人生半ばを過ぎますと、老いが向こうから大股でやってくるとか言いますが、気がつけば友達との話題は、体調不良と病院の話ばかり の今日この頃、…みなさまご健勝でお過ごしでいらっしゃいますか?
元気?良かったね。
虫六は最近、文字通り、露出アンダーな日々を過ごしております。
というのも、先日までの過酷労働の最中、急に視界に糸くずのような影がわさわさと舞うようになりまして、これが例の加齢性の飛蚊症か?とも思ったのですが、どうも突然だったので(も、も、もしや網膜剥離…)とぞっとしまして、とはいえ、寝る暇もないほど忙しかったので、医者にいくような余裕は微塵も無く、(仕事で失明させられる〜〜〜!)と恐怖感を抱きつつ我慢して、やっと昨日近所の眼科に行ってみたところ…。
まずは瞳孔をひらいて硝子体の精密検査をすると言われて診察室に入りましたら、先生が、「いやまてまて、虫六さん若い時よく見えていたでしょう。そういう人は閉塞隅角になりやすいんだけど、貴女の場合はだいぶ進んでいるようだから、このまま瞳孔開くと急性緑内障を発症しかねないよ。まずはレーザー手術で虹彩に穴をあけて予防処置してからでないと精密検査できないね…」とおっしゃる。で、まずはレーザー手術をすることになりました。
その準備として、虹彩を薄くしておく点眼薬というのをいただきまして、それを注しているんです。…が、なんだか暗いんですわ、世の中が。
虹彩を伸ばすっていうのが、つまり瞳孔を小さくするということだから、カメラでいえば露出を絞っているわけで、見えているものがなんだかアンダー気味なのですね。
で、トートツに気がついてしまったのですが、視力や聴力に個人差があるように、瞳孔の感度(?)によって私たちがみている照度感も個人差あるんだろうなということ。精神的な意味でなく、やや暗めに世の中を見ている人と、明るめに見えている人がいるといいますか、明るさに対する感度ってのも、それぞれ微妙に違うですよね、きっと。いや医者じゃないから正確なところは分かりませんが。
そんなこと考えて、不思議だなーと思ってしまいました。
(*ちなみに、写真はイメージ映像です。実際は、心持ち暗いかな?って感じです。)
来週から眼帯生活かー。
っていうか、飛蚊症はどうなるんだー?!網膜剥離は?
歌舞伎などのお芝居や邦楽、さらに大道芸、雑芸などなど、身体と視覚と聴覚が一体となった日本の伝統藝能が面白いなぁと、みちのくS市からウォッチングしております。 (近頃は体調不良のため夜更かし禁止令が出て、更新がままなりませんが、Twitterでは短めに黒い羽根伸ばし(観劇)ネタなども…)
2016年12月9日金曜日
2016年11月23日水曜日
中村勘九郎・七之助 錦秋特別公演2016
中村屋の今年の錦秋公演に行ってきました。
本日のご同伴は、シャーママさん。
○中村勘九郎・中村七之助 錦秋特別公演2016
11月21日(月) 昼の部12:00 夜の部16:00
東京エレクトロンホール宮城
「歌舞伎塾」
「汐汲」 中村七之助 長唄連中
「女伊達」中村勘九郎 長唄連中
楽しみにしている公演なのですが、だんだんチケット取りにくくなってきたなと思っていたのに、…当日券売ってました。そうか平日夜の部16:00開始じゃね、働いている人たちはとりあえず行けないっスね。虫六はたまたま定休日、シャーママさんは早退してやってきたのですよ。
それはそれとし。
「歌舞伎塾」は、楽屋を再現しつつ歌舞伎のいろはを説明しながら、役者が化粧(かお)や衣装をつけて行く過程をみせちゃうという趣向で、中村屋の和気あいあいとした雰囲気が伝わって楽しく親しみやすいコーナーでした。サンプルになったのは、立ち役がいてうさん、女形が鶴松君。兄弟の解説付きで、化粧や衣装の意味や、黒御簾の効果音のことやらをクイズ交じりで紹介。いつもの質問コーナーも挿入。なんだかすごくリラックスしていましたな。
前回(1年半前の新緑公演)の時に、楽天の試合を見に行って勘九郎さんがファンになった、特にウィリー・モー・ペーニャ選手のファンになったと言ってましたが、それ本当だったみたいで、すでに戦力外宣告で球団を離れているのに、質問者全員に「ペーニャ好きですか?」と逆クエッション。自らは、ペーニャタオルを頭に被って(←買ってたよ!そして、わざわざ仙台まで持ってきましたよ!笑)、ヒュー・ドロドロで幽霊みたいに登場して、鶴松君に(馬鹿だね—)ってつぶやかれている…この方は中村屋の親方…
( ̄◆ ̄;)
笑い声絶えずに1時間たっぷり。
しかも、兄弟は後半の着替えのために、あとは國久さんと小三郎さんに任せたぞ!って、いなくなっちゃいました。
小三郎さんが天然ボケで、小山三さんのポジションになってました。( ´艸`)
任された國久さんは良い仕事してました!笑
今回の錦秋公演で、他の会場では嵐のファンが来ていて、質問コーナーで松潤のことを聞いてきたりして顰蹙買っているという噂が流れておりましたが、仙台公演ではそういう輩もなく、「踊りの他に楽器とかやってますか?」とか、「舞台でした最大の失敗は?」とか聞かれておりました。…鶴松君が、「阿古屋」を目指して三曲(三味線・琴・胡弓)をお稽古しているというのが心のメモ帳に残りました。さすがだなー。いつか鶴松君の阿古屋を拝見したいものです!
後半は二人の踊り2題。歌舞伎塾がたっぷりだったので、あっという間に終わっちゃった感じ。踊りだったせいもあるかな?虫六は長唄2つ聞けたので良かったけどね。
勘九郎丈の『女伊達』は、『夏祭浪花鑑』のお辰姐さんを思い出しました!
お二人の錦秋公演は12年前に始まったそうですが、虫六が通い始めた頃は他流試合っていうか、親元をはなれていろいろトライアルしているっていう感じでしたが、今回の公演を見た印象は、もう“彼らの中村屋”になってるんだなという印象でした。ファンとしては、リラックスしている二人も面白いけれど、地方公演だからこそ挑戦している姿もみたいものですね。
何はともあれ、チーム中村屋がんばれ!
