2013年4月28日日曜日

おのれナポレオン

19日、歌舞伎座は1部だけでしたので、ホテルに荷物をおいて、劇場を梯子しました。
行き先は、池袋。東京芸術劇場であります。


目的のお芝居は「おのれナポレオン」。三谷幸喜(脚本・演出)、野田秀樹(主演)のガチ対決であります!

「おのれナポレオン」

会場:東京芸術劇場プレイハウス
2013年04月09日 (火) ~2013年05月12日 (日)(4月6日、7日プレビューあり)
    *虫六観劇日は19日

作・演出:三谷幸喜
出演:
 ナポレオン・ボナパルト 野田秀樹
 愛人アルヴィーヌ 天海祐希 
 副官シャルル・モントロン 山本耕史
 従僕マルシャン 浅利陽介
 主治医アントンマルキ 今井朋彦
 総督ハドソン・ロウ 内野聖陽

ぴあのプレリザーブは特別料金とられて割高なのに席は遠くて泣きたくなるね。でも、プレイハウスは2階席4列目でも舞台全体は見渡せて十分に観劇できました。

写真とったら叱られたのでアップしませんが、シンプルな四角いステージに椅子やベッド、ピアノ、それからチェス盤(ナポレオンが好んだ)という最低限の装置だけ。それを三方から取り囲む客席というつくりで、役者も三方から出入りします。照明が効果的につかわれていました。(2階席からはそういう全体の感じはよく見えました。)
物語は、ナポレオンの死因に関するミステリーで、死後20年その死に疑問をもったセントヘレナ出身の医学生が、絶海の孤島セントヘレナ島に幽閉されていたナポレオンの周辺にいた関係者を一人ずつ訪問するという形を取っていて、それぞれの人物の回想や、再現シーンが交錯します。

孤島でチェスに興じながら退屈至極な日々をおくるナポレオン、なにやら企みを肚にもったまま振り回されているまわりの人たち。粒が立っていて、キャスティングが絶妙。背の高い綺麗な役者さんたちに囲まれて、小さい野田ナポレオンの天衣無縫な自由な振る舞い振りがひときわ際立ちます。かわいいんだけど、実はゲームをしかけているのはこの小さい人物…。
面白かったー!

帰宅したら、虫六子に「ずるいずるい」と悔しがられたので、5月9日のライブビューイングも見に行くことにしました。S市にも会場あって良かった!


2013年4月27日土曜日

歌舞伎座開場柿葺落四月大歌舞伎

さて、いよいよ定式幕が開いて、舞台が始まります。


歌舞伎座新開場 柿葺落四月大歌舞伎
 平成25年4月2日(火)~28日(日)  (虫六観劇日は19日)

【第一部】

一、壽祝歌舞伎華彩(ことぶきいわうかぶきのいろどり) 鶴寿千歳

 鶴    藤十郎
 春の君  染五郎
 宮中の男 権十郎・亀 鶴・松 也・萬太郎・廣太郎
 宮中の女 高麗蔵・梅 枝・壱太郎・尾上右近・廣 松
 女御   魁 春

二、 十八世中村勘三郎に捧ぐ お祭り(おまつり)

 鳶頭  三津五郎・橋之助・彌十郎・獅 童・勘九郎・亀 蔵・
 芸者  福 助・扇 雀・七之助・
 若い者 巳之助・国 生・宗 生・虎之介・宜 生・
 手古舞 新 悟・児太郎

三、 一谷嫩軍記 熊谷陣屋(くまがいじんや)

 熊谷直実  吉右衛門
 相模    玉三郎
 藤の方   菊之助
 亀井六郎  歌 昇
 片岡八郎  種之助
 伊勢三郎  米 吉
 駿河次郎  桂 三
 梶原平次景高  由次郎
 堤軍次   又五郎
 白毫弥陀六  歌 六
 源義経   仁左衛門

