10月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1078ページ
琵琶法師―“異界”を語る人びと (岩波新書)
盲目の芸能者が伝えてきた「モノ語り」芸能のなかでも最も深い歴史をもつ「琵琶法師」。著者の30年以上にわたる文学・芸能研究の出発点になったテーマだそうです。主客が混交し、語り手の〈個〉を超えて発せられる平曲の文体生成の秘密や、声の文化として口伝で伝えられてきた「モノ語り」が正本(テキスト)の成立で権力に結びついていく有り様、琵琶から三味線に伴奏楽器が変わり浄瑠璃が発生、さらに地方への伝播・変容にまで言説はおよびます。非常に濃い内容。付録の山鹿良介氏「俊徳丸」見たいのにうちは8mmDVDに非対応で悔し涙。
読了日:10月17日 著者:兵藤 裕己
百物語 下之巻
『百物語』下巻は53話〜99話まで。怪談会の作法に則って最後の1話は語られません。そう考えると、読む側の作法としては上下巻を徹夜で一気読みして朝を待たねばならなかったのか…。怖くて奇妙な怪異噺ばかりなのに、語るお江戸市井の方々はその不思議な物語を平気で日常に受け入れている。そんなところが日向子氏のお江戸観なのでしょう。99話の間に氏の画力が上がっているのも凄い。後半は野心的に試す試す!筆あり、サインペンあり、チョークあり…絵師・杉浦日向子の試行錯誤も見どころです。もっとやりたかった仕事があったんだろうな…
読了日:10月12日 著者:杉浦 日向子
百物語 上之巻
伽羅の芳香と共に語られる99話の怪奇譚。文庫版が出ていた故・日向子女史の『百物語』が単行本で再版されました。採取された摩訶不思議な物語もさることながら、骨太の絵は氏の本務が漫画家であったのだ(!)ということを再認識させる創意にあふれた作品です。
読了日:10月11日 著者:杉浦 日向子
「わざ」から知る (コレクション認知科学)
近代教育の学習メカニズムとちがって、日本の伝統芸道には「わざ」を習得するための特別の方法があるらしい。弟子は師匠の「形」の威光模倣から入り、繰り返しを重ねて、文脈全体を取り込み、解釈への努力によって主体的な動き_「形」のハビトス化というそうです_にしていくことで、それが「型」となるとのこと。「わざ」習得の到達点は「間」の体得で、その習得プロセスには記述言語や科学言語とは異なる特殊なことば(「わざ」言語)があるそうな。この具体的な言葉がもっと知りたかったけど、論文だからそこまで要求出来ないですね。
読了日:10月06日 著者:生田 久美子
読書メーター
今月はお浚い会を控えて、読書がすすみませんでしたな…。反省。
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