店に滑り込んで米吉君の生写真をゲットして帰ってきました。
0 件のコメント:
コメントを投稿