2013年4月28日日曜日

おのれナポレオン

19日、歌舞伎座は1部だけでしたので、ホテルに荷物をおいて、劇場を梯子しました。
行き先は、池袋。東京芸術劇場であります。


目的のお芝居は「おのれナポレオン」。三谷幸喜(脚本・演出)、野田秀樹(主演)のガチ対決であります!

「おのれナポレオン」

会場:東京芸術劇場プレイハウス
2013年04月09日 (火) ~2013年05月12日 (日)(4月6日、7日プレビューあり)
    *虫六観劇日は19日

作・演出:三谷幸喜
出演:
 ナポレオン・ボナパルト 野田秀樹
 愛人アルヴィーヌ 天海祐希 
 副官シャルル・モントロン 山本耕史
 従僕マルシャン 浅利陽介
 主治医アントンマルキ 今井朋彦
 総督ハドソン・ロウ 内野聖陽

ぴあのプレリザーブは特別料金とられて割高なのに席は遠くて泣きたくなるね。でも、プレイハウスは2階席4列目でも舞台全体は見渡せて十分に観劇できました。

写真とったら叱られたのでアップしませんが、シンプルな四角いステージに椅子やベッド、ピアノ、それからチェス盤(ナポレオンが好んだ)という最低限の装置だけ。それを三方から取り囲む客席というつくりで、役者も三方から出入りします。照明が効果的につかわれていました。(2階席からはそういう全体の感じはよく見えました。)
物語は、ナポレオンの死因に関するミステリーで、死後20年その死に疑問をもったセントヘレナ出身の医学生が、絶海の孤島セントヘレナ島に幽閉されていたナポレオンの周辺にいた関係者を一人ずつ訪問するという形を取っていて、それぞれの人物の回想や、再現シーンが交錯します。

孤島でチェスに興じながら退屈至極な日々をおくるナポレオン、なにやら企みを肚にもったまま振り回されているまわりの人たち。粒が立っていて、キャスティングが絶妙。背の高い綺麗な役者さんたちに囲まれて、小さい野田ナポレオンの天衣無縫な自由な振る舞い振りがひときわ際立ちます。かわいいんだけど、実はゲームをしかけているのはこの小さい人物…。
面白かったー!

帰宅したら、虫六子に「ずるいずるい」と悔しがられたので、5月9日のライブビューイングも見に行くことにしました。S市にも会場あって良かった!


2013年4月27日土曜日

歌舞伎座開場柿葺落四月大歌舞伎

さて、いよいよ定式幕が開いて、舞台が始まります。


歌舞伎座新開場 柿葺落四月大歌舞伎
 平成25年4月2日(火)~28日(日)  (虫六観劇日は19日)

【第一部】

一、壽祝歌舞伎華彩(ことぶきいわうかぶきのいろどり) 鶴寿千歳

 鶴    藤十郎
 春の君  染五郎
 宮中の男 権十郎・亀 鶴・松 也・萬太郎・廣太郎
 宮中の女 高麗蔵・梅 枝・壱太郎・尾上右近・廣 松
 女御   魁 春

二、 十八世中村勘三郎に捧ぐ お祭り(おまつり)

 鳶頭  三津五郎・橋之助・彌十郎・獅 童・勘九郎・亀 蔵・
 芸者  福 助・扇 雀・七之助・
 若い者 巳之助・国 生・宗 生・虎之介・宜 生・
 手古舞 新 悟・児太郎

三、 一谷嫩軍記 熊谷陣屋(くまがいじんや)

 熊谷直実  吉右衛門
 相模    玉三郎
 藤の方   菊之助
 亀井六郎  歌 昇
 片岡八郎  種之助
 伊勢三郎  米 吉
 駿河次郎  桂 三
 梶原平次景高  由次郎
 堤軍次   又五郎
 白毫弥陀六  歌 六
 源義経   仁左衛門

閉場公演の時も思う存分ふんだくった松竹さんですが、開場公演もこれまたお高い一部×一等席×2万円ってご祝儀価格。しかも、なんのつもりか三部制ですよ。通しで見たい人6万円。ビンボー人は三等席とか幕見とかいう選択肢がありますが、地方在住だと臨機応変なチケ取りは難しいのですよ…。とほほ。
で、そんなに豪勢に遊べないのでどの部か選ばねばならないのですが、これがご祝儀演目ばっかで決め手なし…なんですよね。初めの舞台で、やっぱり中村屋の勘三郎追悼演目が気になるってことで、ここは一部に決めたのでした。

今回は前から2列目の席でしたので、かえって新しい小屋全体を味わうという感じがあまりなかったのですが、なにより舞台が間近くて虫眼鏡で見るように舞台の様子がわかり、いろんな意味でどきどきでした。

舞台を見た印象は、「違和感がない」ということでしょうか。舞台自体のシステムはたぶん現代的な機器が導入されて裏側からは変わったことがあるのだと思うのですが、見える範囲のサイズが同じなので、演じる役者さんを見る限りにおいては、違ったなーという感じがあまりしないのでした。後ろの方にいくと、音響や照明などの全体的な印象は違っているのかも知れませんけれども…。素人の虫六にはよく分からないのでした。

「鶴寿千歳」はご祝儀曲ってことで、藤十郎丈が登場しただけでおめでたいのです。長寿は何にも勝るのであります。井戸口に向かってつぶやきたいこともあるけれど(苦笑)…「おめでたかった」ということだけを申しておきましょう。染五郎丈の春の君は麗しかったし、魁春丈の猫背は亡くなった成駒屋さんにそっくりだなぁと思いました。開場の一番初めの舞台に立つのは、当代重鎮俳優の御曹司たち、この歌舞伎座を背負って立つ世代です…と、お行儀のいい記者は書くでしょう。しかし、なんだか親の勢力図みたいのもかいまみえ、かつ、この人たちずらっと並んで誰かハッとするオーラがあるかっていえば、なんかもの足りないという。なにはともあれ錦絵のような華やかな晴れの舞台でした。

休憩時間に、トイレをチェック。
導線が一方通行になり、混雑しないようにオペレーションが工夫されています。売店は記念品を買おうというお客さん達で大混雑なので近づかないことにして、虫六の秘かな楽しみである生写真コーナーを求めて3階へ。つか、なぜ3階!?遠いんですけど。コーナーに着くやいなやブザーがなったので、あわてて2枚ほど購入して席へ戻りました。

次は「お祭り」。もうね、一昨年末の平成中村座の勘三郎復帰演目でしたから、あのときの「待っていたとはありがてぃ」が思い出されます。その演目を、三津五郎丈を中心に勘三郎ゆかりの役者で賑やかに踊りました。ホントに胸が詰まりました。

