じつは、先週末はもう一本映画を観ました。
正確にいうと、映画ではなく『シネマ歌舞伎』なんですが、中村勘三郎主演の『人情噺 文七元結』。
『シネマ歌舞伎』とは、「歌舞伎の舞台公演をHD高性能カメラで撮影しスクリーンで上映するという、松竹が開発した全く新しい映像作品で、映画とはちがうメディア」なんだとのこと。
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/about/index.html
何かと話題にもなり、見逃した作品がラインナップされているのも知っていたので、つねづね観たいと思っていたました。
でも、なかなかS市周辺では上演の噂が聞こえてこず(なんでも配給料が「なんで?」というくらいお高いという話を聞いたことが…。地方都市では上演してもペイ出来ないということか?)、かといって、歌舞伎を観に上京した折に観て帰るという余裕もなく、ずっとチャンスを逸したままでした。
それが、M県の各地で数カ所上映したあと、S市のMovixで1週間の限定上映をするというのです。
予定を観ると、S市市民会館の回は平日でとてもいけそうにないので、Movixの上映に行くことにしたものの、これが朝一回限りの特別上映。むりやり予定を割いて映画館に一番乗りです。
Movixに行こうと決めたのはもう一つ理由があって、ちょうどポイントが貯まっていたので、それでチケット代を節約しようと企んでいたからでした。ところが!なんと、特別上映なのでポイントは使えないとお断りを食ってしまい、さらには割り引きも×、ポイントもつかないというのでした。げろげろ(×_×)。
(なんだよ、なんだよぅ、シミったれてんなぁ)
そもそも、Movixって松竹系なのに、歌舞伎会の特典が使えないのも少し不満だったのですが(だって、東京の松竹系劇場ではいろいろ特典が使えて便利なのに、こちらでは全くお得感なしですよ)、で、のっけから塩辛い気分になって、シアターにはいると、先に観た「20世紀少年 最終章」の部屋とは対照的に、130席ほどの小さい部屋でした。
http://www.movix.co.jp/seating/snd_001.html
DLP&3D対応のシアターのようで、高精細画面に対応してこの部屋になったのだとは思うのですが、迫力というのはそれほど実感わきません。きれいな記録映画という感じかな。
中村屋のお芝居ですから、もちろん面白くないわけはないんですが、歌舞伎の生のお芝居を観るときのような舞台と観客の息が一体となった快感はなく、映画とも違うけど、お芝居とももちろん違うというものでした。
毛穴が見えたからいいってもんでも無いしね。
しかも、この『文七元結』は山田洋次氏が監督で、舞台美術や台本にも手を入れているらしいので、歌舞伎の記録映像としても、新しい創作の手が入っているやや別のものということになりますね。
そういう意味では、全く新しい観客を掘り当てたいという意図があったのかも知れないのですが、今のコスト体系の中ではなかなか大変なのではないかなぁと思わずにいられませんでした。
も一つ、勝手なことを言わせてもらえば、できれば『文七元結』のようなお芝居ものよりも、玉三郎丈の『鷺娘』とか『二人道成寺』なんかの舞踊の舞台映像が観たかったですよ。それこそ、普段聞けない一流どころの長唄も拝聴できるし、踊りの所作もなめるように観ることができて、高精細技術を生かした映像として実感できるような気がするわけで…。そういう舞踊や、時代もののお芝居の方が映像にする価値があるという気がします。
今回、(たしか東京では同時上映のはずですが)中村屋親子の『連獅子』が割愛されていたのも、がっかりでした。どちらというと、それの方が観たかったのに…。
そういえば、『文七元結』のエンドロールで、黒御簾の演奏者の名前が割愛されていた(と思う。そうでなかったらスミマセン)のも、なんだかなぁ〜でした。制作スタッフは細かーく名前が出てきましたけどね。
というわけで、『シネマ歌舞伎』のアンコール上映(10.10〜11.3)を東京・東劇に見に行くべきか!?それが問題ですね…。
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