閉場公演の時も思う存分ふんだくった松竹さんですが、開場公演もこれまたお高い一部×一等席×2万円ってご祝儀価格。しかも、なんのつもりか三部制ですよ。通しで見たい人6万円。ビンボー人は三等席とか幕見とかいう選択肢がありますが、地方在住だと臨機応変なチケ取りは難しいのですよ…。とほほ。
で、そんなに豪勢に遊べないのでどの部か選ばねばならないのですが、これがご祝儀演目ばっかで決め手なし…なんですよね。初めの舞台で、やっぱり中村屋の勘三郎追悼演目が気になるってことで、ここは一部に決めたのでした。

今回は前から2列目の席でしたので、かえって新しい小屋全体を味わうという感じがあまりなかったのですが、なにより舞台が間近くて虫眼鏡で見るように舞台の様子がわかり、いろんな意味でどきどきでした。

舞台を見た印象は、「違和感がない」ということでしょうか。舞台自体のシステムはたぶん現代的な機器が導入されて裏側からは変わったことがあるのだと思うのですが、見える範囲のサイズが同じなので、演じる役者さんを見る限りにおいては、違ったなーという感じがあまりしないのでした。後ろの方にいくと、音響や照明などの全体的な印象は違っているのかも知れませんけれども…。素人の虫六にはよく分からないのでした。

「鶴寿千歳」はご祝儀曲ってことで、藤十郎丈が登場しただけでおめでたいのです。長寿は何にも勝るのであります。井戸口に向かってつぶやきたいこともあるけれど(苦笑)…「おめでたかった」ということだけを申しておきましょう。染五郎丈の春の君は麗しかったし、魁春丈の猫背は亡くなった成駒屋さんにそっくりだなぁと思いました。開場の一番初めの舞台に立つのは、当代重鎮俳優の御曹司たち、この歌舞伎座を背負って立つ世代です…と、お行儀のいい記者は書くでしょう。しかし、なんだか親の勢力図みたいのもかいまみえ、かつ、この人たちずらっと並んで誰かハッとするオーラがあるかっていえば、なんかもの足りないという。なにはともあれ錦絵のような華やかな晴れの舞台でした。

休憩時間に、トイレをチェック。
導線が一方通行になり、混雑しないようにオペレーションが工夫されています。売店は記念品を買おうというお客さん達で大混雑なので近づかないことにして、虫六の秘かな楽しみである生写真コーナーを求めて3階へ。つか、なぜ3階!?遠いんですけど。コーナーに着くやいなやブザーがなったので、あわてて2枚ほど購入して席へ戻りました。

次は「お祭り」。もうね、一昨年末の平成中村座の勘三郎復帰演目でしたから、あのときの「待っていたとはありがてぃ」が思い出されます。その演目を、三津五郎丈を中心に勘三郎ゆかりの役者で賑やかに踊りました。ホントに胸が詰まりました。

  かんざぶろうぅ〜、カンバーック!!!!!!!(涙)

そして、中村屋の兄弟に手を引かれて、孫の七緒八君も登場。
会場中の視線を一気に浴びて、全然動じないなんて、やっぱり筋金入りの役者DNA。これが、役者さんたちの踊りに合わせて扇を上手に使って同じ仕草をするんですよ。イノセントな表情で。公演も始まってからもうずいぶん経っているので、一緒の舞台に上がっている間に振付を覚えちゃったのかな。すごいわー。
それにしても、こんな光景を目の前で見てしまうと、「やっぱりあの子は天才だ」とか「18代目が乗り移ってる」とか言いたくなりますね。少なくとも、七緒八君がひとかどの人気役者になった時には、今月のこの舞台の話が繰り返し語られることでしょう。
まわりの役者さん達も優しい表情でかまっていて、なんだか良い雰囲気でした。平成中村座のチームワークには未来を感じます。
でも、ずいぶんお兄ちゃんになった橋之助丈のところの御曹司達は、踊る様子をお父さんがなんだか怖い表情で見ていたようで、(あ〜、帰ったらダメ出しされるんだな、この子達…)なんて。七緒八君もダメ出し貰うくらい大きくなる日もくるんだね。その頃には歌舞伎界はどんな感じになっているのかな?