  かんざぶろうぅ〜、カンバーック!!!!!!!(涙)

そして、中村屋の兄弟に手を引かれて、孫の七緒八君も登場。
会場中の視線を一気に浴びて、全然動じないなんて、やっぱり筋金入りの役者DNA。これが、役者さんたちの踊りに合わせて扇を上手に使って同じ仕草をするんですよ。イノセントな表情で。公演も始まってからもうずいぶん経っているので、一緒の舞台に上がっている間に振付を覚えちゃったのかな。すごいわー。
それにしても、こんな光景を目の前で見てしまうと、「やっぱりあの子は天才だ」とか「18代目が乗り移ってる」とか言いたくなりますね。少なくとも、七緒八君がひとかどの人気役者になった時には、今月のこの舞台の話が繰り返し語られることでしょう。
まわりの役者さん達も優しい表情でかまっていて、なんだか良い雰囲気でした。平成中村座のチームワークには未来を感じます。
でも、ずいぶんお兄ちゃんになった橋之助丈のところの御曹司達は、踊る様子をお父さんがなんだか怖い表情で見ていたようで、(あ〜、帰ったらダメ出しされるんだな、この子達…)なんて。七緒八君もダメ出し貰うくらい大きくなる日もくるんだね。その頃には歌舞伎界はどんな感じになっているのかな?

勘九郎丈、七之助丈も今はプレッシャーで大変かも知れないけれど、ファンはちゃんと支えるので、気負わずにゆっくり成長してください。

それから、最近巳之助君が上手くなっていると思うのでした。
それから、コレまで正直上手いと思ったことがなかったのですが、獅童丈が良い感じになってきたのはないでしょうか。この方、もしかして大器晩成タイプですか?

で、不肖虫六、「お祭り」をみたらなんだか終わった気になってしまい、カバンを持って帰りかけたのです。しかし、みなさん帰る様子もなく、がさごそお弁当なんか広げはじめたりして…ん?おかしいな?と思っていたら、「休憩時間35分」と。
(じぇ、じぇ、じぇ!もう1演目あったじゃん!)
慌ててポスターで確認したら、「一谷嫩軍記 熊谷陣屋」でした。アンテナすっかり下がってました(;´▽`A`` 。あちゃちゃ、もしかしてこれが1部のメインディッシュでしたね…( ̄◆ ̄;) 
よく見たら、相模は玉様だよ、義経は仁左さまだよ!すまぬー。と、ここまでの脳内活動を何げにごまかして、お茶を買ってきた振りをして弁当を急いで食べ(だいたい前の休憩が短かったので、せっかくお弁当買ったのにいつ食べるの?とか思ってたんですよ。痛すぎ。)、よく考えたら今の2つは舞踊だもんね、お芝居みてないわそういえば。

で、「熊谷陣屋」ですが、なにが良かったって、玉三郎丈の相模です!
主役の直実・吉右衛門丈が芝居をしている間はけっして出しゃばらず、ぐっと殺した演技、肚だけで持たせて、自分のセリフの順番になったら(つまり首実検のあと、義経の配慮で息子小太郎の切り首を抱えて嘆く場面)持って行かれました。連れて行かれたというべきか…。身体の傾き、声の調子の高低、ひとつひとつの所作がずんずん胸を打ってくるのです。気がついたら、涙が止まらなくなってました。まわりのお客さんもみんなぐすぐす泣いてます。
好みの問題ではありますが、播磨屋型(?)直実の真っ赤になって泣きながら無情を訴えるリアルな演技には、あまり心は揺さぶられなかったのですが。
今回は脇で仁左衛門が義経ですが、なんちうか、たたづまいと口跡で気品のある義経で、やっぱりカッコいい!仁左衛門の直実で見たかったッス。(ま、言ってみただけです)

筋書きのインタビューも、ほとんどの役者さんが「新しい歌舞伎座でお役をいただいて光栄」とか「心を込めて」とか、異口同音にそんなコメントなのに、玉三郎丈だけは「上演作品が多彩であることが必要とされる時代でしょう。古典を大事にしながらも、新しい歌舞伎座ではどのような出し物が可能なのか、どうお見せできるか、演出面も含め考えていきたいと思っています。」と!なんちうか次元が違っております。人間国宝になっても玉様は守りになんかまわりません。まだまだ挑戦する気なんだ!と感服した次第です。

そんなわけで、虫六が5月6月と来れるかどうかは分かりませんが、この先もこけら落としは続くのでした。


歌舞伎座の裏側にあったお稲荷さんが地下のお土産街に行くエスカレータの入り口近くに移転されました。お客さんが拝むお宮になりました。
芝居の神さま、またいい芝居を見せてください。どうぞよろしくお願いします。

これまではお迎えビルから歌舞伎座全体を撮ってましたが、今度の歌舞伎座は虫六カメラの広角レンズをしても画角に入りきらない感じです。


脇の路地からずっと引いて撮ってみましたが、なんだこのビル…。うへぇ。




2013年4月23日火曜日

新装歌舞伎座の開場を見物に行く

わがパワースポット、東銀座の歌舞伎座がいよいよ新装開場となりました。遠方ゆえに開場記念の様々なイベントにも立ち会えず、開場してすでにン日も過ぎてしまいましたが、なにはともあれ見るなら4月公演、第一部でしょ。ってことで、金比羅歌舞伎の熱も冷めないままにやってきました、木挽町!

あんまり先代の小屋と変わっていないような印象を残す新しい歌舞伎座ですが、建物的には後ろにあるチョー高層ビルのちょっとしたファサードのようです。

だって脇から入ると、「KABUKIZA TOWER」ちうビルですよ。家賃高そうな…。何かあるのかな…と思って入ってみたら、歌舞伎座ギャラリーや歌舞伎役者のコスプレで写真が撮れる「スタジオアリス・歌舞伎写真館」などは4月24日からのオープンでした。

導線のままに進んでいくと、地下1階にどどーんと広がるお土産市場。地下鉄改札からもココに繋がっていて、「東銀座で下りるとそこは奥山」みたいな演出なのでしょうか、各種店舗で賑わっていました。まだ、チケットを切っていないので、劇場に入らなくてもお土産が買える仕組みになったみたいです。(それは、有り難くないですが…)
屋上庭園にも行ってみようかな…と思ったのですが、エレベーターの前にすでに100人も行列を作っていたので、開演に遅れたら本末転倒と思い、やめときました。
事前に「お弁当売り切れで買えない」との情報を得てましたので、松屋で観劇弁当はもう購入済みであります!

