家元の会にN姐さんが聞きにきてくださり、歌舞伎座にかかる『極付印度伝マハーバーラタ戦記』のチケットがまだ3階席に空きがある…という話になり、虫六的には今月は悪の華(国立劇場『霊験亀山鉾』)と『ワンピース』があるので優先順位低めでしたが、3階なら見に行ってみようと盛り上がり、2日目の舞台を観にいきました。
3階A席のチケットは歌舞伎会のゴールド会員さまに先買いされるので、虫六が旅費を掛けても観たいと思うような演目はなかなかゲットできず、あまりこの席で観るチャンスはありません。また「旅費掛けるくらいなら花道脇で見たい」と思ってしまうのが人情でございましょ。
新歌舞伎座の3階席、けっこう見通しが良いです。1階の高い席で前の人の頭が邪魔になるところよりも、ストレスがないかも…。
新作歌舞伎『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』
序幕 神々の場所より 大詰 戦場まで
迦楼奈(かるな)/シヴァ神 菊之助
汲手姫(くんてぃひめ) 時蔵
帝釈天(たいしゃくてん) 鴈治郎
鶴妖朶王女(づるようだおうじょ) 七之助
百合守良王子(ゆりしゅらおうじ)/多聞天(たもんてん) 彦三郎
風韋摩王子(びーまおうじ) 坂東亀蔵
阿龍樹雷王子(あるじゅらおうじ)/梵天(ぼんてん) 松也
汲手姫(くんてぃひめ)/森鬼飛(しきんび) 梅枝
納倉王子(なくらおうじ)/我斗風鬼写(がとうきちゃ) 萬太郎
沙羽出葉王子(さはでばおうじ) 種之助
弗機美姫(どるはたびひめ) 児太郎
森鬼獏(しきんば) 菊市郎
拉南(らーな) 橘太郎
道不奢早無王子(どうふしゃさなおうじ) 片岡亀蔵
修験者破流可判(はるかばん) 権十郎
亜照楽多(あでぃらた) 秀調
羅陀(らーだー) 萬次郎
弗機王(どるはたおう)/行者 團蔵
大黒天(だいこくてん) 楽善
太陽神(たいようしん) 左團次
那羅延天(ならえんてん)/仙人久理修那(くりしゅな) 菊五郎
パンフレット買いましたけど、役名が難しくて漢字もふりがなも頭に入りませんです。
(||li`ω゚∞)
…が、観たらとても完成度高いし、分かりやすいし、面白かった。なにしろ急に行ったものだから予備知識なかったので、いい意味で激しく予想を裏切られました。
世界三大叙事詩と言われる有名な複雑な世界をよくぞ!と分かりやすい脚本(脚本は青木豪、演出は宮城 聰)。歌舞伎ではお馴染みのお家騒動がベースで、古代神話の突飛な展開あり、妖怪変化、立ち回り、道行…あり、歌舞伎の寸法に収まってて嬉しくなりました。床には竹本の前にインド打楽器囃子。木琴の音が面白かったけど、これはインド楽器なのかな?シタールかと思って双眼鏡で覗いたら浄瑠璃の三味線方が演奏してて仰天しました!
後で知ったのですが、あのインド囃子はインドの楽器というよりも、アフリカや南米の楽器を使っていたそうです。(歌舞伎美人『マハーバーラタ戦記』特設ページ・音楽はどうなる?)←こういうお話は筋書きに載っけて欲しいよね。
打楽器囃子の生演奏やシタール風三味線にも仰天したけど、浄瑠璃も面白いこと語ってました。当たり前だですが、長唄も黒御簾も新曲なんですよね。新作流行の昨今、地方さんや囃子方も相当がんばってる!踊りもインド舞踊チックな不思議な振付けが楽しい。丁寧に時間をかけて造りあげている印象で、好感をもちました。
冒頭に登場するインドの神様方の衣装がキンキラキンで少々鼻白みましたが、下界に場面が移ったら、皆さま着物姿(綯い交ぜ…笑)、額に赤ポチついてるのがインドの印。
神々が愉快がって演じている感じ、先だってのたぬき会の悪ふざけモードは、このノリだったのか?!となんだか納得しました。
さて、音羽屋・萬屋に交じって際立った存在感を示したのは七之助でした。
七之助の鶴妖朶(ツルヨウダ)は、気品と仇な迫力が矛盾なく混在していて、打ち掛けの中に着た黒無地がカッコイイことこの上なしです。立ち回りも上手いし、それでいて適役なのに感情移入したくなる可愛いさもある。
もう、このスケールの役をこなせる女形は七之助だけですね。8月の夜長姫で「七之助化けた!」と口走ってしまいましたが、やっぱり良くなってるね。
松也の阿龍樹雷(アルジュラ)王子も良かったです。伸び盛りの役者を観るのは爽快です。
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