勘九郎丈、七之助丈も今はプレッシャーで大変かも知れないけれど、ファンはちゃんと支えるので、気負わずにゆっくり成長してください。

それから、最近巳之助君が上手くなっていると思うのでした。
それから、コレまで正直上手いと思ったことがなかったのですが、獅童丈が良い感じになってきたのはないでしょうか。この方、もしかして大器晩成タイプですか?

で、不肖虫六、「お祭り」をみたらなんだか終わった気になってしまい、カバンを持って帰りかけたのです。しかし、みなさん帰る様子もなく、がさごそお弁当なんか広げはじめたりして…ん?おかしいな?と思っていたら、「休憩時間35分」と。
(じぇ、じぇ、じぇ!もう1演目あったじゃん!)
慌ててポスターで確認したら、「一谷嫩軍記 熊谷陣屋」でした。アンテナすっかり下がってました(;´▽`A`` 。あちゃちゃ、もしかしてこれが1部のメインディッシュでしたね…( ̄◆ ̄;) 
よく見たら、相模は玉様だよ、義経は仁左さまだよ!すまぬー。と、ここまでの脳内活動を何げにごまかして、お茶を買ってきた振りをして弁当を急いで食べ(だいたい前の休憩が短かったので、せっかくお弁当買ったのにいつ食べるの?とか思ってたんですよ。痛すぎ。)、よく考えたら今の2つは舞踊だもんね、お芝居みてないわそういえば。

で、「熊谷陣屋」ですが、なにが良かったって、玉三郎丈の相模です!
主役の直実・吉右衛門丈が芝居をしている間はけっして出しゃばらず、ぐっと殺した演技、肚だけで持たせて、自分のセリフの順番になったら(つまり首実検のあと、義経の配慮で息子小太郎の切り首を抱えて嘆く場面)持って行かれました。連れて行かれたというべきか…。身体の傾き、声の調子の高低、ひとつひとつの所作がずんずん胸を打ってくるのです。気がついたら、涙が止まらなくなってました。まわりのお客さんもみんなぐすぐす泣いてます。
好みの問題ではありますが、播磨屋型(?)直実の真っ赤になって泣きながら無情を訴えるリアルな演技には、あまり心は揺さぶられなかったのですが。
今回は脇で仁左衛門が義経ですが、なんちうか、たたづまいと口跡で気品のある義経で、やっぱりカッコいい!仁左衛門の直実で見たかったッス。(ま、言ってみただけです)

筋書きのインタビューも、ほとんどの役者さんが「新しい歌舞伎座でお役をいただいて光栄」とか「心を込めて」とか、異口同音にそんなコメントなのに、玉三郎丈だけは「上演作品が多彩であることが必要とされる時代でしょう。古典を大事にしながらも、新しい歌舞伎座ではどのような出し物が可能なのか、どうお見せできるか、演出面も含め考えていきたいと思っています。」と!なんちうか次元が違っております。人間国宝になっても玉様は守りになんかまわりません。まだまだ挑戦する気なんだ!と感服した次第です。

そんなわけで、虫六が5月6月と来れるかどうかは分かりませんが、この先もこけら落としは続くのでした。


歌舞伎座の裏側にあったお稲荷さんが地下のお土産街に行くエスカレータの入り口近くに移転されました。お客さんが拝むお宮になりました。
芝居の神さま、またいい芝居を見せてください。どうぞよろしくお願いします。

これまではお迎えビルから歌舞伎座全体を撮ってましたが、今度の歌舞伎座は虫六カメラの広角レンズをしても画角に入りきらない感じです。


脇の路地からずっと引いて撮ってみましたが、なんだこのビル…。うへぇ。




2013年4月23日火曜日

新装歌舞伎座の開場を見物に行く

わがパワースポット、東銀座の歌舞伎座がいよいよ新装開場となりました。遠方ゆえに開場記念の様々なイベントにも立ち会えず、開場してすでにン日も過ぎてしまいましたが、なにはともあれ見るなら4月公演、第一部でしょ。ってことで、金比羅歌舞伎の熱も冷めないままにやってきました、木挽町!

