外出許可が出て2日目、虫六はどこにいたでしょう。答えは、有楽町朝日ホールでありました。
毎年恒例「杵勝会歳末チャリティー長唄演奏会」は、わが忠美恵一門の年に1度のお楽しみ。腹が痛かろうが、矢が降ろうが、聞き逃したくありません。
「どういうことですか?意味分かんないんですけど…」という家人Tの刺さる言葉をえんやこら乗り越えて、先生やお姉さま方と遠足気分で同じ新幹線に乗ってやってきちゃいました。
いやはや、杵勝会は実力者揃いなので、この演奏会はいつもながらうれしい(≧∀≦)。
今年聞き逃すと、また1年またねばなりません。東京に住んでいれば、他流派や長唄以外の邦楽演奏会を聴きに行くチャンスも多々あるのかも知れませんが、S市ではほとんど無いので、「とにかく1年に1度これを聞く」というのが凄く大きく、楽しみなのでした。
今回、もっとも印象に残ったのは、「吾妻八景」(唄/勝吉治・巳之助、三味線/勝正雄、上調子:勝十郎)!この若い2人の三味線のすばらしい掛け合い。たった2丁なのに音色は冴えているし、絡んで複雑で、しかも、美しい!この曲はCDもあるし何度か聞いてはいますが、こんなに面白い曲だったのか!!!!と目から鱗が落ちました。あんなに弾けたらそりゃ楽しいでしょう。
それから、勝幸恵師匠の立三味線率いる女流演奏家6丁6枚と囃子の「喜撰」。どうしてこんなに綺麗に合わせることができるのでしょう。(涙)杵勝って、女流の方々も層が厚いのでしょうね。それにしても、勝幸恵先生の演奏に圧倒されました。もっと聞きたい!生で聞ける機会を逃したくない…。(1月10日にHNK・FMの「邦楽にひととき」で、勝幸恵先生の演奏が放送されるそうです)
当代家元の演奏は「春の調」。長唄に琴が共演して、麗しい演奏でした。わが一門でも予習していたので、聞き覚えのあるフレーズが頭に入っていたおかげでますます面白かった。唄も勝四郎師匠だったし。
大トリは勝国師匠が立ての「勧進帳」。今年は歌舞伎でも勝国師匠の演奏にあたって、ラッキーこの上ない年でしたが、その年の聴き納めにふさわしい演奏でした。お三味線は脇が裕光、勝松、勝国毅、勝七郎。唄はやっぱり立てが杵屋東成師匠(待ってました!)、脇が勝四郎、勝彦、正貴、利次郎。「瀧流し」超絶ですから。
虫六が秘かに「美しすぎる上調子の喜三」とお呼びしている寿浩師匠のお名前がなかったので、今回は参加せずなのかとガッカリしていたら、なんと「勝七郎」を襲名なさっていらして(しかも去年の6月!おめでとうございます。つか、去年も聴きに行ったはずなのに、忘れてる?)、いつもの美しい演奏を拝聴することができました。良かった〜。
2曲ご出演で、1つは唄方・直吉師匠(賛助出演)の「連獅子」に、和吉師匠の脇三味線として。そして「勧進帳」の上調子で!!
どうやったら、あんなに綺麗なお三味線が弾けるのか。はぁあ。
いつもは、やみくもにお三味線ばかりを追いかけていましたが、今年はちょっと余裕がでてきて(?)、お囃子も面白いと感じながら聞きました。特に「連獅子」は、舞踊の獅子の動きなども多少オーバーラップして、どんな場面かが思い描けるようになって、霊獣らしさもお囃子が表現していて、その緊張感なども心地よく聞けました。
また、大所帯の演奏の場合の、バンマスである立三味線の「間」の持ち方と息、演奏の引っ張り方、並んだ演奏者の音の出し方など、1つの演奏にまとめ上げるために、それぞれの役割や配慮が少し垣間見えて面白いと感じました。立三味線は他の演奏家に比べて、バチの動かし方が大きく、これは1列に並んだときに遠くの奏者にも「間」が伝わるようにということらしい。バチが指揮棒なんですね。これまで知りませんでした…。
それにしても、一番端っこにいる上調子がたったひとりでぴったり合わせて来るのってやっぱり相当凄いことだなぁと思う。
また来年、たのしみです。
(っていうか、もっといろいろ聞く機会が欲しいものです)
0 件のコメント:
コメントを投稿