2010年5月7日金曜日

5月花形歌舞伎公演

5月4日の夕刻に上野公園から姿をくらました虫六は、いったい何処にいったでしょう?

答えは、ここ。東銀座でした。
4月公演は残念ながら見れませんでしたが、せっかく上京したので形あるうちにもう一度歌舞伎座を拝みにきました。
櫓は取り外されて、正面玄関にトラックが横付けされてました。館内の片付けというか引越の真っ最中なんでしょうか…。虫六のように歌舞伎座の最後の姿を写真におさめようとカメラを構えた人がいっぱいいました。実は、立て替えが決まった時から来るたびにしつこいほど外観は撮ったりしていたのですが、もう、魂がないというか、最後の芝居が終わってしまった劇場というのは寂寥感がありますね。

そういうわけで、歌舞伎座が休場する3年間は、新橋演舞場が歌舞伎公演の常打ち小屋になるそうです。近代的な建物のファサードに新しい櫓がのせられました。さすがに鳳凰の座紋ではないですね。新橋演舞場の座紋は「雪月花」だそうです。

歌舞伎座休場期間公演の第1弾は、「五月花形歌舞伎」!
しかも初日(…へへへ)です。はい、これが虫六ドロンの目的でした。

新橋演舞場 五月花形歌舞伎
平成22年5月4日(火)~28日(金)

昼の部
 一、菅原伝授手習鑑  寺子屋(てらこや)
 二、義経千本桜  吉野山(よしのやま)
 三、新皿屋舗月雨暈
 四、お祭り(おまつり)


夜の部
 一、一谷嫩軍記 熊谷陣屋(くまがいじんや)
            熊谷直実  染五郎
             源義経  海老蔵
              相模  七之助
             藤の方  松 也
          梶原平次景高  錦 吾
             堤軍次  亀三郎
           白毫弥陀六  歌 六


二、うかれ坊主(うかれぼうず)
            願人坊主  松 緑


三、歌舞伎十八番の内  助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
  三浦屋格子先より 水入りまで

           花川戸助六  海老蔵
           三浦屋揚巻  福 助
          白酒売新兵衛  染五郎
        くわんぺら門兵衛  松 緑
           三浦屋白玉  七之助
           福山かつぎ  亀三郎
            朝顔仙平  亀 寿
          番頭新造白菊  歌 江
            通人里暁  猿 弥
           国侍利金太  市 蔵
            遣手お辰  右之助
           三浦屋女房  友右衛門
            髭の意休  歌 六
            曽我満江  秀太郎
              口上  左團次

なぜ昼の部を省略表記かというと、
夜の部しか見にいけなかったからです(# ̄З ̄) だって昼は紙芝居が…。

4月のさよなら公演でかかっていた人気どころの演目を、新しい歌舞伎座を背負って立つことになるであろう次世代の花形役者が演じるという、これまた豪華な趣向で、さよなら公演に負けず劣らず人が入っていました。

若手役者が家の芸をかっちり勉強して臨んでいるという、初々しさや緊張感が舞台にほとばしっていて、爽やかな快感がありました。まぁ、正直いえば役が足りないところも、見る人が見ればあるんでしょうが、虫六は十分に歌舞伎の未来に希望がもてました。
ここに菊之助と亀治郎と愛之助がいたら、文句なしでしたが〜(;´▽`A`` 欲望は留まるところを知りません。

「助六」を「水入り」までやって大熱演の海老蔵丈(結婚ネタでいじられてました。やっぱり…)と、「熊谷直実」ほか大役四役に挑んだ染五郎丈を一座の中心にして、踊り上手な松禄丈の「うかれ坊主」と見どころはいっぱいですが、今回も七之助丈の「相模」「白玉」が存在感がありました。そこにいるだけで気品が立ち上っています。

『熊谷陣屋』は、恩義のある敦盛の代わりに自分の息子・小次郎の首をとって首実検に臨む熊谷直実の、真意を隠した複雑な心境がしどころのお芝居ですが、直実の妻・「相模」(七之助)は、はじめは、昔自分たちを助けてくれた恩人である藤の方の息子・敦盛を、自分の夫が討ち取ってしまったことへのいたたまれないというような心境から、いざ首実検になると殺されたのは自分の息子であったことを知り、一変して哀しみのどん底に落ちるという哀れな役どころ。染五郎の直実がお芝居をしている時はじっと腹で押さえていた感情が、首を渡される場では、義経らの目を気にしつつも母親の情愛と絶望で泣き崩れて、思わずもらい泣きの虫六でした。しかも、無常観の境地に至った直実が出家していくのはいいのですが、子供も殺され、後に残された相模はどうなるの?と、このお芝居をみるたびに途方にくれる虫六です。(言ってみてもしょうがないんですが…)

『助六』では、「白玉」。揚巻役の福助丈を食ってしまいそうなオーラを放っていました。新しい歌舞伎座ができたら、間違いなく七之助丈の揚巻が見られることでしょう。今からとても楽しみです。

夜の部の休憩時間に、最中アイスを手にぶらぶらしていたら、客席後方の照明室(?)に勘三郎丈の姿を発見!初日の様子を見に来たんでしょうか。ガラスの向こうで、だめ出ししてるのかなぁ…(笑)いやはや。

終演後、もう一度歌舞伎座の前を通りました。
眠れる劇場…。
平成25年2月28日に工事完了の予定だそうです。
ということは、こけら落とし公演は4月くらいになりますかね。
待ち遠しいですね。


【おまけ】
上野の骨董市の古本屋さんを冷やかしていたら、こんな写真をゲットしてしまいました。
「海老さま」と言われた、当代海老蔵のおじいちゃん「十一代目市川團十郎」の海老さま時代のお写真であります。切られ与三郎でしょうか、やっぱり美しいですね。

2 件のコメント:

  1. あれま、偶然。あたくしも来週『五月花形歌舞伎』行って来ますだ。同じく、夜の部。4月のサヨナラ公演はコネでは逆に取れなかったんですよね。初々しいキャストに、てんこ盛りの演目でテンション上がりますね。

    前にもお話しましたけど、個人的には歌舞伎とアニメの共通点を見いだすのが密かなる野望なので、久しぶりの演目をじっくり楽しみにいくつもりです。

    P.S.上野で会えなくて残念でした。またの機会に〜!

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  2. >Kurokitiさん

    Kurokitiさんも5月歌舞伎に行きますか!?若々しいエネルギーに満ちていて、いいですよ。演目も面白いのが揃っているしね。ぜひ感想など教えてください!野望の程も(笑)『熊谷陣屋』など、トンでもな話だぜ!
    あ、歌舞伎とアニメだったら、3月の日生劇場がおすすめでしたぜよ(´Д`;

    アイス最中もお勧めですよ〜。

    上野は残念でしたが、今年はお盆のころに横浜である計画が…。お知らせを待て!

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