あんまり先代の小屋と変わっていないような印象を残す新しい歌舞伎座ですが、建物的には後ろにあるチョー高層ビルのちょっとしたファサードのようです。

だって脇から入ると、「KABUKIZA TOWER」ちうビルですよ。家賃高そうな…。何かあるのかな…と思って入ってみたら、歌舞伎座ギャラリーや歌舞伎役者のコスプレで写真が撮れる「スタジオアリス・歌舞伎写真館」などは4月24日からのオープンでした。

導線のままに進んでいくと、地下1階にどどーんと広がるお土産市場。地下鉄改札からもココに繋がっていて、「東銀座で下りるとそこは奥山」みたいな演出なのでしょうか、各種店舗で賑わっていました。まだ、チケットを切っていないので、劇場に入らなくてもお土産が買える仕組みになったみたいです。(それは、有り難くないですが…)
屋上庭園にも行ってみようかな…と思ったのですが、エレベーターの前にすでに100人も行列を作っていたので、開演に遅れたら本末転倒と思い、やめときました。
事前に「お弁当売り切れで買えない」との情報を得てましたので、松屋で観劇弁当はもう購入済みであります!

 エスカレーターを上がったら、そこは歌舞伎座の正面玄関で、結局まだ劇場の外なんですね。地下から直接入場できるのかどうかは不明のままです。
絵看板は、以前の形を踏襲ですね。

 入り口ロビー。印象は以前より狭い感じですが…。

絨毯はこれでもか!ってくらい、ふかふか。というより、ぎっしり目の詰まった高級絨毯で、ぎしぎしいってました。

おお、ひさしぶり!
なんと前から2番目の真ん中あたりだよ。
椅子も新しくてぽんぽんで、なんだかお尻が落ち着きません。もう少しへたってくると楽ですかね。

舞台近くから後方の客席を眺めました。
客席を少し減らしてゆったりさせたらしいです。2階や3階からも花道の七三が見えるようになったらしい。今回は1階席ですが、いろいろな席で体験したいものです。

こちらは西桟敷の方。

こちらは東桟敷側です。
全体が眩しい!

天井です。むむ、ココが以前の劇場と違っているような気がするぞ。
この造りはなにをどうしているのかな?音響対策でしょうか?照明対策でしょうか???

そんなわけで、いよいよ開幕で〜す。
うるうるの舞台の中身については、また明日ー!!!

2013年4月21日日曜日

こんぴら道中おまけ_「凱陣」蔵元に行く

虫六にも人並みの良心というものがあるのです。
金比羅歌舞伎見物に出立するまえに、お留守居の家人Tにお土産はなにが所望か聞いてみた…ら、
T「凱陣*ですかね」 という答えが返ってきたのでした。
(「凱陣」は、琴平にある老舗の蔵元・丸尾本店が造る清酒で、地元の酒屋さんにも出回らないという銘酒にして希少酒なのです。何度もこんぴら歌舞伎を見に行っているN姐さん達も飲んだことがないというのに、なぜかS市の「のんびり居酒屋ニコル」で出していて、虫六が「飲んだことあるよ」と言ったら仰天されました。で、我が家的に「凱陣」のありがた度が俄然あがりまして特別な酒レベル5_今のところ5が最高_になっております。)

 実際、地元の酒屋でも本当に扱いは無いようで、これは蔵元に行ってみよう!ということで、やってきました丸尾本店。
建物には、「史跡 長谷川佐太郎旧家」と標識がでているのですが、もともとは、幕末期に讃岐に逃れてきた高杉晋作や桂小五郎らと親交が深かった日柳燕石の陰の資金提供者、長谷川佐太郎の造り酒屋「新吉田屋」だったものを、現在の社長・丸尾忠男さんのおじいさんが譲り受けたという歴史があるそうです。この酒蔵に勤王の志士を匿っていたのだとか。造りは江戸時代の商家のままで、からくりや同志たちの間で「梧陽堂」と呼ばれていた離れ座敷も現存しているらしいのですが、唐突に訪問したので今回は建物見学はなしでした。

