2012年5月1日火曜日

てんこもり、こんぴら道中記 その五_大阪に寄り道、文楽を見る

さようなら、香川県。きっと、また来ます。

でもって欲深な虫六、せっかく西日本に来たんだから…と、次なる黒い目的のためやってきたのは…。
大阪。

こんぴら歌舞伎に誘ってくださったNさんと今日(23日)は文楽を見るのです。

大阪は、紙芝居の用事で二度ほど来たことがありましたが、ほとんど見ていないのと同じ。朝、Nさんに法善寺横丁を案内していただきました。歓楽街から一丁入っただけなのに石畳に赴きあるどこか懐かしい風景です。水掛不動尊でお参り…。織田作之助原作「夫婦善哉」のお芝居にゆかりの新派の役者さんたちの石塔がいっぱい建っていました。

 水掛不動尊のお姿…。苔むしすぎて元のフォルムが見えません。でも、青々として綺麗でした。

初めて踏み入る国立文楽劇場。
文楽公演は、東京の国立小劇場か地元の文化ホールでしか見た事がないので、文楽の本場・大阪のこの小屋で上演されるのをぜひ見たいと、以前から思っていました!
嬉しいなー。わくわく。

今月の演目は、20日で1部と2部の入れ替えがありまして


○4月文楽公演

【第1部】
祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)
<金閣寺の段>
  豊竹 呂勢大夫
  鶴澤 清  介
<爪先鼠の段>
  竹本 津駒大夫
  鶴澤 寛  治
 アト竹本 相子大夫 
  鶴澤 清  丈(丈に`)
【人形役割】
 ・松永大膳 吉田 玉 女
 ・雪  姫 豊松 清十郎
 ・此下東吉 吉田 和 生
 ・十河軍平 吉田 幸 助 ほか

桂川連理柵 かつらがわれんりのしがらみ
<六角堂の段>
  竹本 文字久大夫
  野澤 喜 一 朗
<帯屋の段>
  豊竹 嶋大夫
  豊澤 富 助
 切竹本 住大夫
  野澤 錦 糸
<道行朧の桂川>
 お半   豊竹 咲甫大夫
 長右衛門 豊竹 睦大夫
 ツ レ  豊竹 咲寿太夫
 ツ レ  竹本 小住大夫
 ツ レ  豊竹 亘大夫
 ツ レ  竹本 文字栄大夫
    竹澤 宗 助
    竹澤 團 吾
    豊澤 龍 爾
    鶴澤 寛太郎
    鶴澤 清 公
    野澤 錦 吾
【人形役割】
 ・帯屋長右衛門 桐竹勘十郎
 ・娘 お半   吉田蓑 助
 囃子 望月太明蔵社中

やっぱり「祇園祭礼信仰記」面白いじゃないですか〜(すいません、つい播磨屋の演目にまだ未練…しつこい!)。お芝居ですと、桜の木に縛り付けられた雪姫のオーラが舞台を満たす美しい舞台の印象強しですが、文楽はやはり物語りのすじがスッキリ頭に入ってきて面白い。随分生々しいというか、えぐい話だった。松永大膳って本当に悪い奴だ。いえ、話の筋は知ってはいたんですが、文楽ってやっぱり語りを聞かせる芸能なんだなと、あらためて認識。お三味線も語りの邪魔になってはいかんのね。

金閣寺の三階(三層目)まで昇っていく装置もおおっ!と思うほど大かがりで、人形にここまでお芝居をさせる日本の芸能ってやっぱり凄いですわ。繊細にして大胆とはこのことですね。

また、「桂川連理柵」の方は、虫六不勉強につきはじめて見たんですが、これも随分面白い筋でした。帯屋の養子で跡取息子の長右衛門は40才前のまじめな人物なんですが、ある間違いで14才の娘と枕をかわしてしまう。その秘密がばれて、継母とその息子が長右衛門を追い詰めてついでに自分らの悪さもなすりつけて店から追いだそうと…。できた女房・お絹の機転と養父・繁斎の一括で丸く収まるものの、不倫相手のお半と長右衛門の間には、実は深い因縁が…。前段(その間違いを犯してしまうくだりです)もなかなか面白そうだったので全部通しでみたいと思いました。

それにしても、<帯屋の段>のチャリ場の嶋大夫さんの語りは巧かった!文楽ってこんなに面白いのか〜!コメディーでしょ、これ。H市長も堅苦しいと思わずにこういう場面をみてくれればいいのにね。
ご一緒したNさんは、「嶋大夫さんはチャリ場も巧いけどシリアスな場面も巧いから、一場全部語ってもらうこともできるはずなのに、今の文楽協会は場を短く切ってしまうからもったいない」と。たしかに、短く切って得意科目だけやっていると、大夫さんの個性の幅の面白さと言うのは分からなくなりますね。上手な人がむしろ損?

虫六も文楽もまだまだ初心者なので、見聞きする機会をなるべく作って耳を養っていきたいと思いました。それにしても、大阪は遠いけど。
大阪の人々よ〜、君らは贅沢だぞよ。間近にそんなお宝があるのにわずかな税金を惜しむなんて。

虫六は夕方の新幹線でS市まで帰るので、夜の部も見るNさんとはここでお別れ。本当にお世話になりました!!

少し時間があったので、劇場1階の展示室に立ち寄りました。小さいけれど、教育的配慮の行き届いた分かりやすい展示でした。義太夫三味線と長唄の三味線が並べて展示してあり、触ってもいいと言われたので、義太夫三味線の大きなバチを持ってみたら、「あれ、よく持ち方わかりましたね」と声を掛けられたので、「少しやってまして…」と。それから解説員のおねいさんといろいろと話をしているうち、今度は「人形遣いの高下駄をはいてみなさい」と。(意外に軽くて履きやすかった)下駄はカランカランと音がしないように草鞋を履いているのですが、この草鞋を編むために、契約している農家からまとめて藁を仕入れるんだとか。お人形の胴はヘチマが使われているとか…。お三味線も皮とか象牙とか大変なんですよ〜とか、なんだか古典芸能を支える材料をどう調達するかという話でもりあがってしまいました。

新大阪の駅に向かう前に、Nさんに「並んでも買うべし!」と教えていただいた、大阪・日本橋の名物おはぎの店・「玉製家」でおはぎを買いました。


虫六がいただいたのは、こしあんときなこの8コ入り詰め合わせ。添加物なしのため、きなこは本日中、餡はあしたのまでということで、多く買ってても家に着くのは夜中だし、食べきれないかなと…しかし、小豆本来の旨さと半搗きごはんのほどよいモチモチ感で、確かに美味い!きなこも甘しょっぱさが丁度良い加減で、和菓子が「あんまり」の虫六子も爆食でした。もっといっぱい入ったのを買えば良かったかも。そして、ソッコーたべてしまって写真を取り忘れてました。 (||li`ω゚∞) 


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