本日のご同伴は、シャーママさん。
○中村勘九郎・中村七之助 錦秋特別公演2016
11月21日(月) 昼の部12:00 夜の部16:00
東京エレクトロンホール宮城
「歌舞伎塾」
「汐汲」 中村七之助 長唄連中
「女伊達」中村勘九郎 長唄連中
楽しみにしている公演なのですが、だんだんチケット取りにくくなってきたなと思っていたのに、…当日券売ってました。そうか平日夜の部16:00開始じゃね、働いている人たちはとりあえず行けないっスね。虫六はたまたま定休日、シャーママさんは早退してやってきたのですよ。
それはそれとし。
「歌舞伎塾」は、楽屋を再現しつつ歌舞伎のいろはを説明しながら、役者が化粧(かお)や衣装をつけて行く過程をみせちゃうという趣向で、中村屋の和気あいあいとした雰囲気が伝わって楽しく親しみやすいコーナーでした。サンプルになったのは、立ち役がいてうさん、女形が鶴松君。兄弟の解説付きで、化粧や衣装の意味や、黒御簾の効果音のことやらをクイズ交じりで紹介。いつもの質問コーナーも挿入。なんだかすごくリラックスしていましたな。
前回(1年半前の新緑公演)の時に、楽天の試合を見に行って勘九郎さんがファンになった、特にウィリー・モー・ペーニャ選手のファンになったと言ってましたが、それ本当だったみたいで、すでに戦力外宣告で球団を離れているのに、質問者全員に「ペーニャ好きですか?」と逆クエッション。自らは、ペーニャタオルを頭に被って(←買ってたよ!そして、わざわざ仙台まで持ってきましたよ!笑)、ヒュー・ドロドロで幽霊みたいに登場して、鶴松君に(馬鹿だね—)ってつぶやかれている…この方は中村屋の親方…
( ̄◆ ̄;)
笑い声絶えずに1時間たっぷり。
しかも、兄弟は後半の着替えのために、あとは國久さんと小三郎さんに任せたぞ!って、いなくなっちゃいました。
小三郎さんが天然ボケで、小山三さんのポジションになってました。( ´艸`)
任された國久さんは良い仕事してました!笑
今回の錦秋公演で、他の会場では嵐のファンが来ていて、質問コーナーで松潤のことを聞いてきたりして顰蹙買っているという噂が流れておりましたが、仙台公演ではそういう輩もなく、「踊りの他に楽器とかやってますか?」とか、「舞台でした最大の失敗は?」とか聞かれておりました。…鶴松君が、「阿古屋」を目指して三曲(三味線・琴・胡弓)をお稽古しているというのが心のメモ帳に残りました。さすがだなー。いつか鶴松君の阿古屋を拝見したいものです!
後半は二人の踊り2題。歌舞伎塾がたっぷりだったので、あっという間に終わっちゃった感じ。踊りだったせいもあるかな?虫六は長唄2つ聞けたので良かったけどね。
勘九郎丈の『女伊達』は、『夏祭浪花鑑』のお辰姐さんを思い出しました!
お二人の錦秋公演は12年前に始まったそうですが、虫六が通い始めた頃は他流試合っていうか、親元をはなれていろいろトライアルしているっていう感じでしたが、今回の公演を見た印象は、もう“彼らの中村屋”になってるんだなという印象でした。ファンとしては、リラックスしている二人も面白いけれど、地方公演だからこそ挑戦している姿もみたいものですね。
何はともあれ、チーム中村屋がんばれ!
2016年11月3日木曜日
長唄・松の会2016
10月29日(土)は、松永圭江先生が主宰する長唄「松の会」のお浚い会でありました。我が忠美恵一門も恒例の賛助参加。今年はお名取のOさんが体調不良で参加出来ず、番組に掛かるのは3番だけで寂しいのでありました。
今年の会場は、一昨年と同じ赤坂の料亭「金龍」。この建物風情があって好きです。ずっと守っていただきたいなぁ。
1年ぶりのこんにちは。思わず去年の松島「牡蠣」爆食ツアーがフラッシュバック。みなさんお元気そうで何よりでございます。
本当は、早めに終わって皆さんの演奏をゆっくり拝聴したかったのですが、今年の出番は後ろから3番目…。虫六の出し物は『春の調』であります。
去年あんなに練習不足を後悔したのに、なんだかんだで余裕なく結局ぎりぎりまで楽屋でお浚いしているような始末で…(;´д`)トホホ…。
『春の調』は、箏の手事風の合の手が入るのが特長の長閑やかな曲で、「ゆったり」と弾けというのが先生からのご注意。弾けるようになるとついテンポが上がってしまうのですよね。例により、無我夢中で演奏終了…ホワイトアウトこそなかったけれど、う〜む。
本当は、圭江先生に気持ち良〜く唄っていただけるよう余裕を持って弾けるようになりたいのでありますが、まだまだ自分の演奏でいっぱいいっぱいの虫六に、果たしてそんな日がくるのでありましょうか。
演奏のあと、翌日早朝から仕事があるんで本日中に帰仙せねばならず、急いで着物を脱いで、お三味線を片して帰り支度…皆さんの演奏が聴けず、残念無念。こういう時間の使い方は良くないよなー。
今年の会のスペシャルゲストは、寄席でも活躍している粋曲の柳家小菊師匠。
虫六は落語も好きだけど、それ以上に色物が好き。とても楽しみにしていたので、これだけは〜!と滑り込みセーフ!椅子席の根っこに座り込んで、楽しく聴かせていただきました。
端唄、俗曲、都々逸…など、次から次に飛び出す唄と、さらさら冗談交じりに繰り出すお話に引き込まれて、さきほどまでの緊張もどこへやら。ひえ〜、どんだけネタが引き出しに入っているのかなー。最初は新内のお師匠さんについたという小菊師匠、粋が着物着て歩いているよ。浅草演芸ホールが鼠対策に猫を飼った話や「両国風景」の言葉つなぎの早口には舌を巻きました。そして、さのさを歌えば、客席からは良い調子の手拍子と掛け声が…あらら、なんて気持ちのいい。自然に芸の息が合うって良い気分です。小菊師匠も「長唄の会なんてのに呼ばれて、はじめはやりにくいのかなーと思っていたけれど、お世辞ぬきでいいお客さんでした」と。今度は寄席に小菊師匠を聴きに行かなくちゃ。