行けば買えるのかな…とかすかな期待を持っていたのに、それを木っ端みじんに打ち砕く、並んだ見本酒瓶の首元にことごとく貼り付けられた「品切れ」の札。

が〜ん。ここまで来て玉砕ですか…。

と、店先でじたばたしていたら、「5月の中旬過ぎには次の瓶詰めできるんですけど」との、顧客管理完璧なおかみさん(←どこのどのお店にどんな商品がまわっているのか全部インプットされていらっしゃるようです。すげ〜!)の一言をいただき、むりやり予約発送をお願いして帰って来ました。いつ来るかな〜、楽しみであります。
(しかし、ここでベニジャケ・ジェット機に乗って浮かした交通費が水泡に帰しました…とほー。)

ちなみに、我らが泊まったホテルの夕食に凱陣を注文しようと思ったら、グラス1200円で、怖じ気づいたカコトラ・女子部でしたー。


2013年4月19日金曜日

ブレてない四代目猿之助_四国こんぴら歌舞伎(2)

夕べは女子会で盛り上がって少々寝るのが遅くなり、毎年いらっしゃっているN姐、T姐は「今年はやめとく」ということで、ひとりでこんぴらさんにお参りに昇りました。

なにしろ、ほんとうはこの公演に来たがっていた虫六子にせめて「学業成就」のお守りくらい買ってやらねばなりません。(でもなぁ、やっぱり見せればよかったなー)…つまりは、後ろめたいのか、俺。
とはいえ甘くないぞ、こんぴらさま。200段くらいで息が上がってきました。

行程は去年のと同じなので省略…なんとか本宮到着。ひい。
帰り時間を換算して、ここでお守りを買ってUターンですかね。

こんぴらさま、どうか来年はお礼参りさせてください。


さあ、「四の切」みるど〜!

役者のぼりがはためいております。今回のお宿は、金丸座のすぐ近くの「琴平グランドホテル・桜の抄」。サービスもよく、温泉も綺麗で、晩ごはんも美味しかった。カコトラツアーのスペシャル奈落見学や怒濤の飲み会はセットされていませんが、十分に良いパックでした。
ぎりぎりで会場に着いたら、お姐さま達は、木戸芸者役の地元の小学生と仲良くなって記念撮影などしていたらしい。あらら〜いーなー。

昼の部は、2階「前舟1」で見ます。小屋全体が見渡せるとても面白い席です。ストレスもないし、この席気に入りました。ま、選べるわけじゃないので、ラッキーでしたね。
提灯に、葡萄棚が綺麗。へへ、このかけ筋使うんですね!楽しみ過ぎる。

こちらは2階正面。舞台はけっこう見やすい。

こちらはお大尽席がある側の西桟敷。
舟に近い端っこの方に小学生四年生が見学にきてました。毎年鑑賞会があって、琴平の小学生は羨ましいなぁ。

照明がかわったぞ。

第二十九回四国こんぴら歌舞伎大芝居
市川亀治郎改め 四代目市川猿之助襲名披露
平成25年4月6日(土)~21日(日)

第一部
一、鳥辺山心中(とりべやましんじゅう)

菊地半九郎     片岡愛之助
遊女お染      市川春 猿
同 お花      市川笑三郎
父 与兵衛     市川寿 猿
坂田源三郎     市川猿 弥
坂田市之助     市川右 近

二、三代猿之助四十八撰の内 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
川連法眼館の場  市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候

佐藤忠信/忠信実は源九郎狐  亀治郎改め市川猿之助
源義経       片岡愛之助
駿河次郎      市川月乃助
亀井六郎      市川弘太郎
飛鳥        坂東竹三郎
川連法眼      市川寿 猿
静御前       片岡秀太郎


(以下、ネタばれ注意)
「鳥辺山心中」は、なんか近代くさいにおいがするなと思ったら、大正4年に東京で初演された岡本綺堂の心中ものでした。お話の最初から(あ、それ死装束になるわけね…)という晴れ着が出てきて、親父さんが「酒には気をつけろよ」なんて、暗示めいたセリフを言ってしまう、分かり易いというか説明過剰な筋立て。正直、近松もののような、歯車が狂ってどうにもならない無情感はあまり感じられないのですが、綺麗な男女が色っぽく踊るという絵の美しさはこの小屋にはまりました。愛之助と春猿のキャスティングはなかなか良いです。