 エスカレーターを上がったら、そこは歌舞伎座の正面玄関で、結局まだ劇場の外なんですね。地下から直接入場できるのかどうかは不明のままです。
絵看板は、以前の形を踏襲ですね。

 入り口ロビー。印象は以前より狭い感じですが…。

絨毯はこれでもか!ってくらい、ふかふか。というより、ぎっしり目の詰まった高級絨毯で、ぎしぎしいってました。

おお、ひさしぶり!
なんと前から2番目の真ん中あたりだよ。
椅子も新しくてぽんぽんで、なんだかお尻が落ち着きません。もう少しへたってくると楽ですかね。

舞台近くから後方の客席を眺めました。
客席を少し減らしてゆったりさせたらしいです。2階や3階からも花道の七三が見えるようになったらしい。今回は1階席ですが、いろいろな席で体験したいものです。

こちらは西桟敷の方。

こちらは東桟敷側です。
全体が眩しい!

天井です。むむ、ココが以前の劇場と違っているような気がするぞ。
この造りはなにをどうしているのかな?音響対策でしょうか?照明対策でしょうか???

そんなわけで、いよいよ開幕で〜す。
うるうるの舞台の中身については、また明日ー!!!

2013年4月21日日曜日

こんぴら道中おまけ_「凱陣」蔵元に行く

虫六にも人並みの良心というものがあるのです。
金比羅歌舞伎見物に出立するまえに、お留守居の家人Tにお土産はなにが所望か聞いてみた…ら、
T「凱陣*ですかね」 という答えが返ってきたのでした。
(「凱陣」は、琴平にある老舗の蔵元・丸尾本店が造る清酒で、地元の酒屋さんにも出回らないという銘酒にして希少酒なのです。何度もこんぴら歌舞伎を見に行っているN姐さん達も飲んだことがないというのに、なぜかS市の「のんびり居酒屋ニコル」で出していて、虫六が「飲んだことあるよ」と言ったら仰天されました。で、我が家的に「凱陣」のありがた度が俄然あがりまして特別な酒レベル5_今のところ5が最高_になっております。)

 実際、地元の酒屋でも本当に扱いは無いようで、これは蔵元に行ってみよう!ということで、やってきました丸尾本店。
建物には、「史跡 長谷川佐太郎旧家」と標識がでているのですが、もともとは、幕末期に讃岐に逃れてきた高杉晋作や桂小五郎らと親交が深かった日柳燕石の陰の資金提供者、長谷川佐太郎の造り酒屋「新吉田屋」だったものを、現在の社長・丸尾忠男さんのおじいさんが譲り受けたという歴史があるそうです。この酒蔵に勤王の志士を匿っていたのだとか。造りは江戸時代の商家のままで、からくりや同志たちの間で「梧陽堂」と呼ばれていた離れ座敷も現存しているらしいのですが、唐突に訪問したので今回は建物見学はなしでした。

行けば買えるのかな…とかすかな期待を持っていたのに、それを木っ端みじんに打ち砕く、並んだ見本酒瓶の首元にことごとく貼り付けられた「品切れ」の札。

が〜ん。ここまで来て玉砕ですか…。

と、店先でじたばたしていたら、「5月の中旬過ぎには次の瓶詰めできるんですけど」との、顧客管理完璧なおかみさん(←どこのどのお店にどんな商品がまわっているのか全部インプットされていらっしゃるようです。すげ〜!)の一言をいただき、むりやり予約発送をお願いして帰って来ました。いつ来るかな〜、楽しみであります。
(しかし、ここでベニジャケ・ジェット機に乗って浮かした交通費が水泡に帰しました…とほー。)

ちなみに、我らが泊まったホテルの夕食に凱陣を注文しようと思ったら、グラス1200円で、怖じ気づいたカコトラ・女子部でしたー。


2013年4月19日金曜日

ブレてない四代目猿之助_四国こんぴら歌舞伎(2)

夕べは女子会で盛り上がって少々寝るのが遅くなり、毎年いらっしゃっているN姐、T姐は「今年はやめとく」ということで、ひとりでこんぴらさんにお参りに昇りました。

なにしろ、ほんとうはこの公演に来たがっていた虫六子にせめて「学業成就」のお守りくらい買ってやらねばなりません。(でもなぁ、やっぱり見せればよかったなー)…つまりは、後ろめたいのか、俺。
とはいえ甘くないぞ、こんぴらさま。200段くらいで息が上がってきました。

行程は去年のと同じなので省略…なんとか本宮到着。ひい。
帰り時間を換算して、ここでお守りを買ってUターンですかね。

こんぴらさま、どうか来年はお礼参りさせてください。


さあ、「四の切」みるど〜!

役者のぼりがはためいております。今回のお宿は、金丸座のすぐ近くの「琴平グランドホテル・桜の抄」。サービスもよく、温泉も綺麗で、晩ごはんも美味しかった。カコトラツアーのスペシャル奈落見学や怒濤の飲み会はセットされていませんが、十分に良いパックでした。
ぎりぎりで会場に着いたら、お姐さま達は、木戸芸者役の地元の小学生と仲良くなって記念撮影などしていたらしい。あらら〜いーなー。

昼の部は、2階「前舟1」で見ます。小屋全体が見渡せるとても面白い席です。ストレスもないし、この席気に入りました。ま、選べるわけじゃないので、ラッキーでしたね。
提灯に、葡萄棚が綺麗。へへ、このかけ筋使うんですね!楽しみ過ぎる。

こちらは2階正面。舞台はけっこう見やすい。

こちらはお大尽席がある側の西桟敷。
舟に近い端っこの方に小学生四年生が見学にきてました。毎年鑑賞会があって、琴平の小学生は羨ましいなぁ。

照明がかわったぞ。

第二十九回四国こんぴら歌舞伎大芝居
市川亀治郎改め 四代目市川猿之助襲名披露
平成25年4月6日(土)~21日(日)

第一部
一、鳥辺山心中(とりべやましんじゅう)

菊地半九郎     片岡愛之助
遊女お染      市川春 猿
同 お花      市川笑三郎
父 与兵衛     市川寿 猿
坂田源三郎     市川猿 弥
坂田市之助     市川右 近

二、三代猿之助四十八撰の内 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
川連法眼館の場  市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候

佐藤忠信/忠信実は源九郎狐  亀治郎改め市川猿之助
源義経       片岡愛之助
駿河次郎      市川月乃助
亀井六郎      市川弘太郎
飛鳥        坂東竹三郎
川連法眼      市川寿 猿
静御前       片岡秀太郎