会のあとは、美味しいお料理をいただいて(お楽しみ)、姉弟子Cさん(←お医者さん。前日急患でバタバタだったらしい)と2人で新幹線でとんぼ返りしましたー。
「私たち、忙しすぎるよねー」「ですねー」
今年の会場は、一昨年と同じ赤坂の料亭「金龍」。この建物風情があって好きです。ずっと守っていただきたいなぁ。
1年ぶりのこんにちは。思わず去年の松島「牡蠣」爆食ツアーがフラッシュバック。みなさんお元気そうで何よりでございます。
本当は、早めに終わって皆さんの演奏をゆっくり拝聴したかったのですが、今年の出番は後ろから3番目…。虫六の出し物は『春の調』であります。
去年あんなに練習不足を後悔したのに、なんだかんだで余裕なく結局ぎりぎりまで楽屋でお浚いしているような始末で…(;´д`)トホホ…。
『春の調』は、箏の手事風の合の手が入るのが特長の長閑やかな曲で、「ゆったり」と弾けというのが先生からのご注意。弾けるようになるとついテンポが上がってしまうのですよね。例により、無我夢中で演奏終了…ホワイトアウトこそなかったけれど、う〜む。
本当は、圭江先生に気持ち良〜く唄っていただけるよう余裕を持って弾けるようになりたいのでありますが、まだまだ自分の演奏でいっぱいいっぱいの虫六に、果たしてそんな日がくるのでありましょうか。
演奏のあと、翌日早朝から仕事があるんで本日中に帰仙せねばならず、急いで着物を脱いで、お三味線を片して帰り支度…皆さんの演奏が聴けず、残念無念。こういう時間の使い方は良くないよなー。
今年の会のスペシャルゲストは、寄席でも活躍している粋曲の柳家小菊師匠。
虫六は落語も好きだけど、それ以上に色物が好き。とても楽しみにしていたので、これだけは〜!と滑り込みセーフ!椅子席の根っこに座り込んで、楽しく聴かせていただきました。
端唄、俗曲、都々逸…など、次から次に飛び出す唄と、さらさら冗談交じりに繰り出すお話に引き込まれて、さきほどまでの緊張もどこへやら。ひえ〜、どんだけネタが引き出しに入っているのかなー。最初は新内のお師匠さんについたという小菊師匠、粋が着物着て歩いているよ。浅草演芸ホールが鼠対策に猫を飼った話や「両国風景」の言葉つなぎの早口には舌を巻きました。そして、さのさを歌えば、客席からは良い調子の手拍子と掛け声が…あらら、なんて気持ちのいい。自然に芸の息が合うって良い気分です。小菊師匠も「長唄の会なんてのに呼ばれて、はじめはやりにくいのかなーと思っていたけれど、お世辞ぬきでいいお客さんでした」と。今度は寄席に小菊師匠を聴きに行かなくちゃ。
会のあとは、美味しいお料理をいただいて(お楽しみ)、姉弟子Cさん(←お医者さん。前日急患でバタバタだったらしい)と2人で新幹線でとんぼ返りしましたー。
「私たち、忙しすぎるよねー」「ですねー」
2016年11月2日水曜日
松竹大歌舞伎秋季巡業_猿が化け猫でへびが早替わり…いや、へびが猫…
久しぶりで、秋田県鹿角郡小坂町の「康楽館」にやってきました。
全国巡業中の、猿之助丈の『獨道中五十三駅』を見るため芝居小屋見物ご指南役のN姐さんとKコトラさんとご一緒させていただきましたのだ。
小坂町の康楽館は、小坂鉱山の繁栄とともに明治43年に建てられた洋風意匠のハイカラな芝居小屋で、国指定重要文化財です。普段は常打ち芝居として大衆演劇の公演をしながら施設見学も受け入れています。(康楽館のご紹介はまた別立てで)
急に決まった小坂訪問だったので、お席はあまり贅沢言えませんが、2階の花道上あたり。地元のお婆ちゃん達が楽しそうに占拠していて、椅子じゃないので膝が痛くて足が曲げられない人もいて座布団2枚分に足を伸ばしたりして自由な姿勢でみてました。年をとるとお座りも出来なくなるんだな—…てか、このあたりは無法地帯か?
四世鶴屋南北 作 奈河彰輔 脚本・演出 石川耕士 補綴・演出 市川猿翁 演出
三代猿之助四十八撰の内
獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)
京三條大橋より江戸日本橋まで
浄瑠璃 お半長吉「写書東驛路」(うつしがきあずまのうまやじ)
市川猿之助・坂東巳之助 宙乗りならびに十三役早替り相勤め申し候
おさん実は猫の怪/由留木調之助
市川 猿之助(Aプロ)坂東 巳之助(Bプロ)
丹波与八郎/丁稚長吉/信濃屋娘お半/芸者雪野/長吉許嫁お関/弁天小僧菊之助
/土手の道哲/長右衛門女房お絹/鳶頭三吉/雷/船頭浪七/江戸兵衛/女房お六
市川 猿之助(Bプロ)坂東 巳之助(Aプロ)
重の井姫 市川 笑也
半次郎女房お袖 市川 笑三郎
丹波与惚兵衛/赤星十三郎 市川 寿猿
やらずのお萩 市川 春猿
赤堀水右衛門 市川 猿弥
石井半次郎 市川 門之助
ほか
そして、幕間に場転。上からみていると、すっぽんを仕込んでいる手際の良さに、期待感高まります。それにしてもこの花道の幅、広くないスか?脇が余ってますけど。
そして、いよいよ大詰め。この幕は「お半・長吉『写書東驛路(うつしがきあずまのうまやじ)』という常磐津浄瑠璃を舞踊で仕立てた構成になっており、巳之助が13役早替わりをつとめます。みっくん、大奮闘!!確かに完璧とは言わないけれども、毎日勝手の違う小屋で初めての大役。汗だくなのも、桟敷の向こうからバタバタという駆け足の音がするのもご愛敬です。むしろ舞台裏を想像して“じん”ときましたね。踊りで鍛えた体躯はしなやかで、土手の道哲なんかは水を獲た魚かな。いつもは立役が見慣れたお役ですが、粋な芸者姿とかすごく似合ってました。女形もいけるんでないですか?…この公演中に痩せたのかな?
