いよいよ、松永鉄九郎師籍30年記念演奏会、当日です。
一昨日の夜眠れなかったので、夕べは昏睡か?と思っていたのに、結局、あまり眠れず、1ミリくらいの浅いレム睡眠アイドリング状態で朝を迎えました。
緊張しているのか?オレ。
われわれ忠美恵社中の出演は2時頃の予定なので、午前中は他の皆さんの演奏を聴いてようと思っていたのに、着物に着替えてすったもんだ、荷物を抱えてチェックアウトですったもんだで、落ち着かない状態で楽屋入り…。いやはや〜。
楽屋でどきどきしていると、今日、演奏に加わってくださる杵屋勝十郎さん(一昨日見たね!)が、挨拶にきてくれて、ついでにみんなの三味線の調子を合わせてくださいました。「本番近くなったら、また合わせましょう」といって戻られましたが、これで不安の5割解消だもんね。
勝十郎さんと同じ舞台を踏むか、虫六…。なんだかすごいなー。
っていうか、
勝十郎さんは賛助出演ですけど、今回は、松永会の師匠の皆さん、鉄九郎さんのお弟子さん、総出演でいくつもの舞台を務められるのですよ。伝の会の盟友・杵屋邦寿師匠も大忙し。(聞きに行きたいが…いけない)特に、鉄九郎さんのお弟子さんたちは、自分も番組もっているのに、寸前まで黒紋付きを着て裏から舞台から務められていて、えらいなぁ。
われわれの「春興」は長唄としては異色の合奏曲で、経験の長短もあり実力差もある社中全員で弾けるようにと、先生が選曲したのです。忠美恵社中のテーマソングみたいなものですかね。
それぞれはそうとう緊張していたんですが(特に、虫六は緊張してますオーラが出ていたと、聞きに来てくれた窯爺氏からチェックが入りました…爆)、演奏の方はまずまずだったとの評価で、これも、鉄九郎師匠と勝十郎師匠の応援のおかげでしょうか。
楽屋に戻ったら、圭江先生はじめ、松の会の皆さんが挨拶にきてくださって嬉しいぞ!
もう、演奏も終わったし、プレッシャーから開放されて楽しいだけのモードに。
お友だちのNさんも聞きに駆けつけてくれて、来月の黒い計画での再会を約束しました(ふふふ)
出番が終わったので、ホテルの更衣室を借りて着替えて、荷物を送り、先生と会場の客席にいくと、ちょうど最終盤の鉄九郎社中の名取の方々の番組に入ったところでした。
松永鉄華師匠 「鏡獅子 胡蝶」
松永鉄駒師匠 「船弁慶」
松永鉄七師匠 「二人椀久」
松永鉄六師匠 「吉原雀」
と大曲・難曲が続きました。
この演奏会にかける、お弟子さんたちの気合いが伝わってきます。
緊張感や、途中で調子が狂ってきた時の焦りとか、他人事でないところもありましたが、本当に大舞台で、よくぞこんな立派な曲を!
鉄九郎師匠は、立派な弟子をたくさん育てて来たんだな。
特に、鉄六さんの“がんばり”はそうとうだったと想像でき、そのお三味線にかける覚悟のようなものが伝わってきて、なんだか感動してしまいました。上手いし。
がんばれ!鉄六さん!ピンクの着物もかわいかったです。
もちろん足下にも及びませんが、私ももっと弾けるようになりたいなぁ。
鉄六さんの「吉原雀」で、お浚い会の部(←鉄九郎師匠いうところ)終了。
この先は、会主から皆さんへのプレゼントということで、ご祝儀の番組。
中村獅堂の素踊りで「雨の五郎」と、立川志の輔師匠の立唄で「たぬき」。
もちろん立三味線は鉄九郎師匠です。
お二人とも師匠にとって深い関わりのある方ですが、普通の長唄の会とは違う趣向もあって良かった。志の輔師匠の「たぬき」は、落語家ならではの演出で、唄いながら小咄もはさんだりして、会場は大喜び。さすが芸人ですね。素晴らしいご祝儀です。
今日は9時半の新幹線で帰らなければならないので、会場の出口付近に移動してぎりぎり見ていたのですが、なんとか最後の30本締め(?)まで見ることができて、ラッキーでした。
最後に忠五郎家元がご挨拶。
長唄の家筋の出でない鉄九郎師匠がこの世界で立つための厳しかった状況から、長唄の裾野を広げようと「伝の会」や志の輔師匠の出囃子などにも活動の場を広げて頑張ってきた功績をねぎらい、でも、長唄が君のホームだからしっかり後進を育てて頑張ってくれよと。ちょっとホロっと来ましたね。
確かに、鉄九郎師匠の有り様は長唄の本流からはどんどん逸脱して行っているようにも見えるところもあるけれど、それも、長唄をもっと知ってもらうための身を削ったアプローチとも言えます。家元は、そういうことも含めて、きちんと鉄九郎師匠が長唄の定位置にも戻ってこれるようこの会をさせたんだなと言うことが感じられました。
さすが家元、懐が深い!親心だったのか。
そして松永の皆さんの一体感。われわれ忠美恵社中も末席ながら華を添えられて光栄でした。
いろいろ忙しい時期の演奏会で、大変だったこともあったけど、帰りの新幹線ではなんだかとても満足していました。とてもいい会だったと思います。
鉄九郎師匠、次は40年目指して頑張ってください!応援しています。