(以下、ネタばれ注意)
「鳥辺山心中」は、なんか近代くさいにおいがするなと思ったら、大正4年に東京で初演された岡本綺堂の心中ものでした。お話の最初から(あ、それ死装束になるわけね…)という晴れ着が出てきて、親父さんが「酒には気をつけろよ」なんて、暗示めいたセリフを言ってしまう、分かり易いというか説明過剰な筋立て。正直、近松もののような、歯車が狂ってどうにもならない無情感はあまり感じられないのですが、綺麗な男女が色っぽく踊るという絵の美しさはこの小屋にはまりました。愛之助と春猿のキャスティングはなかなか良いです。

きっと脇でみていた小学生も、「頭の固いやつに言いかがりつけられて絡まれ、酒の勢いで殺してしまって、心中しなければならなくなった男女の話」という筋は忘れてしまっても、「紫の小袖の女の人と黒い着物の男の人が綺麗だったなー」という記憶の方は、脳みそのどこかに残るでしょうね。

澤瀉屋の春猿の演技は様式的、松島屋の愛之助のは比較するとリアルちっくに感じました。こういう筋書きにはあまり意味がないような(…と言っていいのかわかりませんが…)演目だから、徹底的に陶酔するような綺麗さで見せていただきたいと思いました。とはいえ、そういう意味では、この二人の舞台は全体的に不足なかったです。やっぱり、美しいって大事ですね。春猿は背が高いので、愛之助に合わせるのがやや大変そうでした。

JTBでもらったお弁当。充実の中身です。幕の内弁当はこうでなくっちゃ!三越製らしい。

天井に人影が!かけ筋のセットアップですかね。わくわく。

またも、福山幕が出て来ました。T姐さまと「この柄で手ぬぐい作ったらみんな買うのにね」という意見で一致しました。なんか難しいことあるんでしょうか?染め色数増えるとコスト高になりますけどね(苦笑)。でも、買う。


そんなわけで、いよいよ「四の切」

新猿之助の「四の切」は、新橋の襲名公演で拝見しており、あの(!)、ほぼ理想通りの「四の切」を金丸座という江戸時代の芝居小屋で見たらどうか⁈というのが、今回の最大の楽しみだったわけです。

言いたかないけど去年のこんぴらデビューでは、同んなじ演目で、某お客さんに「おんどりゃ、江戸の芝居小屋を舐めてんか!」と毒づかれてしまうようなお芝居しか見ておりませんので、今年は本当に気分は「リベンジ」。亀、もとい、猿之助なら何からやってくれる!


それにしても、最初に義経が出てきた瞬間から違ってました。殿様襟が似合う愛之助であります。
で、シャリ〜ンとなって、猿之助の佐藤忠信が鳥屋から出てくるのを見ただけで、背筋がゾクゾクしてしまいました。なんで?まだ狐役じゃないのよ。

もちろん、狐忠信登場後の猿之助のオーラはただごとじゃありません。すごいと思ったのは、たぶん、新橋の襲名公演で演じた演出をほぼ変えていないということです。小屋のサイズはもちろん、装置やスタッフの数まで同じであるはずはないのですが、演出を縮小したという印象を感じさせないのです。
むしろ、役者と舞台のサイズに無駄がないのかとても大きく見える。(例えば、子狐が喜んで跳躍する場面、もちろん猿之助の身体能力の高さもあり「高い!」と思わせますが、実際跳んでいるのが50センチだとしても、80センチくらい跳んでいるように感じるわけです。*注:センチはイメージね、実際はどのくらい跳んでいるのか知りません。)

早変わりや、難技(欄干渡りとか、クルクル回りとかね)決めて欲しいと思う見せ場が、気持ちいいほどつぎつぎに決めてもらえて、本当に感嘆と驚がくのミルフィーユであります。

何より、猿之助の狐は愛らしい。体も軽いし、舞台の真ん中に置かれた「(親)鼓」が本当に生命を持っているかのように振る舞う姿がけなげで愛おしく感じさせる…。この、「子狐が愛おしい」と思わせることが、四の切においての必要絶対条件であるように思うのです。そして変化であるという、人間を超えた能力ですね。

3代目が確立した演出なので、必ずしも江戸の芝居小屋仕様ではないのかもしれないけれど、少なくとも金丸座では不足なく同じ演出で表現できるし、この程度のケレンは、江戸時代じゃ常識よ!と、言われたような気がしました。

会場の観客との一体感も相乗効果です。もちろん、新橋公演の時も会場は一体感で包まれて、大きな感動を体感しました。しかし、この小屋にはそれ以上に何とも言い難い「呼吸」のようなものがあります。「胎動」って言いますか。

大団円では、かけすじを使って引っ込みますが、これが人力。近代的な小屋では電動でしょう、役者も機械に身を任せるわけですが、人力で引っ張られると、役者も裏方も息を合わさないわけにはいきません。観客も!長い距離ではないのだけれど、この数メートルがすごくもったいない貴いものに感じました。
実は、この場面の演出で私は葡萄棚から花吹雪を散らせると想像していました。しかし、実際は花道のおしまいに役者を降ろすための幕が出てきて、(2階に入るわけじゃなかった)そこからジェット噴射の花吹雪が舞いました。そう、新橋公演を踏襲した演出です。確かに、葡萄棚は袖萩祭文で使っているので、夜の部の演出とかぶらないようにしているんですね。これは1本取られました。

今回のこんぴら歌舞伎を拝見して、猿之助という役者はとても本質的に歌舞伎をとらえていて、その努力を惜しんでいないことに感激しました。

歌舞伎の将来を見ているという意味では、勘三郎の実現していた数々の仕事が大きな可能性を感じさせるものでしたけれども、今となっては彼の不在が今後の歌舞伎界にどんな影響を与えるのかと心配があります。新しい歌舞伎座はできたけど、芝居はつまんなくなるのかな?と。(だいたい杮落しに猿之助が出てないじゃないか!松竹はトチ狂ってんじゃないの?)