『ワンピース』のボン・クレーの振り切った演技でも仰天しましたが、見るたびに大きくなっている役者をみるのは気持ち良い。彼の背中を押した猿之助の器量にも脱帽です。
そして、翌日はダブルキャストの役代わりで、化け猫宙乗りが巳之助、早替わりが猿之助でした。
それぞれ個性が違うので、ほんと面白く見れました。巳之助の老婆は猿之助より声が太いので、けっこう凄みがありましたし、猫を操るくだりなども所作を変えていて、自分なりの工夫をしているのがわかりました。
そして、猿之助の早替わり。三代目の舞台は見ていない虫六に言う資格はないかもですが、もう早替わりさせたら当代随一ですね。衣装が着崩れることもなく涼しい顔で登場します。なによりも猿之助は姿が良いね。別な役で出てくる度に、舞台の空気が変わるのも凄い。早替わりもお見事ならば、踊りの所作も面白かった—!
で、もう定式幕が締まる前から客席は歓喜のカーテンコール乗りの手拍子だったのですが、これが強情なくらい幕は開かず、すぐに地明かりがつきまして、客だしのアナウンスがしつこくしつこくしつこーく流れ…猿之助だったら幕を開けてくれるだろうと思っていたお客さんは気を削がれましたな。せっかく満たされて終わったのに…。小屋が悪いのか、舞台監督の気が利かないのか、どこに原因があるかは分かりませんが、勘三郎の襲名の時は、同じ康楽館で3回も幕が開いたのに…と、諦めの悪い虫六でございます。
******
ところで、虫六はなんと千穐楽の仙台公演もこの舞台を昼夜見てしまったのさ。(はいはい全4公演です。お財布破綻しています。真っ黒くろすけですよぅ。)
もとより地元開催のこちらについては、姉弟子さんからのお誘いもあり夜の部チケットをゲットしておりまして、康楽館が後づけでした。
康楽館は古い芝居小屋で、お客さんは小屋に入った瞬間から暖まってるようなポテンシャルの高い磁場であるわけですけれど、猿之助のすごいのは(前回の襲名巡業_2013年4月、7月_でも感じたことですが)、地方の文化センターみたいな会場でも全然手を抜かないってことです。
そういう意味で、東京エレクトロンホール宮城での公演はなんていうか夢のようでした。
かつて、このホールで宙乗りや13役早替わりなんて公演を誰が見たでしょう。『義経千本桜』の「四の切」で大喜びしていましたよ、少なくてもおいらは。海外公演に工夫を凝らした演出を採算度外視でかける役者は数多いるでしょうけれど、地方公演に宙乗りの装置を持って来ましたよ、猿之助さんは。常識破りもいいところです。
早替わりするにも毎日舞台の寸法や構造が違う分けですから、同じ小屋で1ヶ月かけるのとは分けが違いますよね。実際、康楽館ではすっぽんを使っていた“駕籠で登場するお半”の場面、仙台では舞台上の書き割りを使っていました。そういうこと、確認だけでやれてしまう歌舞伎役者って凄い。やろうと思った猿之助も凄いけれど、よくぞ巳之助ついて来たな!と思いました。
仙台公演は虫六けっこう前の方の席で、巡業千穐楽の夜の部は最前列でした。
お隣で見ていたご夫婦ぽい男女が「巳之助っていまいち華がないよね」とか言いながら(あくまでも個人の感想です)見ておいででしたが、長七とお半が傘と茣蓙(ござ)で身を隠しつつすれ違いざまに入れ替わる「昆布巻き」と言われる早替わりを見せたとき、夫婦で「おそーい」ってハモってた。最前列で。確かにちょっと間が狂ったんだけども、(猿之助の客、怖ええぇええ)と思いました。
(もちろん、昼の部の猿之助の方は瞬きする間に変わっていました…)
とはいえ、この度の巡業は巳之助を十二分に鍛えたと想像します。今後の活躍に大いに期待だな。原石を磨いて大輪の華を咲かせてください。
そして、次なる猿之助の羅針盤には何が示されているのでしょうか。気になる気になる。
全国巡業中の、猿之助丈の『獨道中五十三駅』を見るため芝居小屋見物ご指南役のN姐さんとKコトラさんとご一緒させていただきましたのだ。
小坂町の康楽館は、小坂鉱山の繁栄とともに明治43年に建てられた洋風意匠のハイカラな芝居小屋で、国指定重要文化財です。普段は常打ち芝居として大衆演劇の公演をしながら施設見学も受け入れています。(康楽館のご紹介はまた別立てで)
大歌舞伎秋季巡業、猿之助一座の出し物は一昨年秋に新橋演舞場で4代目猿之助が初挑戦した『獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)』。宙乗りと早替り、見せ場が2つありますが、それぞれを猿之助と板東巳之助のダブルキャストで演じます。スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』で、ゾロ役、ボン・クレー役、スクワード役でハンパない存在感を印象付けた巳之助に、4代目が白羽の矢を立てたということなのでしょう。これは当然どっちも見たい!どっちも見なくちゃ面白さの本質は体感できません!
いずれにしても秋田なのでお泊まり観劇ツアーとなりました。(泊まったお宿はなんと!寝台列車ブルートレイン「あけぼの」号の客車です。これも別立てレポートをまて!)
