2016年12月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:317ページ
ナイス数:14ナイス
猿の眼: 僕ノ愛スル器タチの感想
骨董好きはドラマ「白州次郎」で青山二郎を演じたのがきっかけとは驚き。あの役ハマってましたので。とはいえ、身銭を切って審美眼を養う骨董の世界、易々と入り込めるものではありませんが、そのあたりのドキドキが猿之助といえどもあるんですね、笑。茶道誌に2年間連載されたというエッセイは、ちょうど亀治郎から猿之助に襲名する時期でもあり、興味深し。そして最近はやや熱も冷めて…と言ってしまうところが、また猿之助らしい。それにしても趣味の良い楽屋だなぁ、壁には千住博の「ウォーターフォール」のリトグラフ…こんな部屋に住みたいぁ
読了日:12月27日 著者:市川猿之助
まっぷたつの子爵 (1971年) (文学のおくりもの〈2〉)の感想
30年ぶり再読。トルコ軍とキリスト教徒の戦いで砲弾をあび、真っ二つにされ(!)人格まで≪悪半≫と≪善半≫に別れてしまったメダルド。本来は一人の人格には善も悪もどちらともいえないものも分かちがたくあるものなれど、置かれた世界や社会によってそれが引き裂かれてしまう怖さ。戒律主義者となったユグノー教徒も、快楽に耽る癩患者も、人を殺す道具と知りながら精巧な絞首台造りに腕をふるってしまうピエトロキョード親方も。それにしても、頭の先から包丁で切ったみたいにメダルドを割って表現してしまったところがカルヴィーノ凄い。
読了日:12月7日 著者:イタロ・カルヴィーノ
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