でも猿之助のお芝居を見て、そんな老婆心はとりあえずおいておこうと思いました。この人はブレずに歌舞伎の将来を見ているような気がする。
やっぱりね。良いお芝居はどういうものか、選ぶのは、どこぞの芸術院の先生でなくて、お金を出して劇場にやってくる観客なんですよ。


新橋公演で初役だったという秀太郎の静御前も、猿之助の襲名につき合っているうちに80回を数えたとか、役者の仕事ってすごいなぁ。


あぁ、あっとまにこんぴら観劇ツアーも終わってしまいました。
駅に、仙台・宮城DCの大河原の桜のポスターが貼ってあり、四国なのに…と不思議な感慨。

さようなら、今年の金比羅歌舞伎。

また来るね、琴平駅。

ブレてない四代目猿之助_四国こんぴら歌舞伎(1)

というわけで、琴平駅に今年も来てしまいました。

芝居の神様、金比羅さま、お迎えくださりどうもありがとう。
今年は、カコトラ勧進ツアー・女子部ということで、正規軍より一足先に観劇するのです。このツアーは、JTBのパック(16日の昼の部&弁当とホテルと夕食がついている)を利用しつつ、夜の部は自力でチケットゲットということで、15日の夜の部から始まりです。


二十九回 四国こんぴら歌舞伎大芝居
市川亀治郎改め 四代目市川猿之助襲名披露


一、銘作左小刀 京人形(きょうにんぎょう)

  左甚五郎      市川右 近
  女房おとく     市川笑三郎
  奴照平       市川月乃助
  栗山大蔵      市川弘太郎
  娘おみつ実は井筒姫 市川春 猿
  京人形の精     市川笑 也

二、四代目市川猿之助襲名披露 口上(こうじょう)

  亀治郎改め市川猿之助
   幹部俳優出演

三、三代猿之助四十八撰の内 奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)袖萩祭文

  袖萩/安倍貞任  亀治郎改め市川猿之助
  八幡太郎義家   市川門之助
  平傔杖直方    市川猿 弥
  妻 浜夕     坂東竹三郎
  安倍宗任     片岡愛之助



各演目のあらすじは、こちら

今回の枡は、「への7」番。花外ですが…

花道が目の前です。目の、まえです。

(以下、ネタばれ注意です。)
「京人形」は、以前、別の役者さんのを見た事がありましたが、そんなにピンと来る演目ではなかったのですが、右近&笑也の取り合わせは面白く見られました。

特に、笑也丈の京人形の精の人形振りが、(甚五郎が吉原で拾った)鏡を懐に入れられたり抜かれたりすると、ぶっきらぼうになったり可憐で柔らかな動きになったりして笑いを誘っていました。そもそも、笑也丈はいるだけでお人形みたいにみえる清楚な美形なので、この役はピッタリはまっております。その上、その骨格どおなっているの?と思うような、なんだか不可思議な動作、それから、「まばたきしてない!」ってことに、終始仰天でした。小さな小屋ですから、観客に人の気配を感じさせないこの演技はすごいですね。

後半は、右腕を切られた甚五郎(右近)が、彫物師の名人ってことで(←なんせ、伝説の!左甚五郎なので。)トンカチやカンナなどの大工道具をつかっての立ち回り。…へんてこな嗜好ですけど、歌舞伎だからありです。立ち回りの若い役者さんが逆立ちする場面で、ちょっともたついたら、会場中の息がそこに集中して、無事に成功したら満場拍手喝采でした。右近丈が苦笑いしていて可笑しかった。
でも、筋だけ追うと、左甚五郎ってフィギュア・フェチみたいなキャラですね。で、この人形は「生き人形」に見えるけれど、どうも木彫家らしいんですよ。ま、どうでもいいか。

例の福山幕が現れて「襲名口上」。
この幕、金丸座にも合いますね。歌舞伎座とはサイズが違うから、巡業に合わせて何枚か作ってあるんでしょうか。
音頭は、片岡秀太郎丈。風格があって暖かみのあるいい口上でした。となりの愛之助を一個とばしで、「年の順」ということで寿猿丈を指名したら、なにやら役者さん達の肩が震えている…なにか楽屋落ちのネタがあったのかもしれません。で。寿猿丈の口上が素晴らしい。「自分は子役の時以来の金比羅歌舞伎で、70年ぶりです」と!!どよよ〜。中村屋の小山三さんみたいな方が、ここにもいらっしゃいました。竹三郎丈(←も同年代!)、澤瀉屋一門、そして愛之助丈、全体に和やかで、爽やかで、テンポのある、いい口上でした。
猿之助は、新橋の襲名の時と同じ、歌舞伎はお客さんと役者が一緒につくるもの、という口上。これが、四代目のコアにある信条なのでしょう。そして、今回の舞台はそれを十二分に表現してくれたものだったと思います。

「袖萩祭文」は、本当に素晴らしかったよ。
あの席ですから、目の前を、猿之助が演じる盲目の袖萩が娘のお君ちゃんと肩を寄せ合いながら歩いて行くのを、間近に逆光で見てしまった…。美しっ。袖萩が通り過ぎたら、なんだかずっといい匂いがしてました。
見せ場では、葡萄棚から白い雪が舞台だけじゃなく客席全体に舞い落ちて、その中で、袖萩が三味線を弾きながら祭文語りをします。(阿古屋の三曲じゃないけれど、難役でしょうね。)
完璧なまでにドラマチックないい場面!小屋全体がひとつになりました。
…が、ここで誰かの携帯が。しかも知らんぷりしているのか鳴らしッ放し!しかもバイブ付きで!おいおいおいおいおいおい…。誰に突っ込めばいいのじゃ!

携帯は、始まる前に切りましょう。お願いだから。

で、吹雪で凍えながら癪で苦しむ母・袖萩をいたわる娘のお君がまた健気でかわいいのですが、この日の子役ちゃんは女の子ですごく上手い!感心していたら、なんと地元の子だと!恐るべし琴平町。

後半は、猿之助二役の安倍貞任(袖萩のだんなです)と愛之助の弟・安倍宗任の勇壮な荒事が様式的な見せ場を作ります。色彩が綺麗。早変わりもあって、しっとり哀しい前半とのコントラストがすごい。前半部分しか見た事がなかったので、こんな面白い演目なんだと認識を新にしました。
それにしても、つくづく袖萩はかわいそうです。


十分に満足して、小屋を出ると、まだ全然明るいじゃん!
確か去年は奈落ツアーもあったけど、真夜中だった。
今年は通り札も売ってないし、いろいろ変わってしまったのかな…。

つことで、明日は「四の切」です。ほっほー。

2013年4月17日水曜日

東京より大阪が近いかも?ピーチ仙台就航

さあ、待ちに待った「四国こんぴら歌舞伎」に行く日がやってきました!この日だけを心の支えに、脱色したような日々を送っていた虫六ですが、…すいません (*゚▽゚)ノ 四国いってきま〜す。

とはいえ無駄遣いも厳しいおりがら、「鉄」道のご指南役・へっちさんから「14日ならもうピーチが就航しているから、それでいくと大阪まで片道3500円で行っちゃうよ」とトンデモ情報をいただき、しえ〜っ!と海老反って、ソッコーでポチってしまいました。

蛍光ピンクの機体デザインがOLさんウケしそうなPeach。「ベニザケ」に似てると思うのは私だけ?