きっと脇でみていた小学生も、「頭の固いやつに言いかがりつけられて絡まれ、酒の勢いで殺してしまって、心中しなければならなくなった男女の話」という筋は忘れてしまっても、「紫の小袖の女の人と黒い着物の男の人が綺麗だったなー」という記憶の方は、脳みそのどこかに残るでしょうね。

澤瀉屋の春猿の演技は様式的、松島屋の愛之助のは比較するとリアルちっくに感じました。こういう筋書きにはあまり意味がないような(…と言っていいのかわかりませんが…)演目だから、徹底的に陶酔するような綺麗さで見せていただきたいと思いました。とはいえ、そういう意味では、この二人の舞台は全体的に不足なかったです。やっぱり、美しいって大事ですね。春猿は背が高いので、愛之助に合わせるのがやや大変そうでした。

JTBでもらったお弁当。充実の中身です。幕の内弁当はこうでなくっちゃ!三越製らしい。

天井に人影が!かけ筋のセットアップですかね。わくわく。

またも、福山幕が出て来ました。T姐さまと「この柄で手ぬぐい作ったらみんな買うのにね」という意見で一致しました。なんか難しいことあるんでしょうか?染め色数増えるとコスト高になりますけどね(苦笑)。でも、買う。


そんなわけで、いよいよ「四の切」

新猿之助の「四の切」は、新橋の襲名公演で拝見しており、あの(!)、ほぼ理想通りの「四の切」を金丸座という江戸時代の芝居小屋で見たらどうか⁈というのが、今回の最大の楽しみだったわけです。

言いたかないけど去年のこんぴらデビューでは、同んなじ演目で、某お客さんに「おんどりゃ、江戸の芝居小屋を舐めてんか!」と毒づかれてしまうようなお芝居しか見ておりませんので、今年は本当に気分は「リベンジ」。亀、もとい、猿之助なら何からやってくれる!


それにしても、最初に義経が出てきた瞬間から違ってました。殿様襟が似合う愛之助であります。
で、シャリ〜ンとなって、猿之助の佐藤忠信が鳥屋から出てくるのを見ただけで、背筋がゾクゾクしてしまいました。なんで?まだ狐役じゃないのよ。

もちろん、狐忠信登場後の猿之助のオーラはただごとじゃありません。すごいと思ったのは、たぶん、新橋の襲名公演で演じた演出をほぼ変えていないということです。小屋のサイズはもちろん、装置やスタッフの数まで同じであるはずはないのですが、演出を縮小したという印象を感じさせないのです。
むしろ、役者と舞台のサイズに無駄がないのかとても大きく見える。(例えば、子狐が喜んで跳躍する場面、もちろん猿之助の身体能力の高さもあり「高い!」と思わせますが、実際跳んでいるのが50センチだとしても、80センチくらい跳んでいるように感じるわけです。*注:センチはイメージね、実際はどのくらい跳んでいるのか知りません。)

早変わりや、難技(欄干渡りとか、クルクル回りとかね)決めて欲しいと思う見せ場が、気持ちいいほどつぎつぎに決めてもらえて、本当に感嘆と驚がくのミルフィーユであります。

何より、猿之助の狐は愛らしい。体も軽いし、舞台の真ん中に置かれた「(親)鼓」が本当に生命を持っているかのように振る舞う姿がけなげで愛おしく感じさせる…。この、「子狐が愛おしい」と思わせることが、四の切においての必要絶対条件であるように思うのです。そして変化であるという、人間を超えた能力ですね。

3代目が確立した演出なので、必ずしも江戸の芝居小屋仕様ではないのかもしれないけれど、少なくとも金丸座では不足なく同じ演出で表現できるし、この程度のケレンは、江戸時代じゃ常識よ!と、言われたような気がしました。

会場の観客との一体感も相乗効果です。もちろん、新橋公演の時も会場は一体感で包まれて、大きな感動を体感しました。しかし、この小屋にはそれ以上に何とも言い難い「呼吸」のようなものがあります。「胎動」って言いますか。

