2014年9月11日木曜日

長野から木曽福島へ(2)_興禅寺で重森三玲の庭と出会う

そんなわけで、木曽福島駅に着きました。

なんだかでっかい立派な駅舎です。木曽福島は、京都へ67里、江戸へ69里の中山道69次目の福島宿なのだそうです。

 駅向かいにお土産屋さんや食堂なんかといっしょに観光案内センターがあったので、地図を貰おうと入ってみました。なにしろ、「目的は興禅寺」と言うこと以外、この土地についてなんの予備知識もないまま来てしまったのです。どのくらいの大きさの町なのか、なにか観光はあるのか??

で、観光センターで地図を貰うついでにいろいろ聞いてみましたら、とても親切に教えてくださいました。「まずはバスで興禅寺まで行き、帰りを徒歩で散歩しながらこことここに観光スポットがあるよ」と地図に書き込んで、「正味2時間くらいで帰って来れますよ」とのアドバイス。そして、今朝ホテルから貰ってきた傘を置いて行っていいかとお願いすると、気持ち良く預かってくれたりして、親切この上なし!木曽福島に行ったら、駅前の観光センターで情報蒐集しましょう。

さて、教えていただいた路線バスで直行したのは木曽三大名刹のひとつに数えられるという「萬松山 興禅寺」。名前のとおり禅宗の寺院で臨済宗妙心寺派、永享6年(1434年)、木曽家12代信道公が祖先義仲公の菩提のために荒廃していた古いお寺を改築したものだそうです。

こちらが木曾義仲のお墓…、柵の奥の暗くなっているところ。樹齢300年を越えるという木曽檜など太い樹木に守られるように、苔むして墓石がありました。

義仲公お手植えの時雨桜の、2代目(!)…だそうです。たしかに大きくて老木って感じですが、いったい樹齢いくつなんだ?4月20日ごろが花の見頃だそうですが、こんだけデカイんだからみごとでしょうね。

そして、なぜ虫六がここまで来たかというと、このお庭を見るためでありました。
現代作庭界の巨匠・重森三玲が作庭した枯山水「看雲庭」であります。なんでも日本一広い石庭だそうです。

石は紀州沖の島産の青石(力泥片岩)、砂紋は京都比叡山山麓の白川砂で構成されており、この白くみえる曲線のアクセントはなんと(!)白セメントです。
白砂の地模様が表現しているものは「水」ではなく「雲」。看雲庭は、信州にあるお寺ということで、雲海の上に突き出ている(浮かぶ)山岳を表現しているのです。

砂紋(雲紋)は雲海の雲の流動を抽象的に構成していて、世界のどこにも例のない独創的な試みだそうです。石の配置は有機的で、中央の小さい石をポイントに左に7石、右に5石、左向こうに3石を、追う石、逃げる石、更に受け止める石として緊張感のある空間を構成しています。
一般的な枯山水が、川の向こう、海の向こうに、無限の世界をユリイカするとしたら、木曽の枯山水は天空に無限を見るんですね。やっぱり標高が高い土地はスケールが違います。

しばし、お庭を眺めながら露台でぼんやりしていたら、持ち時間の半分を使っておりました。あ、興禅寺にはこのほか重森の作ではありませんが「弥勒山の庭」「昇龍の庭」「万松庭」という3つのお庭があります。

慌てて、地図を片手に歩き出しました。あ、古そうで立派なお家ですね。

木曽川!迫力ありますね。マイナスイオンに年季が入っております。

福島宿は日本四大関所の一つ。関所は、木曽川を真近かに見下ろす高台にあり、創設以来約270年間、中山道の要衝として入鉄砲、出女等を厳しく取り締まっていたそうです。こんな狭い石段を一人づつ登って関所を通ったのだ。

石段を登ると、復元された関所が往時の姿をみせています。中に入りたかったけど、時間がないので、涙をのんで今回はパスです。

 この階段は、地図によると…初恋の小径…かな。

 うお、これは昭和の臭いがするコンクリの立派な橋だ。

 山村代官屋敷…。ここも前だけにしておきましょう。残念ですが。

 なんとも幸せになれそうな名前の蔵元みっけ。木曽の地酒「七笑酒造」。いろいろ魅力的なお酒がありましたが、実は昨日のうちに長野東急の酒屋さんからお土産のお酒は送っていた(「七笑」も含む)ので、ここではサイフの紐は締めときました。へへ。

うぬ!!誰ですか、この方は?!
お店のご主人に聞いて見たんですが「誰だか、すごい有名な人らしいんですけど…。よく知らなくて、スミマセン」って。(え〜、知らないのか〜)
先代の猿之助(現・猿翁)のようにも見えるけれど、もっと昔の役者かナー?気になる、気になる。

木曽川を眺めながら足湯にも浸かれます。
時間が無い上に先客がいたので、今回はパス!

 上の段地区は、中山道の古い街並みの名残を残しています。

 木曽福島駅は高台にあるので坂を上りながら戻ります。見下ろす木曽の集落。
猿まわしが似合いそうな…。

 駅に着いたら予定の列車の時間まで30分ほどあった(焦って損したか?)ので、そういえばお昼を食べていないことを思い出し、名物の五平餅をいただいてみました。甘辛くて胡桃風味のたれで美味しい。暑かったのでアイスコーヒーは一気飲みしてしまいました。

駅からD51の静態保存が見えました…が、子供たちが運転席に乗りこみ自由に振る舞って遊んでおりました。すごいなー。

帰りは特急「しなの」でまっすぐ帰る予定…。

だったのですが、姨捨の夜景に未練…、夜景じゃなくても夕方くらいにはさしかかるんじゃないかと、松本駅で特急をおり、普通列車に乗り換えました。(ぎりぎり予定の新幹線に間に合う計算)

…といえ、この季節、4時ではまだまだ昼間なんですよ…。普通なので1分立たないうちに出発!しかも、松本—長野間はけっこう乗客がいて、ロングシートの無理な体勢から撮影。

っていうかですね、この日、ほぼ満月だったんですよね。
「観月の名勝」のまさに千載一遇のチャンスを逃したのか、俺。帰りの長野新幹線の車窓から、おっきい月を眺めながめつつ、姨捨の夜景リベンジを誓う虫六でした。

2 件のコメント:

  1. ご担当様
    何時もお世話になっております。
    恐れ入りますが、台湾 華芸文化出版社の林と申します。
    弊社の「茶雑誌」はお茶関係の雑誌ですが、次期にて枯山水を紹介させて頂きたいですので、本サイトの写真はご利用を頂けませんでしょうか。
    お忙しいところに申し訳ございませんが、宜しくお願い致します。
    Email:yufang@cansart.com.tw

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  2. >林さま

    コメントありがとうございます。
    いただいたアドレスの方に連絡させていただきました。
    よろしくお願いします。

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