日曜便だったので格安とはいえ基本料金6500円で、かつ、初回で様子が分からず念のための荷物(1コ1050円)と指定席を取ってしまったので、諸手数料込みで8600円ほどになってしまったのですが、それでも正直いって「東京」に新幹線でいくより安いです。
ちなみに、仙台ー大阪間を新幹線で乗り継いで行くと、
 朝6:36のはやぶさに乗って
   ↓
   東京でのぞみに乗り継いで新大阪まで
     ↓ 
     在来線で大阪駅まで移動、到着が11:10頃。

運賃は片道約2万円かかります。

私が利用したピーチMM132便は、
 9:15仙台空港発、
   ↓
   関空着が10:55
     ↓
   (うまくアクセスできれば)大阪に12:10ごろ到着できます。
虫六は、ちょうどいい連絡があったので第2ターミナル発着のリムジンバスを利用しました。8600円+1500円。半額ですね。

こうなると、東京より大阪・京都の方がだいぶ近い感じがしませんか…。国立文楽劇場とか、松竹座とか、南座とか…。いえ、あの (=´Д`=)ゞ

仙台空港 ピーチの搭乗手続き所付近。
ネット予約の確認ページを印刷してバーコードを読み取り機にかざすだけで、手続きは自動で行われます。プリントが無い場合は予約番号を入力するだけです。まだ仙台便が就航したばっかり(12日から)だったので、係の人が付いていましたが、大阪の関西空港では機械が5台設置されて案内スタッフは2名でした。

搭乗券は、ずばりレシートです。

 虫六が乗った便の機内は通路が真ん中に1つで、両脇のシートは3列づつでした。私は小柄なので苦痛ではありませんでしたが、身体の大きな人はそうとう狭いと感じるのではないでしょうか?でも、気流が良かったのか、とくに揺れることもうるさいということもなく、快適でした。(まぁ、飛行機に乗り慣れていないせいかもしれないけども。なので、マニアックな感想も特にありません。あしからず。)
機内では、過剰なサービスを一切廃していて、ドリンク類も列車の車内販売のように買わないといただけません。1時間半ほどのフライトなので、別にいらんしね。

行きは窓側の席をとったので、空の旅満喫。ピンクの機体がかわいいです。時間通りに大阪につきました。

ちなみに、帰りの便はオプションなしにしたら6500円でした。お土産や着替えはホテルから送って、デイパック1つにしたので。(でも、予約なしで荷物を持ち込むと1個あたり2100円取られるので気をつけてね)



2013年4月13日土曜日

「おばあちゃん、チケ・ゲットに駆りだされる」の巻

こんぴら歌舞伎見物も間近にせまり、旅の準備に余念のない虫六です。(振休、取ったるでぇ!)つか、淡路の地震…大丈夫ですか?!

で、今日は何の日かというと、「公文協東コース 松竹大歌舞伎」の南相馬市会場の売り出し日でありました。

今年の公文協東コースは、猿之助の襲名公演でメインは「義経千本桜」の四の切でありますよ。この演目は、新橋演舞場の襲名公演でも、これから向かうこんぴら歌舞伎・金丸座でも拝見するわけなのですが、地方公演の文化センター会場で猿之助がどう奮闘するのかも関心のあるところであります。

虫六の近場では、例によりS市は頭越し(…またですか(;ω;) )なんですけど、

 10日 岩手県北上市 北上市文化交流センター さくらホール
 11日 岩手県盛岡市 岩手県民会館
 12日 福島県南相馬市 南相馬市民文化会館 ゆめはっと
となっておりまして、
ま、いつもですと、さくらホールとか岩手県民会館に足を伸ばす虫六ですが、
なんと今年は南相馬市にくる!ということで、こちらで見たい!と思いました。
だって、かつて南相馬市で襲名公演した歌舞伎役者なんて聞いたことがありません。

やっぱり何かが違う亀…もとい、猿之助丈であります。

で、問題はチケットの手配であります。
コレ、地元の「ゆめはっと」会員でないと先行発売に買えないのです。
しかも発売窓口は地元のみ…。(仁左衛門丈の慰問公演のトラウマが…)
で、一般発売日にぴあなどで申し込めますが、電話予約は当日の午後から残席があれば受け付けますという二重三重のハンデが…。

そこで考えたのは、「実家の母に買って貰う」でありました。
しかし、そんな高度な手続きが踏めるのでしょうか??あの人に…。
不安でいっぱいでしたが、ダメならダメでいいや!と頼んでみました。

娘と歌舞伎見物ができる(しかも娘のおごりで)という、親孝行かどうかもわからない微妙な誘いに乗ってきた母。

まず、発売日までに「ゆめはっと」の会員になって、会員先行発売日(13日)になるべく早く窓口に行ってチケットを買って来て欲しいと頼みました。
が、まぁ隣町なのでちょっと二の足を踏んだらしく、近所のジャスコでも買えるらしいと聞いてきた。
「でも、会員になっていないと先行で買えないんだよ。一般発売は会員の人が変える期間から1週間あとなんだ…」と説明しましたが、めんどくさいが先に立っているので、「ジャスコで13日から売るって言っていたから大丈夫!相馬は、そんなの関係なく売るんじゃないの」と。
(げげ、そんなに甘くないんだよ〜)と思ったものの、深追いせず。
本日、朝、実家に電話。
父がでて「ばあさんは、もうどこかに出かけていない」と。
(ふふ〜ん、買いに行きましたか…)静観して、昼にもう一回電話。
母「買えるのは、28日だって」
(うわっ、やっぱり玉砕されてきた…だから言わんこっちゃないよ)
虫「だから、めんどくさいけど、原ノ町のゆめはっとの窓口まで行って、会員になって、先行発売のチケット買ってよ。その方がいい席で見れるし、28日にのこのこ出かけても、その日は東京や仙台から見に行きたいって人たちが電話とかネットでチケット奪い合って5分くらいで無くなるんだから!もう、買えないよ」
母「……、じゃあ誰かに車だしてもらうか…」(と、やっと事情が分かったらしい)
…というわけで、夕方、また電話。

母「行って、買って来たから。」
虫「席はどこだった?」
母「2階の真ん中。前の方」
虫「いいよ、買えれば。ありがとうね!」
(うげ、やぱり初日でいい席完売であったかー!でも、どこでも見られればいいってことにしよー。母と歌舞伎見るのもたまにはいいっしょ。しかし、このばあさんが曲者なんですけどね〜。なにも起きなければいいのですが…)