大団円では、かけすじを使って引っ込みますが、これが人力。近代的な小屋では電動でしょう、役者も機械に身を任せるわけですが、人力で引っ張られると、役者も裏方も息を合わさないわけにはいきません。観客も!長い距離ではないのだけれど、この数メートルがすごくもったいない貴いものに感じました。
実は、この場面の演出で私は葡萄棚から花吹雪を散らせると想像していました。しかし、実際は花道のおしまいに役者を降ろすための幕が出てきて、(2階に入るわけじゃなかった)そこからジェット噴射の花吹雪が舞いました。そう、新橋公演を踏襲した演出です。確かに、葡萄棚は袖萩祭文で使っているので、夜の部の演出とかぶらないようにしているんですね。これは1本取られました。

今回のこんぴら歌舞伎を拝見して、猿之助という役者はとても本質的に歌舞伎をとらえていて、その努力を惜しんでいないことに感激しました。

歌舞伎の将来を見ているという意味では、勘三郎の実現していた数々の仕事が大きな可能性を感じさせるものでしたけれども、今となっては彼の不在が今後の歌舞伎界にどんな影響を与えるのかと心配があります。新しい歌舞伎座はできたけど、芝居はつまんなくなるのかな?と。(だいたい杮落しに猿之助が出てないじゃないか!松竹はトチ狂ってんじゃないの?)

でも猿之助のお芝居を見て、そんな老婆心はとりあえずおいておこうと思いました。この人はブレずに歌舞伎の将来を見ているような気がする。
やっぱりね。良いお芝居はどういうものか、選ぶのは、どこぞの芸術院の先生でなくて、お金を出して劇場にやってくる観客なんですよ。


新橋公演で初役だったという秀太郎の静御前も、猿之助の襲名につき合っているうちに80回を数えたとか、役者の仕事ってすごいなぁ。


あぁ、あっとまにこんぴら観劇ツアーも終わってしまいました。
駅に、仙台・宮城DCの大河原の桜のポスターが貼ってあり、四国なのに…と不思議な感慨。

さようなら、今年の金比羅歌舞伎。

また来るね、琴平駅。

ブレてない四代目猿之助_四国こんぴら歌舞伎(1)

というわけで、琴平駅に今年も来てしまいました。

芝居の神様、金比羅さま、お迎えくださりどうもありがとう。
今年は、カコトラ勧進ツアー・女子部ということで、正規軍より一足先に観劇するのです。このツアーは、JTBのパック(16日の昼の部&弁当とホテルと夕食がついている)を利用しつつ、夜の部は自力でチケットゲットということで、15日の夜の部から始まりです。


二十九回 四国こんぴら歌舞伎大芝居
市川亀治郎改め 四代目市川猿之助襲名披露


一、銘作左小刀 京人形(きょうにんぎょう)

  左甚五郎      市川右 近
  女房おとく     市川笑三郎
  奴照平       市川月乃助
  栗山大蔵      市川弘太郎
  娘おみつ実は井筒姫 市川春 猿
  京人形の精     市川笑 也

二、四代目市川猿之助襲名披露 口上(こうじょう)

  亀治郎改め市川猿之助
   幹部俳優出演

三、三代猿之助四十八撰の内 奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)袖萩祭文

  袖萩/安倍貞任  亀治郎改め市川猿之助
  八幡太郎義家   市川門之助
  平傔杖直方    市川猿 弥
  妻 浜夕     坂東竹三郎
  安倍宗任     片岡愛之助



各演目のあらすじは、こちら

今回の枡は、「への7」番。花外ですが…

花道が目の前です。目の、まえです。

(以下、ネタばれ注意です。)
「京人形」は、以前、別の役者さんのを見た事がありましたが、そんなにピンと来る演目ではなかったのですが、右近&笑也の取り合わせは面白く見られました。

