さて、いよいよ定式幕が開いて、舞台が始まります。
歌舞伎座新開場 柿葺落四月大歌舞伎
平成25年4月2日(火)~28日(日) (虫六観劇日は19日)
【第一部】
一、壽祝歌舞伎華彩(ことぶきいわうかぶきのいろどり) 鶴寿千歳
鶴 藤十郎
春の君 染五郎
宮中の男 権十郎・亀 鶴・松 也・萬太郎・廣太郎
宮中の女 高麗蔵・梅 枝・壱太郎・尾上右近・廣 松
女御 魁 春
二、 十八世中村勘三郎に捧ぐ お祭り(おまつり)
鳶頭 三津五郎・橋之助・彌十郎・獅 童・勘九郎・亀 蔵・
芸者 福 助・扇 雀・七之助・
若い者 巳之助・国 生・宗 生・虎之介・宜 生・
手古舞 新 悟・児太郎
三、 一谷嫩軍記 熊谷陣屋(くまがいじんや)
熊谷直実 吉右衛門
相模 玉三郎
藤の方 菊之助
亀井六郎 歌 昇
片岡八郎 種之助
伊勢三郎 米 吉
駿河次郎 桂 三
梶原平次景高 由次郎
堤軍次 又五郎
白毫弥陀六 歌 六
源義経 仁左衛門
閉場公演の時も思う存分ふんだくった松竹さんですが、開場公演もこれまたお高い一部×一等席×2万円ってご祝儀価格。しかも、なんのつもりか三部制ですよ。通しで見たい人6万円。ビンボー人は三等席とか幕見とかいう選択肢がありますが、地方在住だと臨機応変なチケ取りは難しいのですよ…。とほほ。
で、そんなに豪勢に遊べないのでどの部か選ばねばならないのですが、これがご祝儀演目ばっかで決め手なし…なんですよね。初めの舞台で、やっぱり中村屋の勘三郎追悼演目が気になるってことで、ここは一部に決めたのでした。
今回は前から2列目の席でしたので、かえって新しい小屋全体を味わうという感じがあまりなかったのですが、なにより舞台が間近くて虫眼鏡で見るように舞台の様子がわかり、いろんな意味でどきどきでした。
舞台を見た印象は、「違和感がない」ということでしょうか。舞台自体のシステムはたぶん現代的な機器が導入されて裏側からは変わったことがあるのだと思うのですが、見える範囲のサイズが同じなので、演じる役者さんを見る限りにおいては、違ったなーという感じがあまりしないのでした。後ろの方にいくと、音響や照明などの全体的な印象は違っているのかも知れませんけれども…。素人の虫六にはよく分からないのでした。
「鶴寿千歳」はご祝儀曲ってことで、藤十郎丈が登場しただけでおめでたいのです。長寿は何にも勝るのであります。井戸口に向かってつぶやきたいこともあるけれど(苦笑)…「おめでたかった」ということだけを申しておきましょう。染五郎丈の春の君は麗しかったし、魁春丈の猫背は亡くなった成駒屋さんにそっくりだなぁと思いました。開場の一番初めの舞台に立つのは、当代重鎮俳優の御曹司たち、この歌舞伎座を背負って立つ世代です…と、お行儀のいい記者は書くでしょう。しかし、なんだか親の勢力図みたいのもかいまみえ、かつ、この人たちずらっと並んで誰かハッとするオーラがあるかっていえば、なんかもの足りないという。なにはともあれ錦絵のような華やかな晴れの舞台でした。
休憩時間に、トイレをチェック。