とはいえ、黒計画に実家の親まで駆りだす、俺さまって…((w´ω`w))


2013年4月12日金曜日

こいつぁ、ありがてぇ!国立国会図書館の歴史的音源サイト「れきおん」


歌舞伎on the webのトピックスを見ていたら、「国立国会図書館が歴史的音源専用サイトを開設しました (2013.04.08)」というニュースがありました。

  (以下丸々引用)
   ↓
 「国立国会図書館が、収集・蓄積している歴史的音源を紹介する 専用サイト(愛称:れきおん)を開設しました。

平成19年に、歴史的・文化的資産である初期のレコード(SP盤)及び原盤の劣化・散逸等による音源の喪失を防ぐため、NHK・JASRAC・芸団協など6団体が参加して「歴史的音盤アーカイブ推進協議会(HiRAC)」が設立されました。そして、1900年初頭から1950年頃までに国内で製造されたSP盤及び金属原盤等に収録された音楽・演説等、約5万の音源のデジタル化が開始されました。国会図書館では、これらの貴重な音源を広く国民に公開するため、平成23年5月から歴史的音源の提供を開始。音源を順次追加していき、最終的には約5万音源を公開する予定になっています。現在はほとんどの音源が所定の公共図書館などでのみ聴くことのできる「館内限定公開音源」となっていますが、一部の音源はインターネット公開もされています。

従来はデジタル化資料のサイトの一つの項目に歴史的音源が掲載されていましたが、専用サイトとしてより分かりやすく、充実したサイトにリニューアルされました。
歌舞伎の歴史的音源も紹介されているので、今は亡き名優たちのセリフを聴くことができます。他にも邦楽、落語、漫談、浪曲、講談、クラシック音楽、声楽など、多彩なジャンルの貴重な音源が紹介されています。ぜひ一度ご覧ください。」

というわけで、さっそく行ってみました。
練習を始めたものの、音源がなくて、全体像が掴めなかった長唄「岸の柳」なんかもあるかな?と検索してみたら…ありました!!!!!!!

1934年01月、ビクターから発売された「杵屋五三郎(初代)、杵屋五叟(上調子)」の音源があがってました!おー、すごーい。

1927年9月、ニッポノフォン・レーベルの「芳村孝次郎(唄)、杵屋五三郎(三味線)杵屋勝丸(三味線)」なんちう、スペシャルレアなレコード(戦前でっせ!)もリストにありましたけれど、これは館内限定閲覧で、ネット上では聞けません。
が、しかし、その気になれば国会図書館にいけば聞けるってことなのかー!
ちなみに、「岸の柳」だけで43件ヒット。同じ曲のトラック別という部分もあるのですが、意外に音源が残っているんだと、ちょっと感激。

とはいえ、他の曲で検索してみるとまだまだデジタル化は途上のようで、痒いところにはなかなか手が届かない感じではありましたが、音源は順次追加されていくらしいです。ときどき検索をかけて利用しないともったいないと思いました。
こんどは役者のセリフなんか検索してみようかな?



2013年4月9日火曜日

未視聴DVD、山となりける

もともと地の利が無く気軽に舞台を見にいけない地方在住の虫六にとっては、伝統芸能関係の音源や映像DVDは貴重な教材であります。いえ、本物を見にいければそれにこしたことは無いんですけどね。で、ポピュラーミュージックなどとちがって、和物芸能系は本当に出物が少ないので、気になったら基本的に「買い」なのであります。あっというまに品切れですしね。

そんなわけで、このところストレスに任せて買い貯まったDVDが、はい、このとおり。

一応、一度視聴したものは取り除いております(「仮名手本忠臣蔵」とか、歌舞伎特選シリーズとかですね)。こいつら、まだビニールも剝けてないんですけど〜!ま、中にはNHKの特番でいちど見て、録画に満足できず保存版として買ったDVDなんかもあるんですがね。自分でいうのもなんですが、ビョーキでしょうね。
…しかし、BGMで聞けるCDと違いまして、DVDは時間を作って目と耳で見なければならないわけです。その、絶対時間が作れず、こんなに溜まってしまったんだよぅ。これを「浪費」と云わずして、何と云う!?

でも、じっくり見たいからDVD(BDもあるけど)を買っているわけなので、二倍速・三倍速で見たくはないですよね。
芝居の神様、私に1日26時間ください。(そしたら、毎日2時間番組を1本ずつみられますもんね (;´Д`A ``` つか、録画した番組も溜まっているんですけど。時間かかる〜。

そんなわけで、今月から地味にコツコツ視聴しまして、レビューを書いて行きたいと持っております。(一応、予告でした)

2013年4月7日日曜日

「岸の柳」

そら恐ろしいことですが、忙しすぎてもう10日もお三味線を触っていません。朝練すらできなかったこの状況…。1日休めば3日、3日休めば1週間、勘を取り戻すのにかかると言われる芸の道、10日休んでしまった俺っていったい… il||li _| ̄|○ il||li
ふたたび三味線に触る前に、次の課題曲「岸の柳」について下調べして、まずメンタルを取り戻そっと…。


「岸の柳」

制作年代 明治6年6月
作曲 三世杵屋正治郎

東両国の貸席で浴衣ざらいに封切られた作品。大川端から柳橋両国あたりの夏風景を諷った粋な曲。スッキリして涼味満点。(本調子、三下がり、本調子)
(「長唄名曲要説」より)

あう、ついに来たか、曲の途中で変調か。これが、虫六にとっては今回最大のハードルかも知れませんね。

<本調子> 〽筑波根の 合姿涼しき夏衣 若葉にかへし唄女が、
緑の髪に風薫る 柳の眉のながし目に、
其浅妻をもやひ船 〽君に近江と聞くさへ嬉し 
しめて音締(ねじ)めの三味線も、
誰に靡(なび)くぞ柳橋 糸の調べに風通ふ
岸の思ひもやうやうと、
届いた棹に 
<合三下り> 〽家根船の 簾ゆかしき顔鳥を、
好いたと云へは好くと云ふ、鸚鵡返しの替唄も、
色の手爾葉(てには)になるわいな、しどもなや
<本調子> 〽寄せては返す波の鼓 汐のさす手も青海波 
彼の青山の俤(おもかげ)や、琵琶湖をうつす天女の光り
其糸竹の末長く、護り給へる 御誓ひ 
〽げに二つなき一つ目の、宮居も見えて架け渡す、
虹の懸橋両国の、往来絶えせぬ賑ひも
唄の道とぞ祝しける」

