週末も休み無く働いていた虫六…、17日は振休をもらって久しぶりの休日でした。
この日は、年に一度「人形浄瑠璃文楽」の今年の地方公演がS市にやってくる日だったので、振休じゃなくても有休もらおうという肚でしたが、苦しい言い訳をすることもなく、休みを当てたのでした。(良いのか悪いのか)
昼からだったので、午前中は洗濯などしながらお三味線の練習…そろそろ出かけようかなと思っていたら、なんと染五郎丈の記者会見がテレビの生放送(「ひるおび」です)で流れてきました。
しかし、このテレビもそこそこに出かけねば…。文楽が待っている〜。
会場に入ったら、若い技芸員の皆さんが、東日本大震災の復興支援の募金を集めていました。文楽だって、ハシゲ大阪市長にいじめられて大変なのに、なんということだ!おもわず少しばかり募金したのですが、どっちかいうと文楽協会にもらっていただきたいぞ。
人形浄瑠璃文楽 平成24年10月地方公演
日時 10月17日(水)
会場 仙台市・電力ホール
【昼の部】
『桂川連理柵』(かつらがわれんりのしがらみ)
◆六角堂の段
◆帯屋の段
◆道行朧の桂川
【夜の部】
『二人禿』(ににんかむろ)
『義経千本桜』(よしつねせんぼんざくら)
◆すしやの段
『桂川〜』は、春に大阪でみたので今年2回目。38歳の中年男性と14歳の少女が心中するという穏やかでない物語なんですが、個性豊かな登場人物とちゃり場の落語のような台詞回しが愉快な作品。歌舞伎では上演されないようなので、浄瑠璃や人形遣いだからこその面白さなんでしょうね。
嶋太夫さんのちゃり場はあいかわらず絶妙で会場がだいぶ沸いていましたが、腰を浮かせながらの大奮闘(?)大阪の時よりも肩に力が入っていたような、もしかして体調がいまいちだったのかな。でも、お上手でした。
道行の方は、全体にあんまり印象に残らず。(っていうか、疲れていて集中力が途切れる…グー・スカ・ピーには至りませんでしたが、怪しかったッス。)
お半(勘十郎さん)がかわいかった。双眼鏡忘れて大後悔。
人形といえば、三谷文楽でも活躍していた一輔さんが丁稚・長吉を遣っていて、これが滑稽で面白かったのですが、なんだか余裕が感じられて頼もしいと思いました。(三谷文楽・フラッシュバック!)
それから、丁稚・長吉を弟儀兵衛(玉志)がいじるところで、他の人形たちは後ろで芝居をしないでじっとしているはずのようなんですが、儀兵衛が変なことしたり、お腹にこむら返りが起きたりすると、母親のおとせ(勘市)だけ(ちょっと、ちょっと…みたいな)心配そうなリアクションをみせるところが面白かった。
夜の部は、昼の部に比べて伝統芸能のスタンダードって感じの演目です。夜の部の方は当日券もあったみたいなんですが、文楽全体の客層を考えると、昼の部はお年寄り中心、夜の部は比較的若い人も見る…という印象なので、むしろ『桂川〜』のようなユニークな作品を夜の部にして、『義経千本桜』なんかは昼の部にしたらいかがでしょう?などと思いました。
楽しみにしていた清介さんの三味線は「すしやの段」の前!小柄な印象なのに、すごい迫力で圧倒されました。こんなに上手いのにけっして三味線だけが前に出ることない、しかし、ぐいぐい物語を引っ張ってくれます。語りは英太夫。真剣勝負なんでしょうね。
勘十郎さんは「いがみの権太」を遣っていました。昼の部の可憐なお半から、今度は荒くれた大男。アクロバチックな遣いをみると、勘十郎さんだーと条件反射してしまいます。
こういう演技の方がバタついた部分が印象に残るから難しそうだと思います。
『二人禿』は仕舞と唄・演奏の作品ですが、長唄を聞き慣れた耳には、義太夫さんの合唱は、がさつに聞こえてしまいます。江戸で唄ものが生まれ長唄が好まれた感じが分かる気がする。同じ語り物でも清元や常磐津のはずいぶん違いますもんね。そういうところ面白いですね。
今度のツアーは、国宝級の重鎮の方々が参加していませんが、若手が活き活きとがんばっているそのエネルギーが伝わってきました。何回か見る機会も重なって、目に覚えのある技芸員も増えてきたこともありますが、文楽ってずいぶん若い人ががんばっているんだということが感じられ、その成長を楽しみながら応援していきたいなと思いました。
それにしても、まだまだ見る眼・聞く目を養わねば…ということの方が実感としては大きいですけどね。
0 件のコメント:
コメントを投稿