導線が一方通行になり、混雑しないようにオペレーションが工夫されています。売店は記念品を買おうというお客さん達で大混雑なので近づかないことにして、虫六の秘かな楽しみである生写真コーナーを求めて3階へ。つか、なぜ3階!?遠いんですけど。コーナーに着くやいなやブザーがなったので、あわてて2枚ほど購入して席へ戻りました。
次は「お祭り」。もうね、一昨年末の平成中村座の勘三郎復帰演目でしたから、あのときの「待っていたとはありがてぃ」が思い出されます。その演目を、三津五郎丈を中心に勘三郎ゆかりの役者で賑やかに踊りました。ホントに胸が詰まりました。
かんざぶろうぅ〜、カンバーック!!!!!!!(涙)
そして、中村屋の兄弟に手を引かれて、孫の七緒八君も登場。
会場中の視線を一気に浴びて、全然動じないなんて、やっぱり筋金入りの役者DNA。これが、役者さんたちの踊りに合わせて扇を上手に使って同じ仕草をするんですよ。イノセントな表情で。公演も始まってからもうずいぶん経っているので、一緒の舞台に上がっている間に振付を覚えちゃったのかな。すごいわー。
それにしても、こんな光景を目の前で見てしまうと、「やっぱりあの子は天才だ」とか「18代目が乗り移ってる」とか言いたくなりますね。少なくとも、七緒八君がひとかどの人気役者になった時には、今月のこの舞台の話が繰り返し語られることでしょう。
まわりの役者さん達も優しい表情でかまっていて、なんだか良い雰囲気でした。平成中村座のチームワークには未来を感じます。
でも、ずいぶんお兄ちゃんになった橋之助丈のところの御曹司達は、踊る様子をお父さんがなんだか怖い表情で見ていたようで、(あ〜、帰ったらダメ出しされるんだな、この子達…)なんて。七緒八君もダメ出し貰うくらい大きくなる日もくるんだね。その頃には歌舞伎界はどんな感じになっているのかな?
勘九郎丈、七之助丈も今はプレッシャーで大変かも知れないけれど、ファンはちゃんと支えるので、気負わずにゆっくり成長してください。
それから、最近巳之助君が上手くなっていると思うのでした。
それから、コレまで正直上手いと思ったことがなかったのですが、獅童丈が良い感じになってきたのはないでしょうか。この方、もしかして大器晩成タイプですか?
で、不肖虫六、「お祭り」をみたらなんだか終わった気になってしまい、カバンを持って帰りかけたのです。しかし、みなさん帰る様子もなく、がさごそお弁当なんか広げはじめたりして…ん?おかしいな?と思っていたら、「休憩時間35分」と。
(じぇ、じぇ、じぇ!もう1演目あったじゃん!)
慌ててポスターで確認したら、「一谷嫩軍記 熊谷陣屋」でした。アンテナすっかり下がってました(;´▽`A`` 。あちゃちゃ、もしかしてこれが1部のメインディッシュでしたね…( ̄◆ ̄;)
よく見たら、相模は玉様だよ、義経は仁左さまだよ!すまぬー。と、ここまでの脳内活動を何げにごまかして、お茶を買ってきた振りをして弁当を急いで食べ(だいたい前の休憩が短かったので、せっかくお弁当買ったのにいつ食べるの?とか思ってたんですよ。痛すぎ。)、よく考えたら今の2つは舞踊だもんね、お芝居みてないわそういえば。
で、「熊谷陣屋」ですが、なにが良かったって、玉三郎丈の相模です!
