2012年4月29日日曜日

てんこもり、こんぴら道中記 その弐_播磨屋襲名公演・夜の部を観劇す

やってきましたよ、こんぴら歌舞伎。小屋の前ではビミョーな着ぐるみがお出迎え。
 このお尻のマーク、某航空会社のコマーシャルでしょうか?と思ったら、金丸座の座紋なんですよね。何が違うのかな〜と考えてみると、櫓の座紋は紫の地に白抜きですが、こちらは紅白。だから、あのマークに見えたのか…とひとりで納得。


背中を見せていたのは、ゆるキャラ・こんぴーくん。
カラーリングと隈取りからして、「助六」?う〜ん、ぎりぎりだなぁ。

う、遊んでいる暇はない、まずは鼠木戸をくぐって小屋に入ろう。

重要文化財「旧金比羅大芝居・金丸座」

うわぁ、これぞ祝祭空間。一気にアドレナリン上昇ですな。
役者の定紋が入った提灯が天井からずらりとぶら下がっております。天井が編んだような格子になっていますが、これは「平成の大修復」の時の調査で「痕跡」が発見されて復原となった「ブドウ棚」。紙吹雪や花吹雪を降らせることができます。
脇に見える「金比羅大芝居」の看板のちょうど真下の2階席にお大尽席があるそうです。(柱間の幅が広いところです)
定式幕の上方になぜか黒い一文字幕が張られて舞台を横長のフレームに変えていますが、これは金丸座仕様ではないそうです。
客席は桝で区切られていて、一桝に5人づつ座ります。畳敷き。
虫六は、カコトラご一行の皆さんからひとり離れて「空井戸」の真ん前(つまり花道の横・前から四マス目)で見せていただいちゃいました。

こちらは花道側。鳥家の幕にやはりあの定紋が…。
花道の上の方に、これまた「平成の大修復」の時に発見されて復元された「かけすじ」という宙乗りを見せるための装置もあるのです。写真ではキモチ上の方にちらりと見えております。
仮設っぽく花道をライトアップしているね。…むむっ!!でも、花道に平台が敷いてあるぞ、ということはスッポンは使わないのか…。

そんなわけで、夜の部いよいよ開幕で〜す。

第二十八回 四国こんぴら歌舞伎大芝居
中村歌昇 改め 三代目 中村又五郎襲名披露
中村種太郎改め 四代目 中村歌昇襲名披露

【第二部】
一、戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)
浪花の次郎作  歌 六
禿たより    米 吉
吾妻の与四郎  錦之助

二、襲名口上
歌 昇 改め 又五郎
種太郎 改め 歌 昇
幹部俳優出演


三、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
川連法眼館の場
佐藤忠信/忠信実は源九郎狐  歌 昇 改め 又五郎
静御前            芝 雀
亀井六郎           種太郎改め歌 昇
駿河次郎           隼 人
源義経            吉右衛門

………。
むむむ。
………。
お役者衆、なんか精彩を欠いているような?もう明日が千穐楽で疲れが溜まっているのでしょうか。
狐忠信も、やっぱりこの役に求められるのは、敏捷性?(ここに見に来ていらっしゃるお客さん方、正直、眼が肥えていらっしゃますので、口には出さねどきっとK治郎丈とかK之助丈とかE蔵丈の狐忠信なんぞと比べて見てしまうのでは??などと、不敬な思いがよぎります。)「狐詞」もいまいちハッキリせず、吉右衛門丈の義経もなんとなく違和感。
他にぴったりの演目なかったのでしょうか?桜テーマにしても、「関の扉」とか「金閣寺」とか…。むしろ、むしろそういう演目の方が又五郎さんにニンのお役があったように感じましたが、私だけでしょうかね?(…とおもって、前公演の南座をチェックしてみましたら、「俊寛」と「熊谷陣屋」…。カード切ってますやん、すでに _| ̄|○ il||li)

でも、このやる方ない消化不良の原因が、軍団某氏の一言で納得。「この芝居は、金丸座のスペックを全然使ってない。どこかの花道もない文化センターで地方まわりする時の演出パッケージそのままでやってる」と。

なるほどね〜。そうなんすよ。私は見たかったんですよ、スッポンからいつの間にか出ている狐忠信とか、大団円の会場いっぱいの花吹雪の中、宙づりで去っていく狐忠信とか…。夜の部なんだから、それくらいのサービスしてくれてもいいじゃないか。
…入場したときのアドレナリンはいづこ。

なにをめんどくさがっているのか、松竹さんは?
播磨屋さん、金丸座復活の立役者なのだから、よろしくお願いしますよ。
こちらは10万円も旅費かけて、その他、宿・チケット必死でゲットして見に来ているのだから、これぞ金丸座芝居!ってヤツを見せてくださいまし!どうぞ満足させてくださいまし!

で、終演後、すぐにさっぱり片付いた客席。

実は、ご一行の勧進元であるカコトラさんは、古建築物の修復を手がけている建築士。この金丸座をはじめ、各地の文化財を手がけていらっしゃる方なのです。今日も、終演後に修復が必要な案件を確認しに行かねばならないというので、強引に付いていって奈落を拝見してきました。大歌舞伎が来ている期間は建物見学はできないので、既得権の行使(しかも無理矢理)で面目ないです。というわけで、ここからはシークレット。ひや〜っ、面白かった。

出てきましたら、すっかり夜でした(当然か…)

虎丸旅館さんでは首を長くして、我々の到着を待ってました。
豪華料理!宴会だし。醤油豆にさぬきうどんも欠かせません。

虫六がS市から担いできた日本酒。「愛宕の松」「伯楽星」を作っている三本木町の蔵元・新澤醸造店が、震災で壊れた古い酒蔵で最後の最後に仕込んだ純米吟醸酒!
飲んでください!

こちらは、琴平で有名な「金陵」の、大吟醸酒「超・金陵」。ぎょえ〜。

宴会状態で、深夜遅くまで盛り上がりました。
面白かった話題は、「玉三郎の後継をどうするか?が、日本の歌舞伎存続の最大のテーマだ!」ということ。菊之助や亀治郎は「兼ねる役者」志向で、真女形する気はなさそうだし、七之助か梅枝には玉様ほどのカリスマ性はなさそう…?でも「女形」こそが歌舞伎芸能の神髄…。これはジャニーズに「和芸部」を作ってもらうしかないか??と。(すみません、酔っ払いの話です)

……、っていうかですね。
このご一行、7割女性なのですが、めちゃくちゃ酒が強い。「うわばみ」という形容詞を久しぶりで思い出しました。ご婦人の皮を被ったうわばみ…「娘道成寺」ですね。
パワーあるなぁ。明日の昼の部、大丈夫かな…俺。

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