2012年3月27日火曜日

京都の2日目_意外に小さかった宇治平等院

3月11日、震災から1年目のこの日、京都は「京都マラソン」でたいそうにぎにぎしい様子でした。市内の交通機関は麻痺するだろうということで、蹴上のホテルからそのまま地下鉄に乗って、郊外に逃げ、宇治平等院に行くことにしました。

京阪(この電車も抹茶色でした)の駅をおりて、宇治川を渡ったら、向こうをJR奈良線の車両が渡っていきました。宇治は電車からバス・タクシーにいたるまで抹茶色。

3人に1人はこのシチュエーションで写真撮ってましたな。10円玉でお馴染みの平等院鳳凰堂です。

修学旅行以来の平等院。高校生の時は、なんだかすごく遠くまでやってきて、広大な庭に囲まれた立派な古建築…と思っていましたが、こうして大人になってから来てみると、立派ではあるけれど、意外にこじんまりとした寺院でした。同じ末法浄土の思想で建てられた平泉の中尊寺や毛越寺の浄土式庭園の方がずいぶん大きいという印象でした。
しかし、昔は暗い中で眺めることしかできなかった、鳳凰堂堂内の装飾や、阿弥陀如来像を囲み雅楽を奏でる供養菩薩像の浮き彫りや、中堂の屋根上にのっていた1対の鳳凰像などは、今は「平等院ミュージアム鳳翔館」という博物館施設に保存展示されていて、かなり身近にみることができるようになってました。これは、なかなか見応えがあって、お薦めです。


虫六的には、1年半かけて読んだ「双調平家物語」の舞台でもあり、藤原文化の粋を嗅ぎ取りたいとやってきたのでした。


鳳凰堂の中も観覧券を別に買えば拝観することができます。ちょっと順番待ちがありますけどね。

お堂ガイドの女性は、流暢で耳障りのいい、かつ、知性を感じさせる落ち着いた解説で、ココにも語りのプロがいた!!!って感じで、とても感心しました。NHKのベテランアナの語りを聞いているようでした。何人かでローテーションしている様子でしたが、我々の解説をしてくれた人が特に上手だったのか、みなさん粒ぞろいでお上手なのか…。いずれ、歴史ある観光施設とはこういうものかと、激しく納得したのでした。
 
 せっかく宇治までやってきたので、お昼は茶そば!

 川向かいにある宇治上神社にもやってきました。

 やっと梅が咲いたかな…という陽気でしたが。

 宇治なので、なぜか自販機も宇治茶オンリー。

地震があった2時46分に我に返ろうとアラームをセットしておいたら、宇治からの帰り道でちょうど六地蔵駅で乗り換えするところでした。移動中でしたが、立ち止まって黙祷。

地下鉄で市内に戻ると、東山あたりで大量のマラソン帰りの人々が乗り込んで、車内がぎゅうぎゅう詰めに…。こんな日に観光旅行している自分らのことはとりあえず棚に上げて、マラソンで盛り上がっている京都市民もどおよ?と正直思いました。

後日、HNKの「さきどり」で、気仙沼や福島から参加したランナーの取材を放送しているのを見ました。「気仙沼」とプリントされたタンクトップ身につけて復興を誓い、体力の限界まで走る姿に、京都の人たちが「気仙沼がんばれ〜!!」と力一杯声援を送っていました。もちろんこのこと自体は感動的であり、すごいなぁ、えらいなぁと素直に思いました。と同時に、マラソンってそういう装置なんだ…と、理解されました。(スポーツ全体がそうなんですよね、きっと。)

とはいえ、これは後でテレビでみたのでわかったこと。
こういうことを言ってしまうと、非道者だと自分でも思いますが…、S市にいると、マスコミが被災地の現状というよりは、復興がらみの美談めいた事ばかりを探してニュースにしていることについては、正直なところ食傷気味でもあり、好むわけでないのに免疫がついてしまいました。

そんなわけで、ありのままの京都市内にはそのような雰囲気はあまり感じられず、それはしかたないことだと思いました。

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