主役の直実・吉右衛門丈が芝居をしている間はけっして出しゃばらず、ぐっと殺した演技、肚だけで持たせて、自分のセリフの順番になったら(つまり首実検のあと、義経の配慮で息子小太郎の切り首を抱えて嘆く場面)持って行かれました。連れて行かれたというべきか…。身体の傾き、声の調子の高低、ひとつひとつの所作がずんずん胸を打ってくるのです。気がついたら、涙が止まらなくなってました。まわりのお客さんもみんなぐすぐす泣いてます。
好みの問題ではありますが、播磨屋型(?)直実の真っ赤になって泣きながら無情を訴えるリアルな演技には、あまり心は揺さぶられなかったのですが。
今回は脇で仁左衛門が義経ですが、なんちうか、たたづまいと口跡で気品のある義経で、やっぱりカッコいい!仁左衛門の直実で見たかったッス。(ま、言ってみただけです)
筋書きのインタビューも、ほとんどの役者さんが「新しい歌舞伎座でお役をいただいて光栄」とか「心を込めて」とか、異口同音にそんなコメントなのに、玉三郎丈だけは「上演作品が多彩であることが必要とされる時代でしょう。古典を大事にしながらも、新しい歌舞伎座ではどのような出し物が可能なのか、どうお見せできるか、演出面も含め考えていきたいと思っています。」と!なんちうか次元が違っております。人間国宝になっても玉様は守りになんかまわりません。まだまだ挑戦する気なんだ!と感服した次第です。
舞台を見た印象は、「違和感がない」ということでしょうか。舞台自体のシステムはたぶん現代的な機器が導入されて裏側からは変わったことがあるのだと思うのですが、見える範囲のサイズが同じなので、演じる役者さんを見る限りにおいては、違ったなーという感じがあまりしないのでした。後ろの方にいくと、音響や照明などの全体的な印象は違っているのかも知れませんけれども…。素人の虫六にはよく分からないのでした。
「鶴寿千歳」はご祝儀曲ってことで、藤十郎丈が登場しただけでおめでたいのです。長寿は何にも勝るのであります。井戸口に向かってつぶやきたいこともあるけれど(苦笑)…「おめでたかった」ということだけを申しておきましょう。染五郎丈の春の君は麗しかったし、魁春丈の猫背は亡くなった成駒屋さんにそっくりだなぁと思いました。開場の一番初めの舞台に立つのは、当代重鎮俳優の御曹司たち、この歌舞伎座を背負って立つ世代です…と、お行儀のいい記者は書くでしょう。しかし、なんだか親の勢力図みたいのもかいまみえ、かつ、この人たちずらっと並んで誰かハッとするオーラがあるかっていえば、なんかもの足りないという。なにはともあれ錦絵のような華やかな晴れの舞台でした。
休憩時間に、トイレをチェック。
導線が一方通行になり、混雑しないようにオペレーションが工夫されています。売店は記念品を買おうというお客さん達で大混雑なので近づかないことにして、虫六の秘かな楽しみである生写真コーナーを求めて3階へ。つか、なぜ3階!?遠いんですけど。コーナーに着くやいなやブザーがなったので、あわてて2枚ほど購入して席へ戻りました。
次は「お祭り」。もうね、一昨年末の平成中村座の勘三郎復帰演目でしたから、あのときの「待っていたとはありがてぃ」が思い出されます。その演目を、三津五郎丈を中心に勘三郎ゆかりの役者で賑やかに踊りました。ホントに胸が詰まりました。
かんざぶろうぅ〜、カンバーック!!!!!!!(涙)
そして、中村屋の兄弟に手を引かれて、孫の七緒八君も登場。
会場中の視線を一気に浴びて、全然動じないなんて、やっぱり筋金入りの役者DNA。これが、役者さんたちの踊りに合わせて扇を上手に使って同じ仕草をするんですよ。イノセントな表情で。公演も始まってからもうずいぶん経っているので、一緒の舞台に上がっている間に振付を覚えちゃったのかな。すごいわー。
それにしても、こんな光景を目の前で見てしまうと、「やっぱりあの子は天才だ」とか「18代目が乗り移ってる」とか言いたくなりますね。少なくとも、七緒八君がひとかどの人気役者になった時には、今月のこの舞台の話が繰り返し語られることでしょう。
まわりの役者さん達も優しい表情でかまっていて、なんだか良い雰囲気でした。平成中村座のチームワークには未来を感じます。
でも、ずいぶんお兄ちゃんになった橋之助丈のところの御曹司達は、踊る様子をお父さんがなんだか怖い表情で見ていたようで、(あ〜、帰ったらダメ出しされるんだな、この子達…)なんて。七緒八君もダメ出し貰うくらい大きくなる日もくるんだね。その頃には歌舞伎界はどんな感じになっているのかな?
勘九郎丈、七之助丈も今はプレッシャーで大変かも知れないけれど、ファンはちゃんと支えるので、気負わずにゆっくり成長してください。
それから、最近巳之助君が上手くなっていると思うのでした。
それから、コレまで正直上手いと思ったことがなかったのですが、獅童丈が良い感じになってきたのはないでしょうか。この方、もしかして大器晩成タイプですか?