曲の成立については二説あって、一つは近江屋という船宿の娘と近所の古着屋の息子が心中未遂の末に助けられて目出度く相愛の思いがかなって夫婦になったことを叙した(「君に近江」と船宿の屋号)という説、もう一つは、当時の鳴物師・岸田伊左衛門が柳橋の芸妓となじみ、念いがかなって夫婦になったことを詠み込んだ(岸田の‘岸’と柳橋の‘柳’を詠結んだ曲名)という説だそうです。岸田伊左衛門という演奏家がいつ実在したのが手元の資料ではよくわかりませんが、いけてる芸妓さんを射止めたというので、仲間が「やったな、おめでとう!」みたいなノリで作ったのかと思うとちょっと楽しい。

作曲をした三世杵屋正治郎(1827〜95)は、明治前半に活躍した長唄三味線方。新富座開場式のために《元禄風花見踊》を、九代目團十郎や五代目菊五郎のために《土蜘》《船弁慶》《素襖落》などの松羽目物舞踊劇を作曲した人物。過去の長唄曲を参考にしつつ、時代の要求に沿った魅力的な新曲も手がけたそうです。また、《京鹿子娘道成寺》のチンチリレンの合方、《鷺娘》の新合方、《勧進帳》の滝流しの合方のように既存曲に、三味線が技巧を発揮できる合方を作曲して挿入し、唄だけでなく、三味線の聞かせ所を作ったのも、正治郎の功績…とのこと。
長唄三味線の中興の祖という感じでしょうか。

曲節としては、第1の特色は「初夏の爽やかな季節感がよく出ている」ということだそうで、「大川、船、柳橋付近の水辺の叙景と、風薫る川辺の夏気分が、粋な旋律のうちに滲み出ている点は長唄中の傑作」だそうです。

スッキリ、粋に弾けと…。求められる次の課題は「爽やかな色気」ということでしょうか…。

隅田川に面した柳橋は江戸中期から栄えた花街で、明治期には新興の新橋と共に「柳新二橋」(りゅうしんにきょう)と称されましたが、柳橋芸者の方が歴史もあり、新橋よりも格上とされていたんですよね。プライドも高いという。

柳橋といえば、虫六がはじめてお浚い会を経験したのは、柳橋芸者の代名詞(?)市丸さんのご自宅を改装してイベントギャラリーにした「ルーサイト・ギャラリー」でしたが、狭い階段をのぼって2階の小さい座敷で行った演奏会でした。窓から隅田川が眺められて、江戸情緒を満喫できる建物でした…。あのとき、たしか、兄弟子Kさんの出し物が「岸の柳」でしたな。あ〜、そういう選曲だったのですか…!と6年目にして理解した虫六でした(爆)。

それにしても、市丸さん、きれいだな〜。瓜実顔で、スッキリと小股の切れ上がった…という日本型美人というのはこういう人をいうんだな。

【今日の参考文献】
「長唄名曲要説」(昭和51 浅川玉兎著)
「日本の伝統芸能講座 音楽」(平成20 淡交社)



2013年4月3日水曜日

3月に読んだ本

2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1321ページ
ナイス数:20ナイス

山口晃 大画面作品集山口晃 大画面作品集感想
やっぱりこのくらいおっきい画面でみると、細かな表現も堪能できて、時間を忘れます。買いです!
読了日:3月31日 著者:山口晃





乞胸 江戸の辻芸人乞胸 江戸の辻芸人感想
江戸時代、巷には宮芝居や見世物小屋、雑芸を披露する辻芸人の姿があり、黒山の人だかりを呼ぶ人気だった。乞胸は、元は浪人武士で食うために雑芸をみせて物乞いをした。だがそれは乞食をする非人のテリトリーを侵すと訴えられ、町奉行が「身分は町人だが家業をする時は非人頭の支配を受ける」という奇妙な存在とした。農民出自の香具師とは似て非なる芸能集団だそうだ。江島生島事件や天保の改革の弾圧でもしぶとく生き残っていた彼らが、明治維新であっけなく消えてしまったというのが、日本の芸能を考える上でとても重要だと思った。
読了日:3月31日 著者:塩見 鮮一郎

ちはやふる(20) (BE LOVE KC)ちはやふる(20) (BE LOVE KC)感想
申しわけないが、完全に太一に肩入れしております。決勝戦、ちはやが勝って、正直、あーあ。勝たせたいなぁ。名人戦に送ってやりたいです。そして、ちはやはクイーン戦の予選けって修学旅行ですと!3人の心のうずうずよりも、太一の成長…これだけが楽しみなのでした。それにしても、いつの間にか20巻ですか。
読了日:3月31日 著者:末次 由紀



伝統芸術とは何なのか―批評と創造のための対話伝統芸術とは何なのか―批評と創造のための対話感想
「武智歌舞伎」のリアルな時代は知らないけれど、その知識教養の深さや慧眼・審美眼は現代では変わる人物がないのだろう。富岡さんでなければ相手になれないと思わせる刺激的な二人の対談。伝統芸能愛好者や研究者からイデオローグとしての自覚をうながす「ナンバ」の発見と理論化。日本の芸能の原点は『農の原理』に立っている。歌舞伎はある意味では天保時代にもう存在価値を失っていたと。今の私達が「伝統」だと思っている歌舞伎は、それ以後に作られた團十郎の十八番や明治の名人の芸を基準にしてますよね。伝承とともに批評の大事さを痛感。
読了日:3月17日 著者:武智 鉄二,富岡 多恵子

つらつらわらじ(5)<完> (モーニング KC)つらつらわらじ(5)<完> (モーニング KC)感想
越中に越されぬ山が二つある…ですか。やはりこれ見よがしに正論を吐いて事態をつまらなくするリーダーってのは魅力無いのでして、人心を集める人物って、「知る」ことを愉快がる心の余裕や、枠にはまらない大らかさをもっている。そんな器のでかい魅力的な殿様だから、男・女、敵・味方、近習から奴まで立場の差にカンケーなく、馬までも(!)惹きつけられちゃいます。こればかりは法律や金や権力なんかじゃ得られないのですよね。四角四面の越中守にはわからんだろう。個人的には長門をもっと出して欲しかった。スピンオフよろしくお願いします。
読了日:3月3日 著者:オノ・ナツメ

へうげもの(16) (モーニング KC)へうげもの(16) (モーニング KC)感想
目の脇の小じわの表現力がすごい。しかし、戦を知らない世代の子供たちが織部らの剽げ趣味に感化されて、歌舞伎ものを気取りつつヤンキー化していくっていうのが…。
読了日:3月3日 著者:山田 芳裕

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