四世鶴屋南北 作 奈河彰輔 脚本・演出 石川耕士 補綴・演出 市川猿翁 演出
三代猿之助四十八撰の内
獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)
京三條大橋より江戸日本橋まで
浄瑠璃 お半長吉「写書東驛路」(うつしがきあずまのうまやじ)
市川猿之助・坂東巳之助 宙乗りならびに十三役早替り相勤め申し候
おさん実は猫の怪/由留木調之助
市川 猿之助(Aプロ)坂東 巳之助(Bプロ)
丹波与八郎/丁稚長吉/信濃屋娘お半/芸者雪野/長吉許嫁お関/弁天小僧菊之助
/土手の道哲/長右衛門女房お絹/鳶頭三吉/雷/船頭浪七/江戸兵衛/女房お六
市川 猿之助(Bプロ)坂東 巳之助(Aプロ)
重の井姫 市川 笑也
半次郎女房お袖 市川 笑三郎
丹波与惚兵衛/赤星十三郎 市川 寿猿
やらずのお萩 市川 春猿
赤堀水右衛門 市川 猿弥
石井半次郎 市川 門之助
ほか
『東海道中膝栗毛』のバリエーションなので、狂言廻しは弥次さん喜多さんです。弥次郎兵衛は猿三郎さん、喜多八は喜猿さん。普段はセリフの少ない脇の役者さんですが達者ですねー。肝心な場面に何度もとぼけた調子で登場して大いに沸かせていただきました!いいコンビネーションでした。澤瀉屋は部屋子さんの層も厚いんだな。
狂言半ばで、やらずのお萩役の春猿さんと与惚兵衛役の寿猿さんの口上が入ります。
ここまでにお姫様が着ていた十二単衣の打掛と、盗まれたお家の重宝・九重の印が登場して人々の間を巡り、敵討ちも加わって、基本的な筋立てが揃いました。そういうことを粋な姐さん姿の春猿さんが説明、死んだはずの与惚兵衛さん(寿猿)が生き返って、セリフど忘れしたりして“まったり”ウケをとります。寿猿さん、なんと85才で地方巡業!拝めるだけで有り難いなぁと手を合わせたくなりました。
が、それはまあ置いといて、芝居としての見どころは「十二単衣を着た化け猫」と「13役19回の早替わり」。こういうのを「みどり狂言」というらしいです。よりどりみどりの「みどり」だって。
はじめに見た夜の部は、猿之助が化け猫で宙乗り、巳之助が13役早替わりであります。
第2幕は元の顔が分からないくらいの老け作りで猿之助登場。魚油を舐めたり、猫を踊らせたり… 化け猫の正体を顕すと在所の娘・おくら(段一郎)を操って食べちゃいました。段一郎の操られ方がぴったり息があっていて見事でした。
康楽館には掛け筋はないけれど、舞台の下手から上手に宙乗りの装置が仕込まれていて、宙乗り。やんやー。
そして、いよいよ大詰め。この幕は「お半・長吉『写書東驛路(うつしがきあずまのうまやじ)』という常磐津浄瑠璃を舞踊で仕立てた構成になっており、巳之助が13役早替わりをつとめます。みっくん、大奮闘!!確かに完璧とは言わないけれども、毎日勝手の違う小屋で初めての大役。汗だくなのも、桟敷の向こうからバタバタという駆け足の音がするのもご愛敬です。むしろ舞台裏を想像して“じん”ときましたね。踊りで鍛えた体躯はしなやかで、土手の道哲なんかは水を獲た魚かな。いつもは立役が見慣れたお役ですが、粋な芸者姿とかすごく似合ってました。女形もいけるんでないですか?…この公演中に痩せたのかな?
『ワンピース』のボン・クレーの振り切った演技でも仰天しましたが、見るたびに大きくなっている役者をみるのは気持ち良い。彼の背中を押した猿之助の器量にも脱帽です。
そして、翌日はダブルキャストの役代わりで、化け猫宙乗りが巳之助、早替わりが猿之助でした。
それぞれ個性が違うので、ほんと面白く見れました。巳之助の老婆は猿之助より声が太いので、けっこう凄みがありましたし、猫を操るくだりなども所作を変えていて、自分なりの工夫をしているのがわかりました。
そして、猿之助の早替わり。三代目の舞台は見ていない虫六に言う資格はないかもですが、もう早替わりさせたら当代随一ですね。衣装が着崩れることもなく涼しい顔で登場します。なによりも猿之助は姿が良いね。別な役で出てくる度に、舞台の空気が変わるのも凄い。早替わりもお見事ならば、踊りの所作も面白かった—!
で、もう定式幕が締まる前から客席は歓喜のカーテンコール乗りの手拍子だったのですが、これが強情なくらい幕は開かず、すぐに地明かりがつきまして、客だしのアナウンスがしつこくしつこくしつこーく流れ…猿之助だったら幕を開けてくれるだろうと思っていたお客さんは気を削がれましたな。せっかく満たされて終わったのに…。小屋が悪いのか、舞台監督の気が利かないのか、どこに原因があるかは分かりませんが、勘三郎の襲名の時は、同じ康楽館で3回も幕が開いたのに…と、諦めの悪い虫六でございます。
******
ところで、虫六はなんと千穐楽の仙台公演もこの舞台を昼夜見てしまったのさ。(はいはい全4公演です。お財布破綻しています。真っ黒くろすけですよぅ。)
もとより地元開催のこちらについては、姉弟子さんからのお誘いもあり夜の部チケットをゲットしておりまして、康楽館が後づけでした。
康楽館は古い芝居小屋で、お客さんは小屋に入った瞬間から暖まってるようなポテンシャルの高い磁場であるわけですけれど、猿之助のすごいのは(前回の襲名巡業_2013年4月、7月_でも感じたことですが)、地方の文化センターみたいな会場でも全然手を抜かないってことです。
そういう意味で、東京エレクトロンホール宮城での公演はなんていうか夢のようでした。
かつて、このホールで宙乗りや13役早替わりなんて公演を誰が見たでしょう。『義経千本桜』の「四の切」で大喜びしていましたよ、少なくてもおいらは。海外公演に工夫を凝らした演出を採算度外視でかける役者は数多いるでしょうけれど、地方公演に宙乗りの装置を持って来ましたよ、猿之助さんは。常識破りもいいところです。
早替わりするにも毎日舞台の寸法や構造が違う分けですから、同じ小屋で1ヶ月かけるのとは分けが違いますよね。実際、康楽館ではすっぽんを使っていた“駕籠で登場するお半”の場面、仙台では舞台上の書き割りを使っていました。そういうこと、確認だけでやれてしまう歌舞伎役者って凄い。やろうと思った猿之助も凄いけれど、よくぞ巳之助ついて来たな!と思いました。
仙台公演は虫六けっこう前の方の席で、巡業千穐楽の夜の部は最前列でした。
お隣で見ていたご夫婦ぽい男女が「巳之助っていまいち華がないよね」とか言いながら(あくまでも個人の感想です)見ておいででしたが、長七とお半が傘と茣蓙(ござ)で身を隠しつつすれ違いざまに入れ替わる「昆布巻き」と言われる早替わりを見せたとき、夫婦で「おそーい」ってハモってた。最前列で。確かにちょっと間が狂ったんだけども、(猿之助の客、怖ええぇええ)と思いました。
(もちろん、昼の部の猿之助の方は瞬きする間に変わっていました…)
とはいえ、この度の巡業は巳之助を十二分に鍛えたと想像します。今後の活躍に大いに期待だな。原石を磨いて大輪の華を咲かせてください。
そして、次なる猿之助の羅針盤には何が示されているのでしょうか。気になる気になる。
2016年10月11日火曜日
文楽平成28年地方公演_「妹背山婦女庭訓」「近頃河原の達引」
毎年恒例の文楽地方公演がやってきました。
今年は公演日が月曜日だったので、個人的には休みをとらずして昼夜公演を遠慮なく拝見できて嬉し。
はいはい、入り口ではいつものお人形さんがお出迎え。みなさん、ごいっしょに写真を撮ろうと順番待ちでしたが、自分は入らなくていいのよ〜と脇からカメラを構えらたら、こちらに視線をくださいました。ありがとう蓑紫郎さん。若手がんばれ!