特に、笑也丈の京人形の精の人形振りが、(甚五郎が吉原で拾った)鏡を懐に入れられたり抜かれたりすると、ぶっきらぼうになったり可憐で柔らかな動きになったりして笑いを誘っていました。そもそも、笑也丈はいるだけでお人形みたいにみえる清楚な美形なので、この役はピッタリはまっております。その上、その骨格どおなっているの?と思うような、なんだか不可思議な動作、それから、「まばたきしてない!」ってことに、終始仰天でした。小さな小屋ですから、観客に人の気配を感じさせないこの演技はすごいですね。

後半は、右腕を切られた甚五郎(右近)が、彫物師の名人ってことで(←なんせ、伝説の!左甚五郎なので。)トンカチやカンナなどの大工道具をつかっての立ち回り。…へんてこな嗜好ですけど、歌舞伎だからありです。立ち回りの若い役者さんが逆立ちする場面で、ちょっともたついたら、会場中の息がそこに集中して、無事に成功したら満場拍手喝采でした。右近丈が苦笑いしていて可笑しかった。
でも、筋だけ追うと、左甚五郎ってフィギュア・フェチみたいなキャラですね。で、この人形は「生き人形」に見えるけれど、どうも木彫家らしいんですよ。ま、どうでもいいか。

例の福山幕が現れて「襲名口上」。
この幕、金丸座にも合いますね。歌舞伎座とはサイズが違うから、巡業に合わせて何枚か作ってあるんでしょうか。
音頭は、片岡秀太郎丈。風格があって暖かみのあるいい口上でした。となりの愛之助を一個とばしで、「年の順」ということで寿猿丈を指名したら、なにやら役者さん達の肩が震えている…なにか楽屋落ちのネタがあったのかもしれません。で。寿猿丈の口上が素晴らしい。「自分は子役の時以来の金比羅歌舞伎で、70年ぶりです」と!!どよよ〜。中村屋の小山三さんみたいな方が、ここにもいらっしゃいました。竹三郎丈(←も同年代!)、澤瀉屋一門、そして愛之助丈、全体に和やかで、爽やかで、テンポのある、いい口上でした。
猿之助は、新橋の襲名の時と同じ、歌舞伎はお客さんと役者が一緒につくるもの、という口上。これが、四代目のコアにある信条なのでしょう。そして、今回の舞台はそれを十二分に表現してくれたものだったと思います。

「袖萩祭文」は、本当に素晴らしかったよ。
あの席ですから、目の前を、猿之助が演じる盲目の袖萩が娘のお君ちゃんと肩を寄せ合いながら歩いて行くのを、間近に逆光で見てしまった…。美しっ。袖萩が通り過ぎたら、なんだかずっといい匂いがしてました。
見せ場では、葡萄棚から白い雪が舞台だけじゃなく客席全体に舞い落ちて、その中で、袖萩が三味線を弾きながら祭文語りをします。(阿古屋の三曲じゃないけれど、難役でしょうね。)
完璧なまでにドラマチックないい場面!小屋全体がひとつになりました。
…が、ここで誰かの携帯が。しかも知らんぷりしているのか鳴らしッ放し!しかもバイブ付きで!おいおいおいおいおいおい…。誰に突っ込めばいいのじゃ!

携帯は、始まる前に切りましょう。お願いだから。

で、吹雪で凍えながら癪で苦しむ母・袖萩をいたわる娘のお君がまた健気でかわいいのですが、この日の子役ちゃんは女の子ですごく上手い!感心していたら、なんと地元の子だと!恐るべし琴平町。

後半は、猿之助二役の安倍貞任(袖萩のだんなです)と愛之助の弟・安倍宗任の勇壮な荒事が様式的な見せ場を作ります。色彩が綺麗。早変わりもあって、しっとり哀しい前半とのコントラストがすごい。前半部分しか見た事がなかったので、こんな面白い演目なんだと認識を新にしました。
それにしても、つくづく袖萩はかわいそうです。


十分に満足して、小屋を出ると、まだ全然明るいじゃん!
確か去年は奈落ツアーもあったけど、真夜中だった。
今年は通り札も売ってないし、いろいろ変わってしまったのかな…。

つことで、明日は「四の切」です。ほっほー。