2013年10月8日火曜日

温泉地で巡業して欲しい!「鳴子温泉郷物語 タルタロスの足湯」

…喪服を着た中年男性3人がズボンの裾をまくって足湯に浸りながら、「お湯はいいよな〜」って…。もしかして、この場面が描きたかったのかなー。

以前のブログでもお知らせしましたが、わが慙愧丸プロジェクトの座頭作家でもあるクマガイコウキの新作「SENDAI座☆プロジェクト 鳴子温泉郷物語 タルタロスの足湯」が、“演劇と温泉でデトックス!俺たちは温泉だ!!” のキャッチコピーとともに公演中です!


震災後に建物が崩れて温泉だけが湧き出ている廃墟宿で、地元旅館の跡取り息子どうし3人(ひとりはこの廃墟の持ち主、市会議員をやってるので跡は継いでない)が四苦八苦しながら、なんとか地元をもり立てようと知恵をしぼっている。
フランス帰りの演出家と元人気女優を呼んで市民参加の演劇を作ろうって企画に、なぜかパンダの誘致話が入り交じって、なんだか話はヘンな方向へ…。

15年も惚けた母親の介護におわれながら、借金をしてハワイリゾート風の旅館に改装するも客足増えず経営難に苦しむ男。
山師みたいな市会議員。
旅館そのものよりもブログでカリスマになってる温泉原理主義の男。
人身事故の加害者になって表舞台から姿を消していた女優。
若い時に成功をしてフランスに渡り帰国するも鳴かず飛ばずで貧乏に窮している演出家。
震災の直前にまさに死のうとして首吊りを計っていたが、地震で自殺に失敗したという過去をもつ湯守男。
意味不明にテンションだけ高い若者たち。

別に地震が無くても、人生ぎりぎりとか、カツカツとか、だめでしょ?だった人ばかり。(俺のことかよ…ですよ)。そんな崖っぷちの人生を生きている人物たちが、温泉郷のお湯と出会い、癒され、生きる力を取り戻す。

そして、お芝居全体は笑いとペーソス。
ギリシャ神話、アキバネタ、ヤクザ映画、ハワイアン、ムード歌謡、奴隷デカ…。
温泉宿の演芸場のように、摩訶不思議な無国籍感。クマガイワールドだね。

そして、仙台の役者さんも実力あるなー。魅せますね。
ぜひ、温泉地の芝居小屋などを巡業公演して欲しいです。

それにしても、
温泉の泉質(「炭酸水素塩泉」とか、そういうの)っていうのは、お湯に塩胡椒入れてできるような単純なものではなくて、凄まじいエネルギーの塊であるマグマの熱によって、地中深く堆積した植物やなんかが溶けて化学変化をおこしてどろどろに混じったものが、何百年何千年の時を経て成分を内包し、やさしい穏やかなお湯となって湧き出てきたものなんだそうであります。
作家はいいます。
「人生も同じ、人生は過酷だ!」と。
そして、「両手からこぼれ落ちた哀しみも償いきれなかった過ちもいつか必ず穏やかになる、鳴子温泉郷のこのお湯のように」と。
…大人の芝居だよ。

そういえば、舞台中央に置かれた足湯の桶船…何だか棺桶みたいでね?棺桶に足を入れる図だよ…、と思ったのは私だけ?

エンディングの唄はCDになってます。500円。

公演は、このあと、
 鶴岡公演(10月12日) 東田川文化記念館 明治ホール
 尼崎公演(11月9日〜10日) ピッコロシアター
をまわるそうです。

鶴岡、尼崎方面のみなさん、ぜひ見に行ってください!

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