2012年8月16日木曜日

あの名作を予備校の地下ホールで

今朝の朝日新聞に、井上ひさしさんから市川森一さんへ引き繋がれようとして、未完のままになった長崎原爆をテーマにした芝居の脚本があったことが記事になっていました。井上さんはライフワークとして「戦争」をテーマに作品を書いていて、その代表作に広島を舞台した「父と暮らせば」があります。


実は、まったく偶然なのですが…、今日、虫六はその作品をとある予備校の地下ホールで拝見したのです。
いつもお世話になっている浅草雑芸団の若林正さんからご案内をいただきまして、校内向けのリーディングの通し稽古(演出:宇都宮裕三先生、出演:板垣桃子、若林正)を見せていただきました。
広島の原爆で被災しながらもたったひとりで生き残り、父や友人を失ってしまったサイバーズギルドから解放されないまま、自身の幸せや未来に立ち向かえない女性。そんな娘に幸せになる勇気をもたせようと対話を重ねる亡霊の父。震災の記憶が生々しい東北でこの芝居をすることに若林さんは躊躇があったそうです。確かに彼女のような罪悪感や傷をもったまま、今も死者と向かい合っている人たちが沢山いるのかもしれない…と、お芝居をみながら感じる事もありましたが、しかし、作品のメッセージはもっと強いもので、勇気を与えられました。もっともっと沢山の東北の人たちにみて欲しいと思いました。

内輪行事なので外部の人はほとんどいませんでしたが、俳優お二人の真剣勝負の通し稽古で、その気迫におもわず息を吞みました。目を腫らしながら語る場面もあり、どきどきしました。役者ってすごいなー。稽古なのに…。
若林さんがいい俳優さんであることはうすうす分かってはいたのですが、浅草雑芸団の絡みでご一緒することが多くて、バナナの叩き売りとかのぞきからくりのからくり節とかを拝見することはあっても、直球お芝居ははじめてでした。いやいや、これが若林さんの本領でしたか!お相手は、板垣桃子さんで、劇団桟敷童子の看板女優さんだそうです。とてもステキな女優さんでした。これまでS市でお芝居見るチャンスはありませんでしたが、他のお芝居も観たいですね。


お声がけいただき、いいお芝居を拝見できました。
ありがとうございました!

それにしても、長崎版の「母と暮らせば」が完成していたら…とおもわずにいられないです。きっと相対する意味深い作品だったのでしょう。


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