というわけで、今年の演目は …
【昼の部】
『妹背山婦女庭訓』
杉酒屋の段
豊竹 呂勢大夫
鶴澤 清介
道行恋苧環
お三輪 豊竹 呂勢大夫
求馬 竹本 文字久太夫
橘姫 豊竹 芳穂太夫
鶴澤 清治
鶴澤 清志郞
鶴澤 寛太郎
鶴澤 清公
姫戻りの段
豊竹 芳穂太夫
竹澤 團吾
金殿の段
豊竹 英太夫
竹澤 團七
(人形)
橘姫 吉田 勘彌
求馬 実は 藤原淡海 豊松 清十郞
お三輪 桐竹 勘十郎
ほか
【夜の部】
「近頃河原の達引」
四条河原の段
竹本 文字久太夫
鶴澤 清志郞
(人形)
横淵官左衛門 吉田 幸助
仲買勘蔵 吉田 文哉
井筒屋伝兵衛 豊松 清十郞
廻しの久八 吉田 一輔
堀川猿廻しの段
竹本 津駒太夫
鶴澤 藤蔵
ツレ 鶴澤 寛太郎
(人形)
稽古娘おつる 桐竹 勘次郎
与次郎の母 吉田 蓑一郎
猿廻し与次郎 桐竹 勘十郎
娘おしゅん 吉田 勘彌
井筒屋伝兵衛 豊松 清十郞
ほか
『妹背山婦女庭訓』は、たしか去年の国立劇場9月の演目で掛かっていたと記憶していて、見たくても見られなかったので、去年から楽しみにしていました。でも、通しではなく「杉酒屋の段」から「金殿の段」まで…。地方公演なのでやむなしかも知れませんですけども。
でも、初っぱなから呂勢大夫さんと清介師匠の「杉酒屋」ですよー。上がります。清治師匠率いる「道行恋の苧環」は、緊張感ある4挺三味線、あり得ないくらい揃ってたな、格好良かった。清治師匠のご出演は最近こういう合奏しか聞けてないような気がしますが、それでも地方まわりにも必ず来てくださって、本当に嬉しい。これだから昼の部外せないんですよね。太夫も、呂勢・文字久・芳穂と若手の実力派が勢揃い。それぞれ個性が違っていて面白いですね。芳穂太夫の美声が冴えていました。大注目です。
面白かったのは『近頃河原の達引』。猿まわしが主人公の物語りなので、ずっと気になってたのですが、やっと拝見することができました。
目の見えない母親をいたわりながら、猿まわしで暮らしをたてている与次郎。昔の芸人の暮らしぶりが垣間見えて興味深かったけれど、本当に貧乏だったなー(涙)。
仕事から帰って、梅干し一つで残してきたおむすびをササッと平らげてお腹を満たしていたり、廓勤めから戻って来た妹(おしゅん)のために自分の来ていた着物を掛けて床を作ってやって、自分は寒そうに煎餅布団にくるまって…、与次郎さんどこまでもいい人だ(涙)。
投げ銭を数える場面では、砂利やゴミなんかもいっしょに袋に入っているのをゴザに広げて、お金だけ拾って数えて、ゴミはほかしてた。猿は、家の中に飼育檻があって、壁の下の方に猿用の入口をこしらえてました。中で仔猿が待ってたよ。へぇえ、細かなところまで様子が伝えられるものですね。
恋人の伝兵衛がトラブルで人を殺めてしまったというので、おしゅんを道連れに心中でもしかねないと、はらはら心配。「ついて行かない」と約束させて退き状を書かせるけれど、哀しいかな与次郎は字が読めないし、母は目が見えない。おしゅんの気持ちは「伝兵衛と死ぬ覚悟」と決まっていて、書いた手紙は母兄への遺言状。案の定伝兵衛がやってきて二人のやり取りを聞いていた母兄はおしゅんの気持ちを察して、二人が一緒に出て行くことを許し、はなむけの猿まわしを見せて見送る。
悪い人いないけど、切ない話。
お名前でませんが、お猿の芸をさせる人形遣いさん、いい仕事してました。
で、分かってしまった。これは三味線弾きに聞かせどころ満載の名作だったのだ!
最初に、盲目のお母さんとお稽古にきているお嬢ちゃんが『鳥辺山』(!←心中はこの時点で暗示されてました)を弾く場面も、陰三味線も含め、よく人形の振りに合うもんだと感心しましたが、最後にたっぷり用意されていた三味線のみの聞かせどころ…。堪能しました。すごいわ、藤蔵師匠。汗ぐっしょりの大熱演、段の途中で糸を張り替えるの2回も見てしまったよ〜。堀川猿廻しの段、凄い!
そういえば、昼の部でも夜の部でも、開場のときに藤蔵師匠がロビーに姿を現してお客さんの様子を見ていました。こんな演奏の序章だったとは…お疲れさまでした。
それにしても、今回の地方巡業はお三味線方はいいとして、太夫方も人形方も主要な皆さんがあまりご出演になってないのが気になりました。柱を欠いているという印象で、その理由は分かりませんが、手元に一昨年のパンフレットがすぐ出て来たので比較して見ましたら…。
これは平成26年の地方公演の出演者。
で、これが今年(平成28年)。
ややや、どうしたことだ…。
(こんな小姑みたいなことはしたくないんだけども、この力の削ぎ方は気になりませんか…)
先日、医学生理学賞に大隅良典・東京工業大栄誉教授が選ばれた時に、某理系の名誉教授の方々が3人ばかり立ち話をしているのに居合わせて、「ノーベル賞なんか2020年以降は全くとれなくなるから。いまの文科省のもとでは…」と言う話を聞いて、説得力あるなーと思ったのですが、それを思い出してしまいました。
今年は公演日が月曜日だったので、個人的には休みをとらずして昼夜公演を遠慮なく拝見できて嬉し。
はいはい、入り口ではいつものお人形さんがお出迎え。みなさん、ごいっしょに写真を撮ろうと順番待ちでしたが、自分は入らなくていいのよ〜と脇からカメラを構えらたら、こちらに視線をくださいました。ありがとう蓑紫郎さん。若手がんばれ!