で、不肖虫六、「お祭り」をみたらなんだか終わった気になってしまい、カバンを持って帰りかけたのです。しかし、みなさん帰る様子もなく、がさごそお弁当なんか広げはじめたりして…ん?おかしいな?と思っていたら、「休憩時間35分」と。
(じぇ、じぇ、じぇ!もう1演目あったじゃん!)
慌ててポスターで確認したら、「一谷嫩軍記 熊谷陣屋」でした。アンテナすっかり下がってました(;´▽`A`` 。あちゃちゃ、もしかしてこれが1部のメインディッシュでしたね…( ̄◆ ̄;)
よく見たら、相模は玉様だよ、義経は仁左さまだよ!すまぬー。と、ここまでの脳内活動を何げにごまかして、お茶を買ってきた振りをして弁当を急いで食べ(だいたい前の休憩が短かったので、せっかくお弁当買ったのにいつ食べるの?とか思ってたんですよ。痛すぎ。)、よく考えたら今の2つは舞踊だもんね、お芝居みてないわそういえば。
で、「熊谷陣屋」ですが、なにが良かったって、玉三郎丈の相模です!
主役の直実・吉右衛門丈が芝居をしている間はけっして出しゃばらず、ぐっと殺した演技、肚だけで持たせて、自分のセリフの順番になったら(つまり首実検のあと、義経の配慮で息子小太郎の切り首を抱えて嘆く場面)持って行かれました。連れて行かれたというべきか…。身体の傾き、声の調子の高低、ひとつひとつの所作がずんずん胸を打ってくるのです。気がついたら、涙が止まらなくなってました。まわりのお客さんもみんなぐすぐす泣いてます。
好みの問題ではありますが、播磨屋型(?)直実の真っ赤になって泣きながら無情を訴えるリアルな演技には、あまり心は揺さぶられなかったのですが。
今回は脇で仁左衛門が義経ですが、なんちうか、たたづまいと口跡で気品のある義経で、やっぱりカッコいい!仁左衛門の直実で見たかったッス。(ま、言ってみただけです)
筋書きのインタビューも、ほとんどの役者さんが「新しい歌舞伎座でお役をいただいて光栄」とか「心を込めて」とか、異口同音にそんなコメントなのに、玉三郎丈だけは「上演作品が多彩であることが必要とされる時代でしょう。古典を大事にしながらも、新しい歌舞伎座ではどのような出し物が可能なのか、どうお見せできるか、演出面も含め考えていきたいと思っています。」と!なんちうか次元が違っております。人間国宝になっても玉様は守りになんかまわりません。まだまだ挑戦する気なんだ!と感服した次第です。
そんなわけで、虫六が5月6月と来れるかどうかは分かりませんが、この先もこけら落としは続くのでした。
歌舞伎座の裏側にあったお稲荷さんが地下のお土産街に行くエスカレータの入り口近くに移転されました。お客さんが拝むお宮になりました。
芝居の神さま、またいい芝居を見せてください。どうぞよろしくお願いします。
脇の路地からずっと引いて撮ってみましたが、なんだこのビル…。うへぇ。
で、5月はいつ行くの?
返信削除>ガスパママさん
削除どき。
いまのところ、5月6月は歌舞伎座こけら落とし公演にいく予定はなしで〜す。
琴平のお土産買ってきたよ。
凱陣は5月末までお預けですが、その前にどうっすか?
えへへ、さすがに未定ですか。
削除ぼんやりしてたんだけど、虫六ブログをGWにじっくり読んでるうちにムクムクと歌舞伎観に行きたーい!という気になり、あれこれ策を考えてひとり盛り上がっておりましたが、やっぱり三部制で一回二万円(一等席)はないかな~とか、いろいろ考え、昼夜制になるまで待つか、と少し鎮静化したところです。。猿之助の巡業も気になったりして、もうもんもんでしたが。しかし、歌舞伎座さん来年3月までも杮落しって、どこまで杮なんですかね。でも、寿命が延びるそうですね、杮落とし観ると。
うちも、いつぞやの山梨土産があるので、食べられるうちにお渡ししたいのよね。