というわけで、今年の演目は …
【昼の部】
『妹背山婦女庭訓』
杉酒屋の段
豊竹 呂勢大夫
鶴澤 清介
道行恋苧環
お三輪 豊竹 呂勢大夫
求馬 竹本 文字久太夫
橘姫 豊竹 芳穂太夫
鶴澤 清治
鶴澤 清志郞
鶴澤 寛太郎
鶴澤 清公
姫戻りの段
豊竹 芳穂太夫
竹澤 團吾
金殿の段
豊竹 英太夫
竹澤 團七
(人形)
橘姫 吉田 勘彌
求馬 実は 藤原淡海 豊松 清十郞
お三輪 桐竹 勘十郎
ほか
【夜の部】
「近頃河原の達引」
四条河原の段
竹本 文字久太夫
鶴澤 清志郞
(人形)
横淵官左衛門 吉田 幸助
仲買勘蔵 吉田 文哉
井筒屋伝兵衛 豊松 清十郞
廻しの久八 吉田 一輔
堀川猿廻しの段
竹本 津駒太夫
鶴澤 藤蔵
ツレ 鶴澤 寛太郎
(人形)
稽古娘おつる 桐竹 勘次郎
与次郎の母 吉田 蓑一郎
猿廻し与次郎 桐竹 勘十郎
娘おしゅん 吉田 勘彌
井筒屋伝兵衛 豊松 清十郞
ほか
『妹背山婦女庭訓』は、たしか去年の国立劇場9月の演目で掛かっていたと記憶していて、見たくても見られなかったので、去年から楽しみにしていました。でも、通しではなく「杉酒屋の段」から「金殿の段」まで…。地方公演なのでやむなしかも知れませんですけども。
でも、初っぱなから呂勢大夫さんと清介師匠の「杉酒屋」ですよー。上がります。清治師匠率いる「道行恋の苧環」は、緊張感ある4挺三味線、あり得ないくらい揃ってたな、格好良かった。清治師匠のご出演は最近こういう合奏しか聞けてないような気がしますが、それでも地方まわりにも必ず来てくださって、本当に嬉しい。これだから昼の部外せないんですよね。太夫も、呂勢・文字久・芳穂と若手の実力派が勢揃い。それぞれ個性が違っていて面白いですね。芳穂太夫の美声が冴えていました。大注目です。
面白かったのは『近頃河原の達引』。猿まわしが主人公の物語りなので、ずっと気になってたのですが、やっと拝見することができました。
目の見えない母親をいたわりながら、猿まわしで暮らしをたてている与次郎。昔の芸人の暮らしぶりが垣間見えて興味深かったけれど、本当に貧乏だったなー(涙)。
仕事から帰って、梅干し一つで残してきたおむすびをササッと平らげてお腹を満たしていたり、廓勤めから戻って来た妹(おしゅん)のために自分の来ていた着物を掛けて床を作ってやって、自分は寒そうに煎餅布団にくるまって…、与次郎さんどこまでもいい人だ(涙)。
投げ銭を数える場面では、砂利やゴミなんかもいっしょに袋に入っているのをゴザに広げて、お金だけ拾って数えて、ゴミはほかしてた。猿は、家の中に飼育檻があって、壁の下の方に猿用の入口をこしらえてました。中で仔猿が待ってたよ。へぇえ、細かなところまで様子が伝えられるものですね。
悪い人いないけど、切ない話。
お名前でませんが、お猿の芸をさせる人形遣いさん、いい仕事してました。
で、分かってしまった。これは三味線弾きに聞かせどころ満載の名作だったのだ!
最初に、盲目のお母さんとお稽古にきているお嬢ちゃんが『鳥辺山』(!←心中はこの時点で暗示されてました)を弾く場面も、陰三味線も含め、よく人形の振りに合うもんだと感心しましたが、最後にたっぷり用意されていた三味線のみの聞かせどころ…。堪能しました。すごいわ、藤蔵師匠。汗ぐっしょりの大熱演、段の途中で糸を張り替えるの2回も見てしまったよ〜。堀川猿廻しの段、凄い!
そういえば、昼の部でも夜の部でも、開場のときに藤蔵師匠がロビーに姿を現してお客さんの様子を見ていました。こんな演奏の序章だったとは…お疲れさまでした。
それにしても、今回の地方巡業はお三味線方はいいとして、太夫方も人形方も主要な皆さんがあまりご出演になってないのが気になりました。柱を欠いているという印象で、その理由は分かりませんが、手元に一昨年のパンフレットがすぐ出て来たので比較して見ましたら…。
これは平成26年の地方公演の出演者。
で、これが今年(平成28年)。
ややや、どうしたことだ…。
(こんな小姑みたいなことはしたくないんだけども、この力の削ぎ方は気になりませんか…)
先日、医学生理学賞に大隅良典・東京工業大栄誉教授が選ばれた時に、某理系の名誉教授の方々が3人ばかり立ち話をしているのに居合わせて、「ノーベル賞なんか2020年以降は全くとれなくなるから。いまの文科省のもとでは…」と言う話を聞いて、説得力あるなーと思ったのですが、それを思い出してしまいました。
2016年10月2日日曜日
9月に読んだ本
2016年9月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1190ページ
ナイス数:32ナイス
おれは たーさん 1 (ビームコミックス)の感想
いつもの朝倉世界一節っちゃーそうなんですけど、このゆるゆる大好きだから新刊うれしい。ジャングルから(なぜか)豪華客船でクルージングしてきたターザンが、お客のテーブルクロス抜きした布を身体に巻いてジャンプ。つかみはOK。次の場面では都会生活に馴染んでぽっちゃりした「たーさん」になっちゃってました(笑)。孫悟空キャラクターの会社とか、お隣さんはゾンビ化エキスを開発する理系女のマドンナ・コダマちゃん(ゾンビ)。コダマちゃんの頭にのっけているベレー帽みたいな物体が脳みそに見えるのがいちばん気になるところです。
読了日:9月22日 著者:朝倉世界一
ふたがしら 7 (IKKI COMIX)の感想
完結巻。時代劇のオノ先生の描線はカリカリしてる。魅力的な登場人物で先が楽しみだったんですが、ハラハラするようなでっかい仕事ってあったっけ?というぼんやりした記憶で、最後はちょっと失速感が…。並びがしらはいつか別れるんだろうとはおもっていたけれど、弁蔵…そうなりましたか。最初から読み返してみないとかな?
読了日:9月22日 著者:オノナツメ
レディ&オールドマン 1 (ヤングジャンプコミックス)の感想
Kinde版で読了。新しいシリーズの舞台は50年余前のロサンゼルス。100年も刑務所に入ってたというロブは不老不死のドラキュラか?いつにも増して謎に包まれた書き出しなのでした。主人公のシェリー嬢の金髪碧眼でチャーミングな表情に、オノ先生の絵の冴えを感じます。特に眼が良い。
読了日:9月15日 著者:オノ・ナツメ
花に染む 7 (クイーンズコミックス)の感想
続刊中ですが、Kindle版に切り替え。本心が見えにくいのでまわりはいろいろ振り回されているのであるが、陽大はあんまりぶれていないのであろう…という気がした。今巻では。
読了日:9月10日 著者:くらもちふさこ
かわいい仏像 たのしい地獄絵の感想
「国宝・重文へのお勝手口からの挑戦状」という帯、妙味が効いている。京都を遠く離れた北国で大事に信仰されている素朴な仏像や、ちっとも怖くない地獄絵図。確かに教科書にでてくる美術品とは違うけど人々の心が入った造形だ。でもこれも美術だと言われると、ちょっと待って!かな。こういう造形ってむしろ「限界芸術」の領域にあるんじゃないかな。仏像や地獄絵というモチーフが隅々に浸透して技術拙くても作られるようになったってことで。編集も変わってる。こんなに自由に切り貼りしたり突っ込んだりができる緩さも、国宝では許されないすね。
読了日:9月5日 著者:須藤弘敏,矢島新
殴られた話の感想
古本屋で見つけて、詩人・平田俊子の小説!と、即買いしました。でも普段はこのテの本は読まないのでしばらく積んでおいたんですが、移動中の新幹線で読んだら一気読み。読みやすさとスピード感があってました。どろどろの不倫関係、どいつもこいつもダメダメな人たちなんだけど、当事者女性の一人称で綴られると情けないけど、どうにもならない心情が共振してきて痛い。友達の、隠している傷を偶然見てしまったようなヒリヒリ感。たぶん10年前なら無理だったかもしれないけれど、今は受け入れられるような気がします。人って成長するんだな。
読了日:9月3日 著者:平田俊子
読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1190ページ
ナイス数:32ナイス
いつもの朝倉世界一節っちゃーそうなんですけど、このゆるゆる大好きだから新刊うれしい。ジャングルから(なぜか)豪華客船でクルージングしてきたターザンが、お客のテーブルクロス抜きした布を身体に巻いてジャンプ。つかみはOK。次の場面では都会生活に馴染んでぽっちゃりした「たーさん」になっちゃってました(笑)。孫悟空キャラクターの会社とか、お隣さんはゾンビ化エキスを開発する理系女のマドンナ・コダマちゃん(ゾンビ)。コダマちゃんの頭にのっけているベレー帽みたいな物体が脳みそに見えるのがいちばん気になるところです。
読了日:9月22日 著者:朝倉世界一
完結巻。時代劇のオノ先生の描線はカリカリしてる。魅力的な登場人物で先が楽しみだったんですが、ハラハラするようなでっかい仕事ってあったっけ?というぼんやりした記憶で、最後はちょっと失速感が…。並びがしらはいつか別れるんだろうとはおもっていたけれど、弁蔵…そうなりましたか。最初から読み返してみないとかな?
読了日:9月22日 著者:オノナツメ
Kinde版で読了。新しいシリーズの舞台は50年余前のロサンゼルス。100年も刑務所に入ってたというロブは不老不死のドラキュラか?いつにも増して謎に包まれた書き出しなのでした。主人公のシェリー嬢の金髪碧眼でチャーミングな表情に、オノ先生の絵の冴えを感じます。特に眼が良い。
読了日:9月15日 著者:オノ・ナツメ
続刊中ですが、Kindle版に切り替え。本心が見えにくいのでまわりはいろいろ振り回されているのであるが、陽大はあんまりぶれていないのであろう…という気がした。今巻では。
読了日:9月10日 著者:くらもちふさこ
「国宝・重文へのお勝手口からの挑戦状」という帯、妙味が効いている。京都を遠く離れた北国で大事に信仰されている素朴な仏像や、ちっとも怖くない地獄絵図。確かに教科書にでてくる美術品とは違うけど人々の心が入った造形だ。でもこれも美術だと言われると、ちょっと待って!かな。こういう造形ってむしろ「限界芸術」の領域にあるんじゃないかな。仏像や地獄絵というモチーフが隅々に浸透して技術拙くても作られるようになったってことで。編集も変わってる。こんなに自由に切り貼りしたり突っ込んだりができる緩さも、国宝では許されないすね。
読了日:9月5日 著者:須藤弘敏,矢島新
古本屋で見つけて、詩人・平田俊子の小説!と、即買いしました。でも普段はこのテの本は読まないのでしばらく積んでおいたんですが、移動中の新幹線で読んだら一気読み。読みやすさとスピード感があってました。どろどろの不倫関係、どいつもこいつもダメダメな人たちなんだけど、当事者女性の一人称で綴られると情けないけど、どうにもならない心情が共振してきて痛い。友達の、隠している傷を偶然見てしまったようなヒリヒリ感。たぶん10年前なら無理だったかもしれないけれど、今は受け入れられるような気がします。人って成長するんだな。
読了日:9月3日 著者:平田俊子
読書メーター
登録:
投稿 (Atom)














